医療法人社団桜門会ＳＰＪ東京クリニックの薄毛やヘアスタイルの悩みにこたえるヘアタトゥーとは、いったいどのような施術なのか？どんな方が来院するのかをお話をお聞きした内容をご紹介します。

• ヘアタトゥーは専用の針とインクを使って、髪の隙間を埋めていく施術    
• 頭皮専用に独自開発されたインクを使って毛根を再現
• 女性向けメニューも開始
• 自然な仕上がりにするために、３種類の針を使い分け
• 医療機関でやっている施術
• 自毛植毛の手術痕のケアに
• 植毛とヘアタトゥーのコンビネーション
• ヘアタトゥーの持続期間は？

ヘアタトゥーは専用の針とインクを使って、髪の隙間を埋めていく施術    

「薄毛の悩み」というと男性型脱毛症（ＡＧＡ）を想起する人が多いだろう。だが他にもケガによる傷痕や円形脱毛症などによる不自然なハゲが残っていることにストレスを抱えている人もいる。これらに対する新たな解消術として注目を集めているのが、「ヘアタトゥー」という施術。タトゥーと聞くと尻込みしてしまいそうだが、医療機関が提供する立派な施術なのだ。一体どんなメカニズムなのか。

「私たちが行っているヘアタトゥーは、ＭＨＴ（マイクロ・ヘアー・テクニック）というもので、専用の針とインクを使って、髪の隙間を埋めていくというやり方です。海外ではＳＭＰ（スカルプ・マイクロ・ピグメンテーション）と呼ばれています」

こう話すのは、医療法人社団桜門会ＳＰＪ東京クリニックの看護師長としてヘアタトゥーの施術に携わる森山カノさんだ。同クリニックはＪＲ浜松町駅から徒歩で７分ほど。都心近郊ということもあり、「お仕事の昼休みにいらっしゃる方もいます」という。

頭皮専用に独自開発されたインクを使って毛根を再現

ＭＨＴでは、頭皮専用に独自開発されたインクと針を使って色素を頭皮に定着させて毛根と同じようなドットを醸し出す。濃淡や大小は、顧客の希望によって自在にアレンジできるという。

ＭＨＴの元であるＳＭＰとは、イギリスのＨＩＳヘアークリニックによって生み出された技術。２０００年初頭に始められ、現在では世界の主要都市５３の支店で展開されている。

「ファッションとしてのタトゥーが定着していたイギリスならではの着眼点かもしれませんね。私たちの代表が１０年前に研修を受けに行ったのが、日本で始めるきっかけになりました」

現地で技術を習得後、ＳＰＪ東京クリニックが立ち上がったのが２０１１年。もともと有していた技術に加え、日本人の頭皮やニーズに合った繊細な技を組み合わせた。

女性向けメニューも開始

「施術を希望される方の年齢層は１０代から７０代までと幅広く、一番多いのはやはり３０～４０代の方です。昨年5月からは女性向けのメニューも始めました」

ヘアタトゥーは当然ながら「抜けた毛を復活させる」といったものではない。どちらかというと、見た目における「髪の密度を増やす」というイメージを持つといいかもしれない。

「皮膚の色を変えていくというイメージですね。痛みが気になる場合は、表面麻酔を使用します。薄毛に見えなくなるのが完成形。たとえば前頭部のＭ字だけの場合ですと、１回の施術につき２時間程度、これを２回にわたって行います」

自然な仕上がりにするために、３種類の針を使い分け

施術は無料のカウンセリングを経て行われる。施術の範囲がヘアラインおよびその周辺（Ｍ字部分のカバーなど）で回数が２回の場合、費用は１５万～２０万円。頭頂部の含む場合は、２０万～３０万円となる。回数は薄毛のタイプによって異なり、間隔は頭皮のダメージ回復状況を見ながら通常１～３週間空けるという。

「薄毛が隠れた後はヘアラインを整えるといったファッションの要素が大きくなっていきます。自然な仕上がりにするために、３種類の針を使い分けます」
※自由診療のため保険適用外

