テストステロン量はストレスに影響されるって本当?

テストステロン量はストレスに影響されるって本当

テストステロンの分泌を増やすため、栄養バランスの良さよりもテストステロンアップを重視した食事をし、仕事後に何時間もジムで筋トレをして夜遅くに帰宅・就寝する……そんな生活をしていませんか? 良かれと思ってしているその生活は、かえってテストステロン分泌を妨げている可能性があります。

それは、テストステロン量が肉体的・精神的ストレスに影響される特性があるためです。この記事では、性ホルモンであるテストステロンがなぜストレスの影響を受けるのか、日ごろから注意すべき点は何かについてご紹介します。

まずは、テストステロンとストレスの関係から見ていきましょう。

テストステロンの分泌量は、ストレスの影響を受ける!

テストステロンの分泌量は、ストレスの影響を受けるテストステロンはストレスの影響を受け、その分泌量を減らしてしまいます。性ホルモンとストレスに、いったい何の関係があるのかと疑問に思う人もいるかもしれません。これには、ストレスホルモンや睡眠が大きく関わっているのです。

その理由について、論文を参照しながら考えてみましょう。

ストレスホルモン「コルチゾール」の増加

はじめに、ストレスホルモン「コルチゾール」とテストステロンの関係について確認しましょう。

コルチゾールとはストレスを感じた際に分泌が増えるホルモンのため、ストレスホルモンと呼ばれています。コルチゾールとテストステロンは、一方が増えれば一方が減り、一方が減れば一方が増える相関関係にあることがわかっています。

東京医科大学雑誌第51巻第5号では「超持久運動時の血清テストステロン/コルチゾール比の変動」と題し、以下のことが発表されました。

「長時間持久運動により、(中略)血清コルチゾール殖が上昇するのに対し、蛋白同化ホルモンである血清テストステロン値は低下する事が知られている」
「T/ Cは、超持久運動における筋傷害のような身体ストレスの1つの指標となりうる可能性が示唆された」
(参考文献:東京医科大学雑誌第51巻第5号

ほかにも、2010年には「コルチゾール値が低い場合にはテストステロンがコルチゾールよりも高値を取ることを示唆している」「コルチゾールが高値を示す場合、テストステロンは優位性が低下する可能性がある」といった記述をしている論文も発表されています。
(参考文献:テストステロンとコルチゾールは支配的に支配的に調節されています:二重ホルモン仮説の証拠

これらの論文からコルチゾールとテストステロンにおける相関関係が証明され、日ごろ感じるストレスが大きいほどテストステロン量が減ることが考えられます。

加えて2016年発表の研究論文「男性競泳選手の試合に伴う唾液中ストレスホルモンの変動」には以下の記載があり、精神的・身体的どちらのストレスでもコルチゾールが増加することが確認されました。

「コルチゾールは心理的・身体的な急性のストレスに対して増加を示し、慢性のストレスでも増加することが報告されている」
「身体的運動負荷に対する唾液中コルチゾール並びにテストステロン値の変動様式の違 いから、唾液中コルチゾール値は心理的ならびに身体的ストレスの両方を反映する指標として、唾液中テストステロン値は、視床下部を介さない身体的ストレスを反映する指標として用いることができる可能性が示唆された」
(参考文献:男性競泳選手の試合に伴う唾液中ストレスホルモンの変動

つまり、テストステロンを増やすためには精神的ストレス・肉体的ストレス双方を避けるべき、と結論付けられます。

ストレスによる睡眠減

強いストレスを感じた日や、会議やプレゼンなどのストレスを感じるような予定が入っている前夜に、なかなか寝付けなかった経験のある人も多いのではないでしょうか。実はそうしたストレスによる睡眠の質の低下が、テストステロンの分泌量を減らしてしまう可能性があるのです。

そもそもテストステロンには、以下の特徴があります。

  • 夜中に分泌される
  • レム睡眠・ノンレム睡眠の周期にあわせて分泌される

これにより、ストレスでなかなか寝付けなかったり、途中で起きてしまったりする場合は、テストステロン値が下がってしまうのです。

睡眠とテストステロンについて、より詳しく知りたい人は【テストステロン増やすために睡眠と日光浴は大事】もあわせてチェックしてみてください。

過度な運動による負荷もストレスに

「男らしい理想の体つきになりたい」とハードな筋トレやスポーツを自らに課している、ストイックな人も多いと思います。しかし残念ながら、ハードな運動をしすぎるとテストステロンが減少してしまうことがわかっています。

