水風呂・冷水シャワーでテストステロンが増える?論文をもとに解説

水風呂・冷水シャワーでテストステロンが増える?論文をもとに解説

「水風呂や冷水シャワーを浴びると、テストステロン値が上昇するらしい」

テストステロンに関心を持つようになると、こうした話が耳に入ってくるかもしれません。

冷水浴や温冷交換浴に関する健康法は数多く紹介されていますが、テストステロン分泌にとっては残念ながら効果がないようです。それどころか、テストステロン値はむしろ減ってしまうことが確認されています。

それでは、テストステロンにとって好ましい温度はあるのでしょうか。数多く行われている研究の論文をもとにご紹介していきますので、参考にしてみてください。

水風呂はテストステロン分泌を増やすのに効果がある?

水風呂はテストステロン分泌を増やすのに効果がある

前述のように、テストステロン分泌に効果的と言われることもある水風呂や冷水シャワーですが、実はその有効性は確認されていません。逆に、水風呂・冷水シャワーが悪影響を及ぼすとする論文が発表されています。

1991年に発表された「男性における運動負荷・冷水負荷の血清テストステロン濃度に及ぼす効果について」という研究論文があります。この研究では、19歳の男性32人を対象に、寒冷刺激と運動がテストステロン分泌にどう影響を及ぼすのかを検証しました。

その結果、以下のことが確認されています。

「冷水負荷ではTSは10.0%減少し,LHは22.1%上昇し,NAは23.8%減少した」

「自転車エルゴメータによる運動負荷(90watt)によりTS濃度は20.8%上昇したが,黄体形成ホルモン(LH)はほとんど上昇しなかった」
(参考文献:男性における運動負荷・冷水負荷の血清テストステロン濃度に及ぼす効果について)(※TS=テストステロン、LH=黄体形成ホルモン、NA=ノルアドレナリン)

テストステロン分泌のためには、冷水シャワーや水風呂による寒冷刺激を与えるよりも、運動をする方が効果的という結果が導き出されています。

「水風呂がテストステロン分泌を増やす」と言われているのはなぜ?

「水風呂がテストステロン分泌を増やす」と言われているのはなぜ

以上のような研究結果があるにもかかわらず、水風呂とテストステロンが結び付けられてしまうのはなぜでしょうか。それには、テストステロンは熱い湯よりも温度が低めのぬるま湯に浸かる方が分泌されやすいという特徴が関係していると考えられます。

例えば、1987年に発表された論文では以下の点が確認できます。

この研究論文では、31~37℃の温度において、精巣がその機能を最大限発揮できることが示されています。精巣はテストステロン分泌のほとんどを担っている器官です。テストステロン量を増やしたい場合は、31~37℃といった体温よりも少し低いくらいの環境に整えるのが理想的と言えるでしょう。

精子と気温について研究した論文についても見てみましょう。6477組のカップルを対象に行われた研究結果をまとめた論文(2013年)では、以下の結果が確認されています。

ここから、精巣の機能がもっとも高くなるのは、外気温が下がる冬であることがわかります。つまり、精巣は暑さや熱に弱いと言えるのです。

暑さによって精巣機能が低下することは、ほかの論文でも実証されています。例えば、2002年に発表された研究論文では、カニクイザルの陰嚢(精巣を含む)を43℃のお湯に1日1回、30分間浸す実験が行われました。これを6日間続けて行った結果、以下のことが確認されました。

浸かる湯の温度が高いと、精巣の機能に影響が出てしまう可能性があると推測しています。こうした研究が数多くあることから、「(熱い湯に浸るよりも)水風呂や冷水シャワーの方が効果的」という説に変化してしまった可能性もあるのではないでしょうか。

しかし、水風呂や冷水シャワーは精巣機能を下げる可能性があります。テストステロン分泌をかえって減らしてしまわないよう、お湯の設定温度には注意しましょう。

それでも冷水でさっぱりしたい!テストステロンを減らさない入浴法

それでも冷水でさっぱりしたい!テストステロンを減らさない入浴法

低すぎる水温はテストステロン分泌にとって好ましくありません。それでも「冷たい水を浴びるとすっきりする」「気分転換がしたい」「性欲増進や性ホルモン分泌によいと聞いたら、一度は試してみたい」と思う人もいるかもしれません。