医療機関でやっている施術

「何だ、しょせんはファッションか」と侮るなかれ。実はこの技術、薄毛やファッション以外にも円形脱毛症や頭部に残る傷痕などにも応用可能なのだ。

「事故や小さいころに負った傷、ホクロの除去手術痕といったケースもあります。この場合は傷が隠れるのが完成形ですね」

とはいえ、やはり「タトゥー」というと、ネガティブなイメージを持つ人もいるのでは？

「もちろんあると思います。ただ、医療機関でやっている施術なのだという安心感と知名度が上がっていたこともあり、クリニックが開設された当初の１０年前とは変わってきていると思います。このクリニックはヘアタトゥーを専門的にやっていますので」

自毛植毛の手術痕のケアに

さらにヘアタトゥーでカバーできるのが、自毛植毛手術による手術痕だ。近年の自毛植毛では専用機器を使って後頭部から髪を毛根ごと抜き取り、薄くなった部分に埋め込む手法がとられている。メスで頭皮を切り取るのと比べれば圧倒的に少ない範囲ではあるのだが、どうしても抜いた部分の手術痕が残ってしまうのだ。

「手術痕もそうですが、植毛した部分にもヘアタトゥーはいかせます。そもそも植えこむ髪の毛の量が薄くなった部分に対してどうしても少ないので、完全に密度を表現するのは不可能に近いんです。ですから、植毛された髪の毛の間にヘアタトゥーで点をつけていく。そうすることでいっぱい髪の毛があるように見えるんです。隙間を埋めて、自然に見せようということですね」

植毛とヘアタトゥーのコンビネーション

もっとも、森山さんは自毛植毛手術そのものを否定するわけではない。むしろ「とくにＭ字部分でお悩みの方には、植毛とヘアタトゥーのコンビネーションはすごくいいと思います。植毛だけですべてカバーしようとすると、やはり費用が高額になってきますし」と話す。

では、ヘアタトゥーの施術を受けた後、通院の必要はあるのだろうか。

「通院の必要はありませんし、施術後の生活の制限もありません。人によって血が出てかさぶたができることがあるので、そのかさぶたをはがさないこと。あとは１週間程度、あまり直射日光にあたらないように気を付けていただければ大丈夫です。その後は普通の生活に戻れます」

ヘアタトゥーの持続期間は？

もう１つ、効果がどれくらい持続するのかも気になるところだろう。

「これは個人差があるので一概には言えませんが、ゼロになることはありません。皮膚は代謝によって生まれ変わりますので、若い人の方が消えやすいということはあります。ただ、最初の施術でどれくらいの濃度にしたかにもよります。希望によって濃度の微調整ができますから。傷痕への施術の場合は、皮膚の代謝が起きないので、しっかりと残ります」

その上で、実例を紹介してくれた。

「スキンヘッドでヘアタトゥーをかなり薄めに入れた方が７年ぶりに来たときは、９割くらい消えていました。一方でＭ字の施術で６年ぶり来た方は、メンテナンスが不要なくらい濃く残っていました」

実は森山さん自身もヘアタトゥーの体験者だ。

「私たちのクリニックのスタッフは皆、薄毛に悩んでいた時期があるんです」

薄毛に悩みウィッグをつけたりしたこともあったが、ヘアタトゥーの存在を知って、思い切って受けてみたという。

「薄毛の悩みに対して、市販の育毛剤などですと効果が期待できないかもしれない。でもヘアタトゥーなら短期間で解消できるので、画期的だと思いました」

※2020年8月施術（2回で完成）
M字施術（頭頂部と後頭部も予防的に施術をしたため金額は27万円） 23歳から薄毛が気になりはじめ、28歳の現在はほとんど帽子を被っていた。 ヘアタトゥーを知り、すぐに施術を決断。 完成とともに帽子で隠すことはしなくなり、周りからは帽子を被っていないことに驚かれるそうです。 

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