テストステロンが増えるウォーキング術-外出不足の今こそ歩こう
昨今のコロナ禍によって働き方やライフスタイルは大きく変わり、リモートワークや巣ごもり生活も定着しました。運動量が減り、外出しないことによるストレスも加わって、知らず知らずのうちにテストステロンが減りやすい環境になっているとも言えるでしょう。
そこで本記事では、「テストステロンを増やす」ことにも着目して、ウォーキングによる健康効果について掘り下げていきます。「会社への行き帰りで毎日歩いている」という人も多いかもしれませんが、ウォーキング効果をさらに高めるためにも、ぜひご一読ください。
ウォーキングの健康効果
いつでも、どこでも、だれでも始められるウォーキングは、手軽な運動の代名詞です。まずは、ウォーキングによってもたらされる健康増進効果について紹介しましょう。
手軽に続けられて多くのメリット
有酸素運動の代表格でもあるウォーキング。20分以上歩き続けることにより、脂肪燃焼効果が高まります。運動負荷が少ないため「三日坊主」にならずに続けられるのもウォーキングの魅力です。日ごろ運動不足の人なら、数十分歩いただけでも心肺機能の向上に十分な効果があります。
ほかにも、脚の筋肉を刺激することで血流促進効果が期待できるほか、骨の強度が増すなど様々なメリットがあります。血流がよくなると疲れにくい身体づくりにつながりますし、骨粗しょう症の予防にも効果的です。
歩きすぎは逆効果
健康面でのメリットがとても多いウォーキングですが、歩けば歩くほど恩恵を享受できるというわけではありません。歩きすぎは健康にとって逆効果という研究結果も出ています。
対象者110万人、追跡期間9年という大規模な調査が、イギリスで行われたことがあります。テーマは血管疾患リスクと運動との関連性です。
これによると、ウォーキングなどの運動量が中程度(週2~3回)になるまでは、運動量が増えるほど心臓病や脳血管疾患を発症するリスクが低下しました。しかし、ウォーキングやサイクリングを「毎日欠かさず行う人」は、逆に発症リスクが高くなったのです。
(参考文献:Frequent physical activity may not reduce vascular disease risk as much as moderate activity)
テストステロンとは
テストステロンは精巣や副腎で作られる男性ホルモンです。太い骨や太い筋肉など男性らしい見た目や、性機能の維持はテストステロンの働きによるものです。また近年では、テストステロンにより心臓の血管を健康に保たれることが明らかになっています。
加齢により、テストステロンの産生量が少なくなることは多くの人が知っているでしょう。一方で、あまり知られていないのが、肥満でも血液中のテストステロン濃度が低くなることです。要因として考えられるのは、内臓脂肪や肥満による慢性炎症です。
男性の健康にも関わりがあるテストステロンですが、筋トレだけでなく、ウォーキングのような有酸素運動でも、濃度が増加します。ただ、高齢者や糖尿病を患わっている人、長期間のウォーキングをした人では、テストステロン濃度に大きな変化はないという報告もあります。
とはいえ、肥満によりテストステロンの濃度が下げることに変わりありません。肥満改善やテストステロンのレベルに、ウォーキングを取り入れてみるのもおすすめです。
歩くだけでもテストステロンは増える
適度な運動量で長期間続けることが、ウォーキングの効果を最大限に高めることがわかりました。それでは、テストステロンとウォーキングの関係はどうなっているのでしょうか。
筋肉に刺激を与えるウォーキング
テストステロンは筋肉に刺激を与えることで分泌が促進されるため、テストステロンを増やすには筋トレが効果的と言われます。しかし、ジムで行うような筋トレは中高年にはハードルが高いでしょう。そこでウォーキングの出番となるわけです。
ハードな筋トレではなく、ウォーキングのような軽い運動でも、脚を中心とした全身の筋肉に刺激を与えることができます。少しずつの効果でも、しっかり続けることでテストステロンを増やす効果は蓄積されていきます。
テストステロン減少によるリスクも予防
テストステロンの減少によって、肥満や高血圧、高脂血症などの生活習慣病の発症リスクが高まることが分かってきました。いわゆるメタボですが、そこから動脈硬化が進んで心血管系疾患の発症リスクが高まることも考えられます。
ここでも、ウォーキングの効果に注目です。「第2の心臓」と言われるふくらはぎを鍛えることによって、血流が改善されて血管系疾患の予防にもつながります。また、血管疾患リスクと言えば、先ほど紹介した「中程度のウォーキングが血管疾患の発症リスクを下げる」という研究結果もあります。
つまり、血管疾患のリスクを下げるという点で、ウォーキングには相当の効果が期待できるということになります。
20~45分のウォーキングがベスト
「適度な運動量」の大切さは、テストステロンの面から見ても同じです。有酸素運動がテストステロンを増加させる効果は、運動開始から45分でピークを迎え、その後は減っていくことがわかっています。
また、有酸素運動の脂肪燃焼効果は始めてから20分以降です。つまり、20分から45分の間でウォーキングすれば、最大の効果が得られるというわけです。
ストレス対策にもウォーキング
テストステロンを減らす大きな要因にストレスがありますが、ストレス対策の意味でもウォーキングが効果的です。というのも、歩行などのリズム運動によって、ストレスに対して効能のある脳内物質「セロトニン」が分泌されやすくなるのです。
また、セロトニンは日光を浴びた場合も分泌されます。日差しを浴びながらウォーキングすれば、単純にストレス発散となるだけでなく、内部的にも抗ストレス効果がしっかりと得られるというわけです。
