同じように見える白シャツでも、なぜか女性ウケ抜群の人がいます。その違いが「生地感」と「前立て」であることはあまり知られていません。耳慣れないワードですが、この２つの意味を理解することで、シャツの選び方は劇的に変わります。

湿度が高まる梅雨時期こそ、カラッとさわやかに見える白シャツ姿は大切です。そこで今回は、エレガントに見える「シャツの選び方」についてお伝えします。

前回紹介した「初夏をイメージした小花柄のポロシャツ」はステキですが、骨格によって似合う体形は絞られます。一方、不滅の定番である白シャツは体形を選びません。ただし、着こなし次第で選ぶ生地感は変わります。

たとえばノーネクタイで着用するとき、襟先をボタンで留めた「ボタンダウン」を選ぶ人は多いでしょう。しかし、第一ボタンを開けると襟の重さにシャツ生地が耐えられず、首下の生地がクシャっと歪んでしまうことがあります。この歪みこそが「シャツの着こなしがだらしなく見える」原因です。そこでシャツの生地感にこだわりましょう。

この場合、滑らかで光沢のある「ブロード織り」ではなく、通気性のある「からみ織り」のシャツ生地がおすすめです。２本の経糸（たていと）をねじりながら横糸を織り込んでいるため、生地自体に強度があります。そのため第一ボタンを留めなくても襟の重さに生地が耐えやすいのです。そして、この生地感を生かすためにはシャツの「前立て」のバランスも重要です。

ワイシャツに必ず付いている前立ては表側についた「表前立て」と裏側についた「裏前立て」に分かれます。第一ボタンを開けるなら、裏前立てがおすすめです。なかでも裏前立てを広くとったワンピースカラー（通称イタリアンカラー）シャツは、襟と裏前立てがつながっているため、襟立ちが崩れません。

留意点は、縮むことを前提に試着すること。綿１００％のシャツは縮むと言われていますが、からみ織りの場合、想像以上にギュッと目が詰まります。

「生地感」と「前立て」、同じように見える白シャツも、たった２つの工夫で印象は大きく変わります。湿気が多い季節も、カラッとした襟立ちのシャツで爽やかに過ごしましょう。

【写真】（上）からみ織りイタリアンボタンダウンシャツ（ＳＨＩＰＳ、１万４９６０円）

（下）ネクタイを前提としたブロード織り（筆者私物）