包茎の種類とそれぞれの手術・治療方法を分かりやすくご紹介

2020/06/12 包茎手術
包茎の種類とそれぞれの手術・治療方法を分かりやすくご紹介

男性の他人に言えない大きな悩みの1つに「包茎」があります。


ずっとコンプレックスを持ち続けている人も多いはずでしょう。その悩みの理由は年齢によって違う。


最近は、寝たきりなどの要介護になった時に家族や看護師さんに恥ずかしい姿を見せたくないと、包茎手術を受ける高齢者が増えているという。


そんな包茎手術ですが、保険診療と自由診療の手術では何が違うのか。
また、包茎の種類から様々な包茎手術方法の詳細をイラストや図を使って分かりやすくご紹介します。


包茎の種類は大きく3つ


包茎とは、勃起していないときに包皮が亀頭を覆っている状態のことをいう。


これは主に、「仮性包茎」「真性包茎」「嵌頓包茎(カントン包茎)」の3種類に分かれます。
ご自身がどの種類に該当しているかによって公的保険で手術が受けられるどうか判断が異なるので、違いを理解しておきましょう。


①仮性包茎とは(基本的に手術は保険適用外)


仮性包茎とは

仮性包茎は、普段は亀頭の一部や全部が包皮で覆われていますが、勃起時には亀頭が露出する、もしくは手で包皮をむけば亀頭が簡単に露出するタイプの包茎


包皮が余分に長いことが原因なので、排尿や性行為などの機能的な影響はほとんどないですが、不衛生になりがちで臭いも生じるため治療を意識する男性は多いです。


日本人の成人男性の約6割は仮性包茎といわれています。



②真性包茎とは(手術に保険適用あり)


真性包茎とは

真性包茎は、包皮口が狭いため勃起時に亀頭が露出しない、勃起していないときでも手で包皮をむくことのできない包茎


亀頭を露出させて洗浄できないので衛生上でかなり問題があり、包皮が赤く腫れる亀頭包皮炎や性感染症などの病気にかかりやすくなります。


男性形成外科「AGクリニック銀座」の乙供太郎院長はこう警告する。


「特に、排尿すると亀頭と皮の間に尿が溜まって膨らんでしまう『バルーニング』という状態が起こるほど、包皮口の狭窄が強い人は要注意です。排尿のたびに膀胱、尿管、腎臓などの尿路の圧が上がるので、次第に腎機能が低下する可能性があります。即手術を考えましょう」とのことで、重度の真性包茎の場合は手術が即必要となるでしょう。



③カントン包茎とは(手術に保険適用あり)

カントン包茎とは

カントン包茎は、普段は亀頭を露出することが可能なので医学的には仮性包茎に分類されますが、一般の仮性包茎より包皮口が狭いタイプの包茎


そのため勃起時に亀頭が露出できなかったりもします。


勃起時に無理に亀頭を露出させたり、包皮をむいた状態で勃起すると締め付けが強すぎて強い痛みが生じ、包皮を戻したくても戻せなくなる場合がありますが、
こうなった場合は注意が必要です。


「狭窄のせいで亀頭に入った血液が戻らなくなると、どんどん亀頭とその周囲の包皮が腫れ上がります。するとさらに包皮を戻せなくなる悪循環に陥ります。放っておくと亀頭が壊死を起こすので、緊急手術が必要になります。事前に治しておくべきです」(乙供太郎院長)


手術・治療した方がいい包茎の種類とは


「真性包茎」や「カントン包茎」は衛生上や機能的な問題があるので、できるだけ早めに手術を受けて治した方がいいでしょう。「真性包茎」や「カントン包茎」の手術はそのためも保険適用になっています


しかし、仮性包茎であっても手術で余分な包皮を切除した方がいい場合があり、乙供院長は、次のようなケースを指摘する。


①包皮をむくことができるが、定期的に先端の皮が赤く腫れる炎症を起こす人
②勃起するたびに包皮口が広げられて皮膚に裂け目ができ、だんだん包皮口が狭くなってきている人



