KinKi Kidsも大人になりアイドル人生は長くなった【織田哲郎 あれからこれから】

2020/06/06
織田哲郎

夕刊フジ紙面で毎週金曜日にコラム「織田哲郎 あれからこれから」を連載しているシンガーソングライター、作曲家の織田哲郎さんが6月5日発行の紙面で「若々しさ」について綴っています。長く生きることや若さだけに意味があるとは思えない。けれど、人が「向上」するための「期間が延長された」ことはありがたい、という言葉に共感を覚える人は多いのではないでしょうか。以下、織田さんのコラム全文です。

KinKi Kidsも、レッキとした大人

私は2004年にはKinKi Kidsに「Anniversary」を提供しました。この曲は彼らの20枚目のシングルということで、記念碑的な作品にしたいと言われたので、ストレートかつスケールの大きい、王道を行くメロディーを書いたつもりです。

彼らとは2001年に提供した「僕の背中には羽根がある」からの付き合いですが、「Anniversary」もアレンジ、歌唱ともにスケールが大きくて哀愁があり、かつ品の良い仕上がりにしてくれました。

ところでグループ名に“キッズ”が入っている2人ですが、いまやレッキとした大人です。「少年隊」というグループもいますね。

アイドルは人生の大半をかけて人々に夢を与え続ける仕事に

昔はアイドルという仕事は若い間だけで、その後は本格的な俳優業や歌手業に転身していく人が多かった気がしますが、今はアイドルという仕事自体が人生の大半をかけて人々に夢を与え続ける仕事に変化しました。

例えばビートルズは誰もが知るスーパースターですが、アイドルだったのは初期の数年間だけです。昔からずっとスターでいる人はいました。でもずっとアイドルというのは、またちょっと違うと思うのです。

これは世の中の人々全体が、昔より若々しくなっていることと関係があるのかもしれません。

「太陽にほえろ!」のボス、石原裕次郎は37歳だった

ドラマ『太陽にほえろ!』を一定の年齢より上の方々はご存じと思います。あの番組が始まったときのボス、石原裕次郎さんは当時37歳です。そしてあの時のショーケン、萩原健一さんは21歳なのです。

21歳で刑事になれるかどうかはともかく、裕次郎さんも萩原さんもずっとスターでしたが、当時すでにアイドルとは違うスタンスだったのではないでしょうか。

と、男性の話ばかりしていますが、女性も同様です。5月2日付のオリコン写真集部門1位と2位は、深田恭子さんと田中みな実さんという30代のお二人です。女性の年齢を言うのは失礼ですが、一応公表されているので言わせていただくと、深田恭子さんは37歳なのです。

長寿と若さで「向上できる」期間が延長された

世の中で行われている美魔女コンテストの優勝者は52歳だったりもします。ちなみに『サザエさん』の磯野波平は54歳、磯野フネは48歳です。なんという違いでしょう。

かく言う私も、還暦を越えてもなお、ステージでロックを歌っていられるとは、デビュー当時は夢にも思いませんでした。

長く生きること、若々しくいること自体に意味があるとは思いませんが、人間は生きている限り、何かを突きつめたり、向上したりしたいものではないかと思います。そのための期間が延長されたと考えれば、とてもありがたく感じる今日この頃です。

(夕刊フジ「織田哲郎 あれからこれから」2020年6月5日掲載)

織田哲郎(おだ・てつろう)


シンガーソングライター、作曲家、プロデューサー。1958年3月11日生まれ。東京都出身。79年のデビュー当初からCMやアーティストの音楽制作に携わる。TUBEの「シーズン・イン・ザ・サン」で作曲家として注目される。主な代表曲は「おどるポンポコリン」(B.B.クィーンズ)、「負けないで」(ZARD)、「夢見る少女じゃいられない」(相川七瀬)など。自らも「いつまでも変わらぬ愛を」がミリオンセラーとなる。

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