【全文掲載】男性の健康と幸福を語り合う「男塾」第5回《ビタミンDと男性ホルモン》#01

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堀江:皆さん、こんばんは。男性がより健康に溌剌として人生を送るためのウェブライブセミナー男塾をご視聴いただきありがとうございます。私は、この男塾を主催する順天堂大学の堀江と申します。

この男塾は、男塾運営委員会2020、そして夕刊フジの男性のための健康サイトDANTESの共催として、さらに日本メンズヘルス医学会、日本抗加齢医学会、テストステロンアカデミー、生活向上ウェブの開催協力、後援でお送りしております。

この男塾は、原則毎月第3水曜日の夜8時から、様々な領域のゲストをお迎えしてYouTube男塾のチャンネルより無料でライブ配信をいたしております。どうかこの男塾チャンネルをご登録いただければと思います。さて、本日の男塾第5回目になりますけど、満尾クリニックの院長でいらっしゃいます、満尾正先生をお招きしてお届けします。

そして講演後のディスカッションには、健康医療ジャーナリストの西沢邦浩さん、夕刊フジ代表兼編集局長の佐々木浩二さんに加わっていただきます。それでは西沢さん、佐々木さんお入りいただけますでしょうか。

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西沢:こんばんは


佐々木:
こんばんは 


堀江:
こんばんは。コロナ禍第三波。だいぶ患者さんが多くなっていますけども。


西沢:
今日はひどいですね。東京。


堀江:
今日ひどいですか? 


佐々木:
最高人数ですよね。


堀江:
なんとか収まってくれればいいかなという気もします。本日のテーマで、満尾先生にお話しいただくのは、ビタミンDと男性ホルモンということですが、今日ご視聴の方にはご存じの方も、ご存じでない方もいらっしゃるかもしれませんが、新型コロナウイルスの予防でも注目されているのが、このビタミンDですね。 


満尾先生からは、COVIDコロナウイルスとビタミンDについて最初お話しいただいて、もう一つは、ビタミンDは男性ホルモンをアップするとか、そういう働きもあるということで、このホルモンとビタミンDの関係。 そして、なんと日本人の80%が実はビタミンD不足という、大変な実態がありますが、そういった中で、どうやってこのビタミンDを高めていくことでコロナも予防して、男性力もつけるか、ということをお話しいただきたいと思っております。 


それでは満尾正先生をご紹介したいと思います。 

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満尾正先生は1982年北海道大学のご卒業で、救急医学を最初専門とされていまして、救急救命医療の第一線に立たれています。その後、ハーバード大学で栄養学を勉強されまして、帰国して2002年から現在の満尾クリニックを開設されています。

満尾先生は救急医療、そして栄養学の非常に深い知識と共に、私も加わっております、日本抗加齢医学会の創設時からの非常に重要なメンバーとして、アンチエイジング医学の日本のエキスパートとして、私も以前から尊敬をしている先生です。 


満尾先生はまたキュレーションのオーソリティでもありまして、日本キュレーション協会、こちらの方の代表もされております。満尾正先生お入りいただけますか。




満尾:
どうも堀江先生こんばんは。


堀江:
先生こんばんは。ご無沙汰しております。


満尾:
今日はお招きありがとうございます。


堀江:
では先生、早速お話の方お願いできますでしょうか。


満尾:
はい。では早速画面の共有をさせていただきたいと思います。 

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満尾:皆さま、こんばんは。満尾クリニック院長の満尾正と申します。ただいま堀江教授の方から過分なご紹介をいただいたわけですが、アンチエイジングクリニックを2002年に開業してから気が付けば20年近くが経ってしまいました。


医者になって40年ですから、ほぼ半分をこの領域で過ごしたことになるわけですけど、今日は堀江先生からビタミンDと男性ホルモンについて話してくれということで機会をいただきましたので、お話しさせていただきたいと思います。 


前半は、皆さん何といっても今、新型コロナ感染に非常に関心がおありだと思います、そのビタミンDとCOVID19新型コロナ感染についてご紹介させていただいて、次にビタミンDとはいったいどういう物なのかと、日本人の現状はどうなのか。次にまさか男性ホルモンとの関係があるのかという所を皆さんにご紹介させていただいて、最後にビタミンDが足りなそうだから補充したいという方のために補充の方法をお話しできればと思います。 