日本メンズヘルス医学会は、日本性能学会雑誌において以下のように報告しています。

「市民ランナーを集めて、月間のマラソン距離とテストステロン値を調べると、月間120~150kmあたりが最もテストステロン値が高いのですが、200km以上では低くなることが分かります」
(参考文献:日本メンズヘルス医学会参加記録 “運動ストレス性低テストステロン”と“心的ストレス性低テストステロン”という病名の提案

適度な運動はテストステロン量を増やすのに効果的ですが、負荷をかけすぎてしまわないように注意が必要です。

ストレスでテストステロンを減らさないために

ストレスでテストステロンを減らさないために

「精神的・肉体的ストレスを避けよう」。言うのは簡単でも、ストレス社会の現代で実現させるのは難しいと思う人がほとんどではないでしょうか。しかし重要なのは、適度に発散し、体をいたわり、リフレッシュすることです。ストレスゼロを実現できなくても、テストステロンの分泌を守ることはできます。

それでは日ごろからどういった点に気を付けられるでしょうか。運動・食事・睡眠の3つの観点からチェックしてみましょう。

運動は適度に取り組む

前述した日本メンズヘルス医学会の論文には「月間のマラソン距離とテストステロン値を調べると、月間120~150kmあたりが最もテストステロン値が高い」とありました。月間120~150kmということは、毎日4~5kmのランニングであればテストステロンの分泌量アップに効果的と言えます。(1カ月30日として計算)

運動は適度に取り組み、リフレッシュできる程度にとどめておきましょう。

バランスの良い、テストステロンを意識した食事を摂る

テストステロンを増やすためには、タンパク質、亜鉛、ビタミンといった栄養素を意識して取り、お酒を飲みすぎないようにするのがおすすめです。しかし上記の栄養素を重視するあまり、食事バランスが崩れてしまう事態は避けましょう。あくまでバランスの取れた食事にテストステロンを意識した食品をプラスするといった、適切な食事バランスを崩さないことが大切です。

テストステロンとお酒の関係については【テストステロンとお酒(アルコール)の関係は?】、亜鉛との関係については【テストステロンと亜鉛はどんな関係がある?関係性について解説】で詳しく説明しているため、あわせてチェックしてみてください。

夜間に7時間以上のしっかりした睡眠をとる

仕事や趣味で忙しい人は、つい睡眠時間を削ってしまいがちです。しかしテストステロンは深夜に多く分泌されるホルモンのため、しっかり分泌されるよう夜間にまとまった睡眠をとることが重要です。

テストステロンはレム睡眠・ノンレム睡眠の周期に合わせて分泌されるため、1~2時間の仮眠と8時間の睡眠とを比べれば、後者の方が多く分泌されます。通勤電車内や昼休憩の仮眠など睡眠を分割せず、夜にぐっすり眠るようにしましょう。

加えて入眠時に注意したいこととして、寝酒や寝しなのスマホ操作が挙げられます。これらには覚醒作用があり、睡眠を浅くしてしまう効果があります。睡眠が浅いこともテストステロン分泌に影響を及ぼすので、控えるようにしましょう。

ストレスゼロを実現できなくても、こうした適度な運動習慣・適切な食事・充分な睡眠時間がテストステロン分泌をサポートしてくれます。

こころと体のストレス耐性を上げるテストステロンを増やそう

こころと体のストレス耐性を上げるテストステロンを増やそう

やる気をもたらし、記憶力や集中力を向上させ、こころと体に活力をもたらすことでストレス耐性を上げるテストステロン。その分泌量が増えれば、若々しく活力がみなぎり多少のストレスではものともしない、男らしい体躯を持つ理想の自分に近づけるでしょう。

しかしテストステロンはストレス耐性を上げてくれるとはいえ、ストレスホルモンであるコルチゾールの影響を受けてしまうこともまた事実。ストレスゼロを実現することは困難ですが、日頃から食事や睡眠に注意し、テストステロンの維持に努めるようにしましょう。

まとめ

テストステロンは、ストレスの影響でその分泌量が減ってしまうホルモンです。影響をもたらすのは精神的・肉体的ストレスに加え、睡眠の質の低下も含まれます。

そのため適度にリフレッシュし、ストレスを軽減する生活習慣を身に着け、しっかり眠ることが必要です。毎日の生活を守り、テストステロンの多い理想の自分を目指しましょう。

  • 参考文献
    ・マオメディカルクリニック https://maomedical.com/
    ・Glico https://cp.glico.jp/powerpro/citric-acid/entry76/
    ・まいにちdoda https://mainichi.doda.jp/article/2020/10/05/1995
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