①は、亀頭や包皮に炎症が起こる「亀頭包皮炎」という病気。


赤く腫れて痛みやかゆみを伴う。衛生上の問題で、細菌やカンジダ(カビの一種)などの感染で起こることが多いです。


②は、糖尿病の人に多くみられる「糖尿病性亀頭包皮炎」という病気。


血行障害で包皮の柔軟性(伸張性)がなくなり、勃起が起こると包皮口に縦に亀裂が生じて発症します。傷が治った部分は硬くなり、伸びなくなるので再び亀裂が入る。


これを繰り返すとだんだん包皮がむきにくくなり、放置すると真性包茎に移行する場合もあります。



また、仮性包茎は排尿や性行為など機能的な影響はほとんどないと言っても、実際には包茎手術を希望する人は多いです。それは昔から「包茎は恥ずかしいもの」という負のイメージが一般的に定着しているからでしょう。


「コンドームが抜けやすい」「陰毛が包皮に挟まる」などを嫌がる人もいます。


「仮性包茎で包茎手術を希望する人は、見た目(美容)的に治したいわけですが、誰に見られるのが恥ずかしいか、という対象は、世代によっても変化します。


そのコンプレックスを1回の手術で取り除けるのなら、自由診療でも構わないという強い思いを持っているのです」(乙供院長)




包茎手術・治療を望む世代別の悩みの傾向

◆20~30代
セックスのとき、パートナーに見られるのが恥ずかしいから


◆40~50代
ゴルフ後の入浴や温泉などで、知人に見られるのが恥ずかしいから


◆60代以降
介護を受けるときのことを考え、世話してもらうとき恥ずかしいから



包茎手術・治療の種類


病院の泌尿器科(保険診療)で行われる手術と、男性形成外科(自由診療)で行われる手術では何が違うのか。



当然、自由診療では公的保険が利かないので手術費用が高くなり、その費用設定もクリニックによってまちまちだと思います。


乙供院長によると「保険適用になっている手術は世界的スタンダードな術式ですが、真性包茎やカントン包茎とい病気を治すことを目的としているので、美容面の配慮はされていません。
そのため手術を受けたことが見た目で他人に分かるのです。一方、自由診療で行われている術式は美容面(見た目)を重視しているので、手術の痕が目立ちにくいのです」


美容面は気にしないというのであれば、泌尿器科で手術した方が費用は安く済むみますが、仮性包茎の場合は保険適用外になります。


そもそも包茎で悩んでいるのだから、手術を受けたことが分かりにくく治してもらいたいというのであれば男性形成外科で治した方がいいでしょう。



保険適用になっている包茎の手術方法とは


●環状切除術とは(すべての包茎に対応)

環状切除術とは

包皮の狭くなっている部分を環状(帯状)に切除し縫い合わせます。


欠点は、普段から縫合部(手術痕)が見えるため、肌色と茶色の部分のツートンカラーになることでしょうか。



●背面切開術とは(行われることは少ない)

背面切開術とは

包皮口を縦方向に切開し、包皮を開いてそのまま横方向に縫合します。


陰茎の背側(上側)だけ短くなり、陰茎の腹側(裏側)は長いままなので、術後の包皮のバランスが悪くなりやすいです。


一般的には、包皮が戻らないカントン状態で救急受診したときに、応急処置として血流障害を解除する目的で行われます。



自由診療で行われる主な包茎の手術方法とは


●亀頭直下法とは(すべての包茎に対応)

亀頭直下法とは

亀頭のすぐ下の包皮から余っている包皮を切除し縫合します。


縫合部が亀頭下の環状溝(カリ首の後ろ)の部分に隠れるので、普段の状態では手術痕が表面に見えることはないです。



●バックカット法とは(仮性包茎に対応)

