ヴィーガン男子はテストステロン値が高い?肉を食べなくても男らしく

ヴィーガン男子はテストステロン値が高い?肉を食べなくても男らしく

「男らしさ」に欠かせないホルモンと言えばテストステロンです。詳しい役割については【さまざまな効果があるテストステロン(男性ホルモン)とは】をご覧ください。

その働きが明らかになるにつれ、テストステロンの分泌を促進する効果がある食材にも注目が集まっています。

そうした食材には野菜が多いため、テストステロンを増やすためには菜食がいいような感じがしますが、一方で「肉食=男らしい」というイメージも根強いですよね。肉食と菜食を比べた場合、テストステロン値が高いのはいったいどちらなのでしょうか。海外で発表されている研究結果などを交えて紹介していきます。

そもそもヴィーガンとは?ベジタリアンとの違いは?

菜食というと「ベジタリアン」を思い浮かべる人も多いでしょう。最近では、ベジタリアン以外に「ヴィーガン(ビーガン)」という言葉を耳にする機会も増えています。

コロナ前にインバウンド需要が急速に拡大した影響もあって、日本国内では外国人観光客の受け入れ態勢が急速に進みました。そのため、飲食業界では「ヴィーガン料理」「ヴィーガンレストラン」といったジャンルも浸透しつつあります。ヴィーガンもベジタリアンも、菜食であることは変わりありませんが、どのような点で違っているのでしょうか。

卵も食べない、革製品も使わない

卵も食べない、革製品も使わない

日本語でいう「菜食主義」は、ベジタリアンを指すことが多いです。ベジタリアンは肉や魚といった動物性食品を口にせず、植物性食品だけを摂ります。植物性食品には野菜のほか、穀物や豆類も含まれます。

一方、ヴィーガンは「ピュア・ベジタリアン」「狭義のベジタリアン」とも呼ばれています。つまり、動物性食品を食べないことはもちろん、卵や乳製品、ハチミツなど動物が産み出した製品を口にすることも避けるのです。動物愛護の精神が主眼にあるため、革製品や毛皮を使わないといった行動までをヴィーガンに含めることもあります。

日本国内のヴィーガン市場も拡大

生命の尊厳を保ち、動物を守る精神から始まったヴィーガンの動きですが、そうした考えが浸透している欧米を中心にヴィーガン人口は拡大しています。アメリカのヴィーガン人口は全体の6%、ドイツでは人口の1割が菜食を実践しているとの推計もあります。

驚異的な勢いで外国人観光客が増え続けていた日本ですが、訪日するヴィーガンの外国人も同じように増えてきました。それに対応するサービスとして、国内のヴィーガン市場が拡大していったのは自然な流れと言えるでしょう。

研究ではヴィーガンとベジタリアンまで区別

市場が拡大したとはいえ、日本人にとってのヴィーガンは健康志向やトレンドの一つとして捉えられることが多く、ライフスタイルとして定着しているとまでは言い切れないのが現状かもしれません。

その点、海外では「ヴィーガン」「ベジタリアン」「肉食」がきっちり区別されることも多く、そうした区分けによって行われる医学的な研究例も出ているのです。

ヴィーガンのテストステロン値は肉食より13%高い

イギリスの医学誌「British Journal of Cancer Study」で発表された研究結果によると、ヴィーガンの男性は、肉食をしている男性よりもテストステロン値が13%高いことが分かりました。研究は40~50歳代の男性約750人を「肉食」「ヴィーガン」「ベジタリアン」の3種類に分けて行われました。ヴィーガン男性のテストステロン値は、ベジタリアンに対しても8%高くなっています

研究ではこのほか、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)濃度についても、ヴィーガンが肉食より16%、ベジタリアンよりも12%高いことが明らかになっています。SHBGは肝臓から血中へ放出されるタンパクのことで、SHBG濃度が低い場合、メタボリックシンドロームや糖尿病のリスク上昇につながるとの指摘もあります。
(参考文献:Hormones and diet: low insulin-like growth factor-I but normal bioavailable androgens in vegan men

