もう無駄な責任をとるのはやめよう

2023/05/13

俺活入門20230407

「責任をとりすぎることは無責任に通ずる」。何のことか?と思う人もいるだろう。しかし、本来、責任をとるべき人がとらず、自分が責任をとることは「誰かを無責任にしている」ということだ。そしてもう一つ、誰かの代わりに責任をとることは「自分の人生をないがしろにする無責任」でもあるのだ。

■それはあなたがとるべき責任か?

大手企業に勤める友人が最近、過労とストレスで意識不明になり生死の境をさまよった。ほかの人が起こした大失態の挽回担当に任命されたのがきっかけだった。

ピンチヒッターと聞けば名誉にも思える。しかし、それは本来、彼が背負うべき責任ではなかった。今の日本では「責任意欲の搾取」とも言うべき手法で、誰かが誰かに責任をとらせる現象が日々無数に起きている。そんな不条理の罠は、できるだけうまくかわすことだ。

■もっと誰かのせいにしていい

何か問題が起きたとき、事態を収拾する能力のある人と思われたくて、すべてを抱え込むのは優秀な人に多い。そこから悲劇が始まる。もっと事実関係を明らかにして、はっきり誰かのせいにすべきだ。

私自身も過去に何度か、「男気風」を吹かせて“挽回役”を買って出たことがある。だが、ろくなことはなかった。そもそもトラブル案件は、仕事のシステムや関わる人の人間性、思考回路に問題があり、起きた時点で、もう手遅れなのだ。

かなり暇ではないかぎり他人のトラブルは引き受けるべきではない。仮に引き受けたとしても、うまくいかない場合は、誰かのせいにしていい。そうしないと自分自身が犠牲になる。

■自分の人生に無責任にならない

今まで他人の責任を多くとらされてきた人は、実は自分の人生に対して無責任になっていると考えたほうがいい。誰かの責任をとるのは得意だが、自分の人生の責任はとっていないからだ。

ご先祖様からつながれてきた大切な命を粗末に扱うのはやめよう。責任を当事者に差し戻す。それが自分の人生に責任をとることにつながる。

■責任70点。人生130点で生きる

もっと自分本位で生きてみよう。いつも仕事のことばかり気にして、自分が責任を取ることに意義を感じて、休日もピリピリと気を張る。そんな生き方ではなく、もっと正しく、誰かのせいにしてみる。責任70点、人生130点で生きてみるのだ。

     ◇

もちろん、現実はここに書いたようにはできないこともある。抱える事情によっては、どうあがいても、そしてどんなに不条理でも、責任をとらされるケースはある。でも、今までいろいろな責任を被ってきたのなら、ほんの少しだけ自分本位になってもいいだろう。そうしてできた余白で、生きることを楽しんだり大切な人との時間を笑顔で過ごす。自分の人生に責任をとるのも、「俺活」のひとつだ。





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この記事のライター

潮凪 洋介

潮凪 洋介

エッセイスト・作家。著書累計70冊、168万部。「男の色気のつくり方」「もういい人になるのはやめなさい」「バカになれる男の魅力」「アナザーパラダイスの見つけ方」「自分の壁の壊し方」など。大人の海辺の社交場「芝浦ハーバーラウンジ」をプロデュース、累計7800人が参加。ライフワーククリエイト協会を設立、「会社でも家でもない”サードプレイス“で好きなことでライフワーク起業しよう」をテーマに講座を実施。


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