パイプカットの注意点と手術方法を分かりやすく紹介

2020/07/20 パイプカット
パイプカットの注意点と手術方法を分かりやすく紹介

パイプカットは精液に精子を含ませないようにする男性の避妊手術のことで、決まったパートナーとの性行為の際の「避妊の手間」を省き、安心のセックスライフを手に入れるための治療です。


日帰り手術で行われ、子作りを終えた中年層の男性に人気な治療です。


また、パイプカットの手術と同時に亀頭増大や長茎術、他にも包茎の手術を受ける方もいます。


同時に手術をする事で麻酔が1度で済み、術後のダウンタイムも同時に終えるので、体への負担も減らすことができます。


前回、亀頭増大は「亀頭増大や長茎術の治療方法を分かりやすくご紹介」と包茎については「包茎の種類とそれぞれの手術・治療方法を分かりやすくご紹介」ページにて、AGクリニック銀座の乙供院長が詳しく解説している記事がありますので、興味がある方は是非参考にして下さい。


日帰りで永続的な避妊効果を得られるパイプカットですが、元に戻す場合は可能なのか?手術内容や術後の注意点など気になることが多いと思います。今回はパイプカットについて乙供院長が分かりやすくご紹介します。


パイプカットとは精管結紮手術のこと


パイプカットとは正式には「精管結紮手術(せいかんけっさつしゅじゅつ)」と呼び、英語表記ではバセクトミー(Vasectomy)といいます。


海外ではバセクトミー(Vasectomy)が一般的な呼び方になりますが、日本ではパイプカットの方が呼び名としては浸透しているようです。

パイプカット治療内容の図

手術方法は、陰嚢を2~3㎜切開して精巣(睾丸)から伸びている精子の通り道の「精管」を切断し、その両端を医療用の糸でしばって切断した精管の両端を電気焼灼で閉じることで精子が出なくなり、高い避妊効果を得ることができます。


傷跡も時間と共に陰嚢のしわの一部ように見えてくるので、目立たなくなります。


手術では複数の麻酔を組み合わせて行うので、痛みをほとんど感じない方が多いです。
術中は無痛に近いといえます。麻酔を行う際だけ個人差ありますが、若干痛みを感じるでしょう。


パイプカットのメリットとは


パイプカットを行っても精液(精子は含まない)は出ますし、射精感も手術前と変わらないです。


男女様々な避妊方法がありますが、「コンドーム」は劣化などで破れていたり、不適切な装着方法などで穴が開いてしまう可能性も0ではありません。女性の避妊薬「ピル」は近年低容量が主流となり、副作用もかなり少なく使用しやすいですが、飲み忘れなどが懸念材料です。

両方とも高い確率の避妊効果はありますが、100%とはいえません。また、女性の不妊手術として「卵管結紮術(らんかんけっさくじゅつ)」がありますが、こちらは腹腔内手術が必要な点で、体表手術である男性のパイプカットよりも体への負担が大きいです。


そのため、奥さんなど決まったパートナーと避妊を気にせず性行為ができる方法としては、永続的な避妊効果を持っていて、術後の体への負担も少ない「パイプカット」がおすすめです。


パイプカットのリスクは?


パイプカットでも避妊に失敗する可能性があることは理解しておく必要があります。切断した精管の間を泳いで精子が中枢側にたどり着く・精管が2本以上ある場合がある・切断した精管が再度開通する可能性が指摘されています。

これらの可能性を減らすために、切断だけではなく結紮・焼灼なども行うことが多いですが、手術後何度かに分けて静液検査を行い、確実に精子がいなくなっていることを確認するまでは通常の避妊を行うようにしてください。


パイプカットの手術を受けることで、心臓病、脳卒中、高血圧、痴呆、精巣腫瘍のリスクが高まるという噂もありますが、過去の研究からパイプカットがそのようなリスクを高めることはないと証明はされています。


精液が出なくなる、性欲がなくなる。などの情報もありますが、精液は精嚢と前立腺液で作られており引き続き術後も出ます。その中の精子がいなくなるだけです。

また性欲も何ら変わりがないことが報告されていますので、性機能に関しても心配する事はないでしょう。


手術を受ける際に条件があります


母体保護法に基づいて行う治療のため、パイプカットの手術を受ける際には配偶者の同意書やその他承諾書などが必要になります。


その際に条件として
・30才以上の方
・配偶者の承諾が必要
・子供がおり、出産を将来考えてない方

などの条件があります。


医院によってこれらの条件が異なりますので、直接医院に確認しましょう。


治療・手術にかかる費用(入院は基本不要)


パイプカットは入院は不要で日帰り手術で行います。
手術時間は両側で40分くらいです。


手術費用の参考価格は、AGクリニック銀座の場合で税別20万円となります。


術後の注意点ともとに戻す場合(精管の再開通)


術後すぐに腟性交をすると前立腺の精嚢や切断した精管に、まだ精子が残っている可能性があります。


そのため、術後はマスターベーションを20回くらい行い、性交渉もコンドームなどの避妊を使用してください。その後精液検査で精子が全くいなくなっていることを確認してから、避妊具を使わずに性交渉可能となります。


また、パイプカットはコンドームを使わないですむ避妊法ですが、不特定多数の女性と性行為すると勿論、避妊は出来ても性感染症のリスクは跳ね上がるので注意が必要です。


基本的にパイプカットは永続的な避妊法と考えた方がよいですが、技術的には切断した精管の再開通は可能です。


ただし、パイプカットをして10年も経過すると精巣が精子を作る力が相当弱くなってしまうので、子供を将来生む予定のある方は手術は避けるべきでしょう。

クリニックによって、パイプカットの治療、手術方法は異なる場合があります。

そのため、クリニックを選ぶ際は初めて来院した当日に治療を受けることは避けて、医師に直接「治療方法」、「アフターケア」、「リスク」などの説明をしっかり聞き、一度プラン(見積り)を持ち帰って冷静にご夫婦で話し合って決めることをお勧めします。

できれば複数のクリニックで説明を受けて、比較して決めるのがいいでしょう。

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この記事の監修者

乙供 太郎

乙供 太郎

2008年山梨医科大学医学部(現山梨大学医学部)卒業。研修を経て横浜市立病院麻酔科勤務。東京医科大学泌尿器科へ転科しその後は東京腎泌尿器科センター大和病院、NTT東関東病院、有名男性美容クリニックで泌尿器科疾患の多くの症例や手技の研鑽を積み、2019年銀座にAGクリニック銀座を開業。ED治療、排尿困難治療、性感染症、メンズ脱毛など男性医療専門クリニックとして男を元気にする活動に邁進している。

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