ウォーキングの効果を最大限に
だらだら歩いても運動としての効果は得られません。入念に準備をして、きっちりと、時には変化をつけて歩けば、それは散歩ではなく運動としてのウォーキングになることでしょう。
まずは正しいフォームで
正しいフォームで歩くことが、ウォーキングの効果を高めるためには欠かせません。まずは、反り過ぎない程度に胸を開いて、背筋をピンと伸ばしましょう。視線を少し遠くにやると背筋が伸びやすくなります。
上半身の動きでポイントになるのが、ひじの使い方です。意識して大きく引くことで、肩甲骨の動きを感じられます。下半身のポイントは、かかとから着地すること。着地後は重心をつま先へと移して、つま先で地面を蹴り出すとストライドが伸びます。
ストレッチをしっかりと
ウォーキングの前後に入念にストレッチをしておくことも大切です。単なる準備運動ではなく、歩く際に最大限の運動効果を発揮するための準備と考えればよいでしょう。
「両手を組んで頭上へ伸ばしたあと、左右に倒して身体の側面を伸ばす」「足幅を広く開いて上体を落として、ハムストリング(太ももの後ろ側)を伸ばす」など様々なストレッチがありますので、普段実践しているものも含めて色々と組み合わせてみてください。
緩急をつけて歩いてみる
同じペースで歩いていると飽きてしまう場合もあるかもしれません。そんな時は緩急をつけたウォーキングがおすすめです。5分は普通に歩き、次の5分は少し速くというサイクルを試してみるだけでも、モチベーションが上昇するかもしれません。
おすすめのウォーキングエリア
どこでもできるのがウォーキングの魅力ですが、どうせなら「リラックス」「モチベーション」といった効果が高まるエリアを訪れ、楽しんで歩きたいものです。
おすすめエリア①公園
公園内でのウォーキングでは、車が通らず安全という以外に大きなメリットを実感できるかもしれません。それは「幸福度」の向上です。アメリカの大学が発表した研究によると、都市部の公園で20分過ごした人は、訪問前より幸せな気持ちになるようです。
滞在するだけでプラス効果をもたらす公園でのウォーキング。しかも時間が20分とくれば、運動としての効果もバッチリ。ウォーキングをする場合、公園は最高のエリアの一つなのかもしれません。
おすすめエリア②河川敷
少し大きな川になれば、河川敷に歩道が整備されています。アップダウンが少なく、曲がりも少ないため歩きやすく、橋が目印となって距離設定もしやすいです。
都市部になれば橋の近くには駅やバス停があることも多く、公共交通機関も組み合わせて自由にコースを組み立てられるのも魅力。景色がよく、さわやかな風が吹き抜ける環境で歩けば、ストレス発散にもなるでしょう。
おすすめエリ③ショッピングモール
ウォーキングコースとしての人気がじわりと高まっているのが、郊外型のショッピングモールです。天候を気にすることなく楽しめるのが最大の魅力で、コース途中の床には距離や消費カロリーが表示してあったり、専用リーフレットを配布したりと、サービスも充実しています。
ショッピングが好きな人にとっては、モール内を歩くだけでもモチベーションが上がるでしょう。買い物ついでに運動不足も解消したい人にもおすすめです。コース途中にはベンチやソファーなども数多くあるため、長い距離を歩くことに自信がない人でも安心してチャレンジできます。
ウォーキング後のケアも重要
ウォーキングは日常的な動作なので、運動後にそのままにしている人も多いでしょう。ウォーキング後にしっかりケアすることで、下半身の疲労をすみやかに回復できます。
ウォーキング後のストレッチ
ウォーキング後に下半身を中心としたストレッチをすると、筋肉がほぐれること、疲労物質を排出しやすくできます。
- ひざを伸ばした状態で両手と両足を地面につきます。
- お尻・もも裏・ふくらはぎが伸びていることを意識しながら、ゆっくり呼吸します。そのまま20秒静止保ちましょう。
- 地面にお尻をつき、脚で三角形を作るように足の裏同士を合わせます。
- ひざを上下に動かして、脚の筋肉全体と股関節を伸ばします。
ウォーキングにストレッチをていねいにすることで、翌日に疲れを持ち越にくくなるので、欠かさずおこないましょう。
ウォーキング後に摂取したい栄養素
ウォーキング後はカロリー消費により、エネルギー補給が必要な状態です。ウォーキング後の栄養補給でおすすめなのが、糖質とタンパク質です。
運動後に何か食べたら、ダイエット効果が半減するイメージがありますが、糖質とタンパク質をバランス良く取ることで、筋肉の分解を抑えたり、速やかな疲労回復を助けられます。
ウォーキング時間にもよりますが、手軽に取るのならプロテインがおすすめです。お腹が空いて固形物を食べたい場合は、鮭のおにぎり1個や卵やツナのサンドイッチ1切れなどでもよいでしょう。
当日のおやつ代わりに食べることで、栄養素をしっかり補給できます。ウォーキングで汗をたっぷりかいた後は、体が脱水傾向なので水分補給も忘れずに取りましょう。
まとめ
ウォーキングの楽しみ方や、テストステロンを増やす効果について紹介してきましたが、いかがでしたか。健康施策の一環としてウォーキングコースの整備に力を入れる自治体も多く、全国各地にあるウォーキング協会もホームページなどで情報発信しています。
自宅と駅の往復から一筋離れてみるだけで、新たな発見につながるのがウォーキングの醍醐味です。テストステロンを増やす効果も十分なので、いつもより遠回りしてみるのもよいかもしれませんね。
- 参考文献
・UAB News https://www.uab.edu/news/research/item/10222-urban-parks-could-make-you-happier
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