包茎手術-バックカット法とは

陰茎の根元の方から余っている包皮を切除し縫合します。手術痕が根元にできるので、陰毛に隠れて目立ちにくい。


真性包茎やカントン包茎は対象外で、仮性包茎でも包皮の狭い部分がないタイプの包茎だけが対象となります。


「いま、自由診療のクリニックで行われている包茎手術の基本は亀頭直下法です。しかし、包皮を切りすぎてしまうと、勃起したときに陰茎が突っ張ってしまう合併症が起きてしまいます。
ですから担当する医師には適確に手術をデザインする熟練した技術が必要になります」(乙供院長)


日帰り手術で、かかる時間はどれも30~40分ほど。術後、性行為ができるのは1カ月後くらいになります。


包茎手術の費用の参考価格「AGクリニック銀座」の場合


当クリニック「AGクリニック銀座」での包茎手術にかかる費用は下記になります。

◆環状切除術:5万円(税別)
◆亀頭直下法(狭窄のない場合)12万円(税別)
◆亀頭直下法(狭窄のある場合)14万5千円(税別)



包茎専門の男性形成外科クリニック選び方


包茎手術を受ける場合、その人が考えている費用対効果によって満足度は大きく異なってくるでしょう。


例えば、真性包茎やカントン包茎の人で費用を安く抑えたいのであれば、一般病院(泌尿器科)で手術を受ければ公的保険が利くので最低限の費用で済みます。


一方、手術の仕上がりの見た目にこだわるのであれば、包茎専門のクリニックで受ける必要がありますが、自由診療であるため費用設定が施設によってさまざまなので、それだけクリニック選びが重要になってくるでしょう。


オプションを含め、どんな手術プランだといくら費用がかかるかの相談はクリニックのスタッフとやり取りします。しかし、その前に手術を受ける本人が、選んだ手術プランの内容をきちんと理解していることが大切です。

包茎手術と一緒に亀頭のエラを大きくする「亀頭増大」やペニスを長くする「長茎術」を希望する方も多く、治療・手術内容については「亀頭増大や長茎術の治療方法を分かりやすくご紹介」で詳しく紹介しているので、興味がある方は参考にしてください。


手術の技術力も、包茎専門クリニックで年間100件以上行っている医師であれば、十分なスキルがあると思っていいが、それを確認するためにも手術前に担当医師に直接会って説明を十分聞いてから判断することが重要だと思います。



担当医師に確認する項目をご紹介


●術式の選択肢
●各術式のメリットとデメリット
●副作用や合併症のリスク
●副作用や合併症があった場合、どんな対応ができるのか



上記の項目と合わせて乙供院長は、こうアドバイスする。



「クリニックに予約を入れて、初めて来院した当日に手術を受ける患者さんがいますが、それはやめましょう。
医師に直接会って説明を聞いたら、一度プラン(見積り)を持ち帰って冷静に検討してみる。できれば複数のクリニックで説明を受けて、比較して決めるのがいいと思います」



包茎手術では、インフォームド・コンセント(医師と患者との十分な情報を得た上での合意)が十分でなかったために、トラブルになるケースもあります。


国民生活センターが「美容医療サービスにみる包茎手術の問題点」という報告書をまとめているので包茎の手術・治療を検討している人は、クリニック選びの参考にしてください。

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この記事の監修者

乙供 太郎

乙供 太郎

2008年山梨医科大学医学部(現山梨大学医学部)卒業。研修を経て横浜市立病院麻酔科勤務。東京医科大学泌尿器科へ転科しその後は東京腎泌尿器科センター大和病院、NTT東関東病院、有名男性美容クリニックで泌尿器科疾患の多くの症例や手技の研鑽を積み、2019年銀座にAGクリニック銀座を開業。ED治療、排尿困難治療、性感染症、メンズ脱毛など男性医療専門クリニックとして男を元気にする活動に邁進している。

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