特に夏場は、冷たい水を浴びてさっぱりしたいですよね。そこで、冷水シャワーや水風呂に浸かる際に注意するポイントを2点ご紹介します。

長時間冷水シャワーを浴びたり水風呂に浸かったりしない

まず、水風呂に入ったり冷水シャワーを浴びたりするのは、短時間にとどめましょう。その理由として、「ストレスホルモン」とも呼ばれている「コルチゾール」が増加することが挙げられます。

ここで論文を1本ご紹介します。2002年に、ラットを15℃の冷水で10分泳がせたのちホルモン数値を測定する実験が行われました。その結果、コルチゾール量が増え、テストステロン量が減ったことが確認されています。
(参考文献:Cold swim stress leads to enhanced splenocyte responsiveness to concanavalin A, decreased serum testosterone, and increased serum corticosterone, glucose, and protein)

テストステロンとコルチゾールは人体においても相関関係にあり、一方が増えれば一方が減るといった特徴があります。そのため、テストステロン分泌を増やしたい場合はコルチゾールを減らすことも重要です。詳しくは「テストステロン量はストレスに影響されるって本当?」で解説しています。併せてチェックしてみてください。

ぬるま湯に浸かるのが安心

シャワーや浴槽の水温が低すぎると、これまでに紹介した論文のようにテストステロン分泌が減ってしまう可能性があります。そのため、10〜15℃の冷水よりも30~37℃程度のぬるま湯に浸かる方が安心です。

また、急に冷水に浸かるとヒートショックを起こす危険性もあります。浴槽内の温度には注意して、徐々に体を慣らしてから浸かるようにしましょう。

サウナで体をととのえたい!テストステロンを減らさないためにできること

サウナで体をととのえたい!テストステロンを減らさないためにできること

水風呂や冷水シャワーとセットになってくるのがサウナです。テストステロン分泌の観点から、サウナの注意点をご紹介します。

第一に、温度が高すぎるサウナは避けましょう。前述のカニクイザルの陰嚢をお湯につける実験では、43℃のお湯に30分浸すだけで精巣の機能が著しく低下することが確認できました。

熱いサウナは高いリフレッシュ効果が期待できますが、テストステロン分泌には悪影響を及ぼす可能性があります。低温サウナでゆったりと過ごし、リラックスするのがおすすめです。

全国浴場組合は2020年に、入浴方法によるホルモン分泌量の違いについての調査を行いました。40℃のお湯に浸かる通常入浴と、25℃のシャワーを加えた温冷交換入浴をした場合に、コルチゾールとしあわせホルモン「オキシトシン」の分泌量を調べたのです。

その結果温、温冷交換入浴よりも通常入浴の方が、コルチゾールが減少することがわかりました。
(参考文献:実験で分かった入浴法による効果の違い)

テストステロンとコルチゾールは相関関係にあるので、サウナの場合でも熱いサウナと水風呂を繰り返すことは避け、ぬるめのサウナでゆっくり過ごす方が良いでしょう。

ただし、テストステロン以外の面では温冷交換入浴にもメリットはあります。しっかり汗をかけるだけでなく、温冷交換入浴時はオキシトシンがより多く出る傾向にあることがわかっています。そのため、大きなストレスを感じている場合や仕事の後などは交換入浴もおすすめです。

まとめ

テストステロンを作り出す精巣の機能が高まる温度は、体温より少し低いくらいです。そのため、水風呂や冷水シャワーは、テストステロン分泌の面では逆効果となることがあります。

普段より温度を下げて入浴する場合でも、水風呂のような低温は避け、30~37℃程度のぬるま湯に浸かるようにしましょう。

また、テストステロンは温冷交換入浴をするよりも温めのお湯でのんびりリラックスする方が分泌量の増加が期待できます。しあわせホルモン「オキシトシン」の分泌に期待する場合は温冷交換入浴を、テストステロンの場合はぬるめのお湯でゆったり、というのがおすすめです。うまく使い分けをして、テストステロンが分泌されやすい環境づくりに役立ててみてください。

  • 参考文献
    ・CiNii https://ci.nii.ac.jp/
    ・Taylor and Francis Group https://www.tandfonline.com/
    ・AJOG https://www.ajog.org/
    ・PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/

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