アスリートにも浸透するヴィーガン

ご紹介したように、「男らしさ」と関係の深いテストステロンについては、肉食よりも菜食の方が多く、菜食の中でもヴィーガンの方がベジタリアンより多いことがわかりました。それでも、日本では「草食系男子」という言葉が流行したように、ヴィーガンと男らしさがまだまだ結びつきにくいのかもしれませんね。

しかし、近年のスポーツ界では実はヴィーガンというアスリートも少なくありません。それでは、ヴィーガンに転向したというモータースポーツ界のレジェンドについて紹介しましょう。

33歳でヴィーガンに転向したF1王者

ルイス・ハミルトン選手は、イギリス出身のF1ドライバー。2020年には自身7度目のワールドチャンピオンに輝いたほか、数多くの偉業を成し遂げています。そんなハミルトン選手ですが2017年、33歳になってヴィーガンに転向したのです。

ヴィーガンになった理由の大部分は、環境と動物への配慮によるもの。トップアスリートが現役を続けているうちに、厳格な菜食主義者に変わったことに対しては、周囲から否定的な意見も上がりました。ハミルトン選手自身も、最高のパフォーマンスを出せる体調にまで持っていくには多くの取り組みが必要だったと認めています。

しかし、ハミルトン選手はヴィーガン生活を始めてから身体をサイズアップして、持久力の面でも向上しました。気になるテストステロンについてはどうでしょうか。スポーツ生化学の専門家は「テストステロンを体内でしっかり作るために、良質な脂質を大量に摂取しているだろう」と分析しています。

あの選手も、この選手もヴィーガン

ヴィーガンのアスリートが高いパフォーマンスを発揮できることは、ハミルトン選手が証明しています。というのも、ハミルトン選手はヴィーガンに転向した2017年から4年連続で世界一の座に君臨しているのです。それでは、ハミルトン選手以外にヴィーガンを実践しているアスリートには、どんな選手がいるのでしょうか。

まずは、テニス界のスーパースターであるノバク・ジョコビッチ選手です。体力の消耗が特に激しいテニスですが、ヴィーガンライフを始めてからは試合後の回復が良くなり、アレルギーもなくなったといいます。

続いてもテニス界から。姉妹で活躍するセリーナ・ウィリアムズ選手もヴィーガンを実践しています。それどころか、ヴィーガン衣料品ブランド「Serena」を展開して、ヴィーガンの魅力を世界中に発信する役割を担っています。

アメリカのプロバスケットボール・NBAの人気プレイヤー、カイリー・アービング選手もヴィーガンに切り替えた一人ですが、パフォーマンスが格段に上がったそうです。2メートル以上の屈強な選手がぶつかり合うのが魅力のNBAですが、その分消耗も激しくなります。そこで、回復力をアップさせるためにヴィーガンになる選手も増えています。

ヴィーガンライフでテストステロン値を高める

ヴィーガンとテストステロンの関係について紹介してきましたが、いかがでしたか。動物からの搾取をしないというヴィーガン本来の目的のほかにも、トップアスリートのように体質を大きく変えたい場合など、ヴィーガンにチャレンジする理由はさまざまです。

ヴィーガンのテストステロン値は肉食よりも高く、さらにはベジタリアンも超えることがわかりました。これからは、テストステロン値を高めるためにヴィーガンライフを始めてみようという人が増えていくかもしれませんね。

  • 参考文献
    ・ビーガンのF1チャンピオン、ルイス・ハミルトンの食生活 https://www.businessinsider.jp/post-179662
    ・SHBGの生理的意義解明による抗肥満および糖・脂質代謝改善戦略の創成 https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-17K16158/
    ・ハッピーキヌア https://happy-quinoa.com/
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