では早速始めさせていただきます。

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今何かと話題のWHOですけども、上気道感染予防にはビタミンDを、というアナウンスを、ホームページをご覧いただくと出しています。誤解しないでいただきたいのは、COVID新型コロナウイルス(COVID19)の予防にいいとは言っていないところがミソです。


実は、10年以上前からビタミンDを摂ることがいわゆる上気道感染、風邪ですよね、その予防になることは日本ではあまり知られていないですけど、欧米ではもう半ば常識になっております。 


ですからWHOもこういう案内を出しているわけですが、その理由のようなものがこちらのスライドになりまして、これはボストン、カナダのエドモントン、ベルゲン、ノルウェー。いわゆる緯度が高くなればなるほど、夏場のビタミンDは低くなりますよということです。

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季節変動でビタミンDの濃度を調べてみると、当然1月や2月が一番低い時期で、夏にかけてビタミンDは高くなります。今、コロナ感染者増えてきているわけですけど、では何で寒くなるとインフルエンザが流行ったり、そういうことが起きるのか不思議に思われる方もいらっしゃると思います。


一つの仮説は、このようにビタミンDが最も血中濃度が下がる時期に免疫力が落ちて、そのためインフルエンザにかかるのでないかという、これは今、慈恵医大の教授をされている浦島(充佳)先生が世界的に有名な論文を出されていますけれども、実際に小学生にビタミンDを飲んでもらい、インフルエンザの罹患率を調べたという有名な研究があります。 


この時期これから冬に向けてビタミンDはどんどん下がってきます。その時期にこういう感染症が増えるということは、これは洋の東西問わず、起きている現象ということが言えます。 


これは、南半球ですね。北半球と逆で当然ひっくり返る現象が起きている、というデータも確認されています。この新型コロナウイルスの話題に持っていきますと、これは欧州20カ国の国民の、ビタミンD血中濃度の平均値というデータがございまして、意外なことに下からポルトガル、スペイン、このあたりは地中海。お日様がさんさんでビタミンDが高そうですけど、意外とビタミンD濃度が低いですね。 

日本人は24~25くらいなのです。そして、スペイン、スイス、イギリス、ベルギーの数値を覚えておいていただきたいのですが、今の国がここに全部並んでいます。

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これは何かと言うと、100万人当たりの死亡者数とCOVID19による死亡者数の高い方から並べてありますけど、先ほどの1枚(スライドを)戻って、イタリア、ベルギー、イギリス、スイス、スペイン、5つの内4つがここに入ってきています。


これは一つ、これが出たのは5月ぐらいの論文ですが、これ待てよ、と。ビタミンD濃度が低いほど死亡者数が高いのではないかと、そういうことがこの春先から言われるようになったわけですね。 


これは新型コロナウイルスに関してです。ちょっと余談ですが、この表にスウェーデンがあります。皆さんご存じの通り、あえて厳しいロックダウンをしなかった国です。スウェーデンは、そこそこ100万人当たりの死亡者数はいますが、また1枚戻ります。 


北欧4国、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、そしてスウェーデン。ビタミンD濃度が実は日本人の平均値より高いですね。これはどういうことかというと、北欧は冬真っ暗ですから、国がビタミンDを積極的に摂るように指導しています。 

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ですから国民の平均値が日本人より高い。北欧4国の中でもう1枚戻るとスウェーデンだけ徐々に出ていますけど、後の4カ国は入ってこないですね。デンマークはかろうじて出ていますけど、ノルウェーとかはかなり低いです。

ですからビタミンDが高い国では、コロナによる死亡者数が少ない可能性がある。スウェーデンはロックダウンをあえてしなかったので、(コロナによる死亡者数が)高いのではないかと言われていたわけです。 

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それをもっとわかりやすい論文にしたのがこれで、ビタミンD濃度が高くなればなるほど、100万人あたりの感染者数が、こういう風に統計的に逆相関といいますけども、(感染者数が)下がります。そしてもう一つは死亡者数も同じく、ビタミンD濃度が高くなればなるほど、(死亡者数が)下がります。


