日本人に必須の栄養素なのにビタミンDのサプリが不人気なワケは?

2021/02/15 免疫力向上

男の底力上げる20210201/ビタミンD

アンチエイジング医療の第一人者、満尾クリニック(東京都渋谷区)院長の満尾正医師=顔写真=が注目するビタミンDは、本来は紫外線を浴びることで皮膚で生成される。しかし、日に当たる時間の短い現代人は不足しがちだ。不足分はサプリメントなどで摂取するしかないのだが、そこにも知識不足による誤解があるという。満尾医師に理想的なビタミンDの取り方を解説してもらう。



現代人が本当に摂取すべきビタミンDとは?

前回は、ビタミンDには「活性型」と「不活性型」の2種類があり、この2つを混同すると効果的なアンチエイジングにつながらないばかりか、逆に過剰摂取による危険性が指摘されることがあると述べました。

では、本当に現代人が摂取すべきビタミンDとは、どのようなものなのでしょうか。

前回も書いた通り、日本ではビタミンD製剤を健康保険で処方することができます。しかし、保険で出せる製剤は「活性型」と呼ばれるタイプ。これは、過剰に摂取すると血管や心臓、腎臓などにカルシウムが沈着する高カルシウム血症という病態を招くことになります。したがって、医師が健康保険で処方するビタミンD製剤は、その使用法に十分な注意が必要なのです。

ビタミンDサプリが不人気なワケ

一方、青魚、鮭、卵など普段の食事で取れるビタミンDや、サプリメントとして売られているビタミンDは「非活性型」と呼ばれるもので、紫外線を浴びて皮膚で作られるビタミンDと同じ構造。体が必要とする分だけが利用され、余ったら排泄されるので、過剰摂取の心配はありません。

ならばビタミンDのサプリはもっと人気になるべきですが、なぜか日本人はこのサプリを積極的に摂取しようとしません。なぜかというと、サプリのビタミンDは価格が非常に安いからなのです。

メーカーにもよりますが、安い商品だと1カ月の必要量を摂取して200円もかからない商品さえあります。

日本人の性格として、サプリメントのような商品は「値段が高い方を信頼する」という判断基準があるようです。

高齢者と女性は特にサプリを

しかし、ビタミンDに限って言えば、「安かろう悪かろう」という考えは当てはまりません。積極的に利用すべきです。

特に、サプリメントでのビタミンD摂取を心がけてほしいのは、高齢者と女性です。

高齢者に勧める理由はこうです。人間の体でビタミンDを作る際は、「プロビタミンD」という酵素が原料となるのですが、この酵素は年齢とともに力が弱まります。同じ紫外線を浴びても、若い頃のように十分なビタミンDを作ることができなくなるのです。

女性のビタミンD不足の理由は簡単で、女性は日焼けやシミを恐がり、必要以上にUVカットをするからです。さらに言うなら、「魚嫌い」も女性に多く、こうした人は慢性的なビタミンD不足状態といえるでしょう。

次回は、サプリメントと日常の食事で上手に必要量のビタミンDを摂取するために知っておきたい基礎知識をお伝えします。

(構成・中井広二)

【満尾正医師】 1982年、北海道大学医学部卒業。杏林大学救急医学講師、米ハーバード大学外科栄養代謝教室研究員、救急振興財団教授を経て、2002年、キレーション治療を中心とした抗加齢医療専門クリニック「満尾クリニック」を開業し院長。日本抗加齢医学会認定医。米国抗加齢医学会認定医。医学博士。最新刊に「医者が教える『最高の栄養』」(KADOKAWA刊)。

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