ビタミンD不足が、大腸がんの原因に

2021/03/17 免疫力向上

男の底力2021年03月17日

日本人がかかるがんの中で最も多いのは「大腸がん」。1年間に生まれる新しい患者数はおよそ15万8000人だ。大腸がんはこれまで、食生活の洋風化が原因とされてきたが、ここにきてもう一つ、根本的な原因が指摘されている。「ビタミンD不足」だ。東京都渋谷区にある満尾クリニック院長の満尾正医師に解説してもらう。


日本では、男性の大腸がんの罹患率は胃がんと前立腺がんに次ぐ3位、女性は乳がんに次ぐ2位です。原因としては以前から「食の洋風化」が指摘されてきました。

しかし近年は健康志向の台頭で和食が見直され、日本人の食生活もかなり改善されています。

なのに増え続ける大腸がん。何か別の要因があるのでしょうか。

実は非常に興味深いメタ解析(複数の研究結果を総合的・客観的に検証した解析)があります。14カ国15本の論文を対象としたものですが、大腸がんとビタミンDの関連について詳細に検討されています。そして、14本中の実に13本で、「血中ビタミンD濃度が上昇すると大腸がんのリスクが下がる」と報告していた、というのです

この報告では、血中ビタミンDの濃度を、低い方から順に以下の4つのグループに分けて検証しています。

 ・1群=20ナノグラム未満

 ・2群=20〜30ナノグラム

 ・3群=30〜40ナノグラム

 ・4群=40ナノグラム以上

 (いずれの数値も血液1ミリグラム中の値)

その結果、最もビタミンD濃度の高い「4群」は、最も低い「1群」と比べて大腸がんになるリスクが33%も低かったというのです。

このことから、ビタミンDが大腸がんのリスクを下げることに役立つことはほぼ見えてきたのですが、一方で最適な血中濃度、つまり「至適値」を探る研究も進みます。2018年には、それをまとめた報告が発表されました。

この報告では17の疫学研究を元に、大腸がん患者5706人、健常者7107人を対象として、ビタミンDの血中濃度と大腸がんの発症リスクを検証しています。

 ビタミンDの血中濃度が「20〜25ナノグラム」の群を基準として比較した時の大腸がんの相対リスクは次の通りです。

 「血液1ミリリットル中のビタミンD濃度が12未満」=1・31

 「同30〜35ナノグラム」=0・81

 「同35〜40ナノグラム」=0・73

 「同40ナノグラム以上」=0・91

これを見てわかる通り、血中ビタミンD濃度は30〜40ナノグラム/ミリリットル」の時に最も大腸がんのリスクを下げています。つまり、これが「至適値」であることが分かります。

そこで私のクリニックでは、大腸がんに限らず、あらゆる疾患に対する至適値として「40ナノグラム/ミリリットル」を推奨しています。

ところが、当院の受診者1700人を対象にビタミンD濃度を調べたところ、78%が30ナノグラム/ミリリットルにも届いておらず、4割の人は20ナノグラム/ミリリットル未満の「欠乏状態」でした。

これを見ると、「紫外線を浴びると皮膚がんになる」などという根拠に乏しい説を信じる日本人の“真面目な国民性”が、実は大腸がんの増加を陰でアシストしているのではないか…とさえ思えてきます。

(構成・中井広二)



【満尾正医師】 1982年、北海道大学医学部卒業。杏林大学救急医学講師、米ハーバード大学外科栄養代謝教室研究員、救急振興財団教授を経て、2002年、キレーション治療を中心とした抗加齢医療専門クリニック「満尾クリニック」を開業し院長。日本抗加齢医学会認定医。米国抗加齢医学会認定医。医学博士。最新刊に「医者が教える『最高の栄養』」(KADOKAWA刊)。


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