ED、AGAの「根本治療法」はあるか?

2020/12/21 ED治療

古賀祥嗣医師

若く見られたい、カッコよくなりたい、そしてモテたい…。そんな下心こそが、男のアンチエイジングの原動力。「下心」だと言葉が悪いが、「男性力」と言い換えるとどうだろうか? 男性力を医学的に高める方法を、銀座ソラリアクリニック特別顧問で泌尿器科医の古賀祥嗣医師=写真=が解説する。



ED、AGAを諦めるな

男の悩みの双璧をなすのはED(勃起不全)とAGA(男性型脱毛症)。悩んでいても人に相談できなかったり、「年のせい」とあきらめている人は驚くほど多くいます。

しかし、私はあえて言います。「あきらめこそ愚策だ」と。

この2つの悩みには、医学的な対処法があります。その対策を講じることで、若さを取り戻すことは可能なのです。そこで、この2つの悩みとどう向き合っていけばいいのかを考えてみましょう。


ED、AGA共通の原因

まず、EDとAGAのベースには共通の問題があります。それは「LOH症候群(男性更年期障害)」です。

いくつか種類がある男性ホルモンの中でも、特に産生量の多いのがテストステロン。男性らしさや正義感、社交性などをつかさどり、幸福感や達成感を醸成する大切なホルモンです。

しかし、テストステロンは20代をピークに減少していきます。そして、テストステロンが必要量を下回り、男性としての機能に影響が出るのがLOH症候群。EDとAGAは、その代表的な症状なのです。


ED診断の条件

EDは単に「勃たない」ことを示す言葉ではありません。正常な勃起が得られない、あるいは勃起状態が維持できずにセックスが完遂できなければ、それはEDなのです。

ちなみに、次のような現象も医学的にはEDに分類されます。

・なかなか勃起しない

・勃起の持続時間が短い

・最後まで満足のいくセックスができない

・日によって勃起しないことがある

・最近セックスに自信が持てない

 1つでも当てはまればEDと言えます。


いいセックスに必要な条件

一方で、いいセックスをするために男性に必要な4つの条件があります。

①テストステロンのレベルが維持できている

②勃起に関係する神経機能が正常

③陰茎海綿体の機能が正常

④精神状態が良好

LOH症候群は①の「テストステロン産生」を阻害します。

ただ、実際にはそれ以外の要素もあります。神経機能や海綿体機能に関係する動脈硬化や糖尿病、高血圧、脂質代謝異常、さらにはストレスや鬱症状など、中年以降の男性にはEDを引き起こす要因が身近にいくらでも転がっています。


EDの「根本治療法」はあるか?

こうした「勃起の悩み」を解決するのがED治療薬。バイアグラやレビトラ、シアリスなどの薬を使うことで、勃起力を回復させている人もいます。実際、ED治療薬は患者の70〜90%に効果が表れるとされていますが、効果には個人差があります。

ただし、これらの薬の処方は根本的な治療ではなく「対症療法」です。

ではEDに根本治療はあるのでしょうか。それについては追って触れていくとして、次回はAGAについて解説します。

(構成・中井広二)

【古賀祥嗣医師】 銀座ソラリアクリニック特別顧問。江戸川病院泌尿器科主任部長兼透析センター長・移植再生医療センター長。日本泌尿器科学会専門医・指導医。日本透析学会専門医・指導医。日本移植学会専門医。医学博士。著書に『20歳若返る デキる男のアンチエイジング』(イースト・プレス刊)他。

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