免疫力の仕組みとは【男の底力上げる免疫力・体力強化術Vol.1】

2020/05/16 免疫力向上

働き盛りの中高年男性の通勤時

緊急事態宣言は解除がされましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、5月末頃まで緊急事態宣言は延長されたのは記憶に新しいですね。


長引く自粛でストレスをためこんでいる人も多かった事でしょう。特に働き盛りの中高年男性は、在宅勤務や休業、会社の業績悪化などで今後の仕事や収入、生活への大きな不安を抱えていると思います。


そこから鬱や男性更年期障害、ED(勃起不全)など男性特有の病気に進む恐れがあります。そこで、この連載ではメンズヘルスの観点から、いま男性に必要な免疫力や体力などを獲得する方法を紹介します。

堀江重郎

まずは日本メンズヘルス医学会理事長で順天堂大学医学部教授の堀江重郎氏に「メンズヘルスと免疫力」について語っていただいた内容です。



新型コロナウイルス対策は3密と免疫力が重要


新型コロナウイルス対策としては、不要不急の外出を控え、「3密」を回避し、手洗いと消毒を徹底することで感染の確率は下げられます。それに加えて重要なことがあります。


「免疫力を高めること」です。

ここでは、私の専門であるメンズヘルスの視点から語ってみたいと思います。まず理解しておいてほしいのは、「免疫力を高めること」と「免疫を付けること」の違いです。この2つは似ていますが意味が違います。



免疫力の仕組みと細胞について


「免疫力を高める」とは自身の体が持っている抵抗力を強化すること。ウイルスなどの外敵から身を守る防御能力を高めることを意味します。


一方、「免疫を付ける」とは、一度そのウイルスなどに感染することで、自身の免疫機構に「こいつは敵だ」と記憶させることです。


人間の免疫には大きく「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。自然免疫は人間の体に元から備わっている防御機構で、獲得免疫とは後天的に得た情報を元に敵を割り出し、攻撃して駆逐するシステムを言います。


自然免疫にはマクロファージ、好中球、ナチュラルキラー(NK)細胞などがあり、これらが外敵と遭遇すると、直接攻撃して排除しようとします。


一方の獲得免疫にはTセル(細胞)やBセルなどの種類があります。Tセルが自然免疫から外敵の情報を受けると、キラーT細胞という攻撃部隊に指令を出して外敵を排除する、あるいはBセルに「抗体」というタンパク質を作らせることで外敵を攻撃するという働きをします。


例えば、採取した血液から新型コロナウイルスに対する抗体が見つかれば、その人は症状の有無に関係なく、一度はウイルスに感染したことを意味します。


抗体があれば、再び同じウイルスに感染しても免疫機構が記憶しているので、重症化を防げる公算が大幅に高まります。これが「免疫が付いた状態」です。



今は免疫力上げることが一番の特攻薬


疫学的には「集団免疫」といって、ウイルスへの感染経験者を増やすことで感染拡大は抑制されることがわかっています。


新型コロナウイルスも、いずれ感染者が増えるか、ワクチンが開発されれば、集団免疫が構築されて終息に向かっていくはずです。


ただ、特効薬のない現状では、万一の重症化を防ぐためにも先に触れた自然免疫を強化する、つまり「免疫力を高める」ことで感染時のリスクを下げる必要があるのです。


次回以降、メンズヘルスの領域でエビデンス(医学的根拠)を持つ免疫力・体力強化法を「免疫力を高める3つの基本」を紹介します。


(取材・構成 中井広二)

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