この日の丸マークは日本人の平均値があるところですね。ですから日本人もこれから日照時間が短くなってきますから、ビタミンDの補充を真剣に考えた方が良いのではないか、ということが言えると思います。 

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それを決定的にしたのが、後でご紹介しますがビタミンDをライフワークとして研究されている、「ドクタービタミンD」と呼ばれているマイケル・ホーリック先生。
ボストン大の教授ですけど、彼がなんとアメリカ人の約19万人を調べたという膨大なデータをまとめられまして、この9月に論文で発表されています。これはどういうものかというとPCRで新型コロナが陽性になるその率を、率と血中ビタミンD濃度について調べたわけです。 


その結果、ビタミンDが高くなるにしたがって、新型コロナウイルス陽性率が低いという、疫学的な研究結果を出しました。そして日本人、主に欧米諸国の、先進諸国の都市圏のコロナウイルス陽性者は大体10%前後と言われています。 


そうすると、大体ビタミンDの平均値とぴったりここは一致します。日本人も大体このくらいです。一方、血中濃度をどんどん上げていくと40~50くらいにすると、ほぼ6%まで下がりますから、約半分くらいに感染率が下がるはずだと。これはもう素晴らしいデータです。



この1、2カ月、どのメディアも全くアナウンスしてくれていないのですが、ビタミンDですね。是非とも皆さんに摂っていただきたい栄養成分だということが言えると思います。そして、もう一つ衝撃的なデータがスペインから報告されていまして、先ほどお話ししたこちらのデータは横断研究といって、現状を見て調べたらこうだったよというものです。 

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血中ビタミンD濃度が高いほど、どうやら感染者が少ない。でも治療になるかどうかはまだクエスチョンなわけです。ところがこのスペインから出たデータは、まずPCR陽性の患者さんに対して入院後ビタミンDを投与したわけです。
そして、投与しなかった患者さんが26名。投与した患者さんが50名。ビタミンDを投与された患者さんなんと50名中1人しかICUに入らなかった。すなわち、重症化した患者さんは50人中1人ということは2%ですよね。 


一方、ビタミンDを摂らなかった患者さんは26人中13人が重症化して、ICUに入ってしまった。ICUというのは、いわゆる人工呼吸だったり、今話題になっている、血液中に酸素を送る機械、そういうのを装着しなくてはいけないくらい重症になったということです。 これは世界で初めての臨床研究になりまして、コロナにかかっても、ビタミンDを摂れば重症化を防げるのではないかという大きな提言をしてくれたわけです。 


とはいえ症例数が100人に満たないので、絶対的な事実と言えないですが、今こういうコロナがどんどん増える時期には真剣にとらえて、副作用が無い栄養の一つですからビタミンDを積極的に摂るべきだ、ということが言えると思います。 

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アメリカでは今どんどん増えていますが、春先、黒人で死亡者が多いということが話題になりました。その時アメリカの公的機関は、黒人は経済的に恵まれない人が多くて密集した地域に住んでいるとか、栄養状態が悪いとか、様々な理由が述べられていましたが、実は黒人はビタミンD濃度が低いですね。


これは後程、また説明しますけども、おそらくそれも一つの原因だったのではないかなと思います。今アメリカでこの当時非常にコロナ死亡者が多かったのですが、重症化する原因として肥満が大きく絡んでいることが分かってきています。 

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これは、フランスのデータですけど、肥満度が高いほどコロナが重症化するという綺麗なデータが出ていますけども、実は肥満の人では同じビタミンDを摂取しても血中濃度が上がらないことが分かっています。
ビタミンDは脂溶性のビタミンのため、全部脂肪細胞の中にビタミンDが溶け込んでしまうのですね。いわゆる血中濃度に増えてこないので、重症化しやすくなっているのではないか。こういう仮説も唱えられています。 

以上、ビタミンDとCOVID19の話を走りという形でご説明させていただきました。では堀江先生お願いします。 

以上。#02に続く

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