【医師監修】テストステロンの男女別・年齢別の基準値とは

テストステロンの男女別・年齢別の基準値とは

テストステロンは、日々の活力に欠かせない大切なホルモンです。しかし、その分泌量がどれくらいで、標準値はいくつなのかを把握している人は少ないでしょう。この記事では、「男女別、年代別のテストステロンの標準値や、その推移など」について医療法人社団三橋医院 ディオクリニックの藤井 崇博 先生が解説していきます。

自分のテストステロン値を知って、増やすよう心がけるべきなのか、そのままの生活を続けていても問題ないのか、判断ができるようにしておきませんか?

医療法人社団三橋医院 ディオクリニック「藤井 崇博 医師」

テストステロンに詳しくなって、毎日元気に過ごすことを目指しましょう。

年齢や性別で、テストステロンの数値はどう変わってくるのか

テストステロンの分泌量は、どれくらいが標準なのでしょうか。その値は、性別や年齢で異なります。男性と女性でどう異なるのか、年齢でどういった違いがあるのか、それぞれ確認してみましょう。

年齢を重ねるごとに減少していく傾向がある

テストステロンの分泌は、思春期から20代にかけての時期がピークです。その後は、男女ともに年齢を重ねるごとに分泌量が減少していく傾向にあります

分泌量の変化は女性よりも男性の方が大きく、標準値、平均値ともに明らかな減少が見られます。女性も分泌量が減少する傾向がありますが、あくまでも緩やかな変化にとどまります。

男性よりも女性の方が分泌は少ない

テストステロンは「代表的な男性ホルモン」と言われるように、男性が多く分泌します。それでは女性は分泌をしていないのかというと、そうではありません。微量ですが、テストステロンの分泌があります。

例えば、20代男性における分泌量は、8.5pg/mlが標準値の下限です。それに対し女性は、2.7pg/ml以下が標準値となっています。女性が最大値で分泌をしている場合でも、男性のおよそ3割程度の分泌にとどまります。少ないものの、女性もテストステロンが分泌されているのです。

テストステロンの男女差は15倍?働きの違いは?】記事でテストステロンの「男女差」について、いろいろな角度からご紹介しています。是非合わせてご覧ください。

【男性】年齢によるテストステロン基準値のグラフ

【男性】年齢によるテストステロン基準値のグラフ

年齢を重ねるにつれて、テストステロンの分泌は減少する傾向にあります。しかし、その数値は具体的にどう減っていくのでしょうか。その推移を、グラフや表で解説していきます。

男性の推移グラフ・表

男性におけるテストステロン値の推移(※出典明記)

男性の場合は、20代をピークとして分泌量が徐々に減少していきます。30代から40代にかけての期間は、緩やかな減少にとどまり大きな変化は見られません。また、10代の数値については、明確な標準値がありません。

しかし、性ホルモンが思春期から20代をピークに分泌されることを考えると、20代と同等の数値になると推測できます。

一方で50代・60代の期間は標準値すべてにおいて1pg/ml以上、60代・70代の期間では最大で2.9pg/mlもの分泌量の減少がみられます。年齢を重ねるにつれ、平均値、標準値ともに減少するペースが加速するといえるでしょう。

男性のテストステロンの半減期は50年

上述の通り、男性におけるテストステロンの分泌量は年齢を重ねるにつれて減少していきます。そして最も分泌量の多い20代と比較して、その分泌量が半分にまで落ち込む(半減期を迎える)のは、70代です。

分泌量の標準値で見ると、下限値が8.5pg/mlから4.5og/mlへ(−4pg/ml)、上限値が27.9pg/mlから13.8pg/mlへ(−14.1pg/ml)、平均値が16.8pg/mlから8.5pg/mlへ(−8.3pg/ml)、それぞれ減少します。

50年程度をかけて、その分泌量は半分にまで減少してしまうのです。

【女性】年齢によるテストステロン基準値のグラフ

男性のテストステロン値は20代をピークとして年齢を重ねるごとに減少、70代で半減期を迎えるというものでした。それでは女性は、どのような推移をするのでしょうか。同様に、グラフや表を用いて解説します。

女性の推移グラフ・表

女性のテストステロン値推移(※出典明記)

女性におけるテストステロンの標準値(下限値・上限値)は、上の表になります。平均値は設定されていませんが、年齢を重ねるにつれて上限値が緩やかに減少していくことがわかります。

女性も男性と同様に、40代、50代、60代、70代といった年代よりも20代、30代といった年代の方がテストステロンの分泌量が多い傾向にあります。10代の数値は明らかにされていませんが、性ホルモンは男性の場合と同様に、思春期以降が分泌のピークです。そのため、10代の女性の場合も20代と同等の数値が分泌されていると推測できます。

女性のテストステロンは男性ほど大きく変化しない

女性におけるテストステロンの分泌量は、表の通り緩やかな減少にとどまります。年齢を重ねるにしたがって緩やかに上限値が減少していき、20代では2.3pg/mlだった上限値が60代では1.7pg/mlまで減少します。

テストステロンが正常値よりも下がると、どういうことが起こる?

テストステロンが正常値よりも下がるとどういうことが起こる

テストステロンの分泌量が減少すると、心身にさまざまな影響が出てくる場合があります。肉体面では肥満、糖尿病、骨粗しょう症、倦怠感の発症リスクが高まり、精神面ではイライラしたり、集中力が下がったりする傾向があるのです。

若々しく健康な肉体や健全な精神面を維持するには、適度に運動してテストステロンを減少させない生活を心がける必要があります。

テストステロンの分泌が減少するとどうなるのか、それによって引き起こされる諸症状など【テストステロン(男性ホルモン)の働きと役割とは】で詳しく解説しています。

年齢によるテストステロンレベルの低下を防ぐ方法

年齢によるテストステロンレベルの低下を防ぐためには、食事や運動、睡眠などの生活習慣改善が重要です。具体的には、タンパク質やビタミンDが豊富な食事を摂取し、体重をコントロールすることが挙げられます。また、筋トレや有酸素運動を行うことでテストステロンレベルを上昇させることができます。

睡眠不足はテストステロンレベルを低下させる原因の一つであるため、7〜8時間の睡眠を確保することも重要です。

補充療法もテストステロンレベルの低下を防ぐ方法の一つですが、必ずしも適切ではありません。補充療法にはリスクや副作用が存在するため、医師と十分な相談を行い、適切な判断をすることが必要です。

テストステロンレベルの測定方法について

国内でのテストステロンレベルの測定には、一般的に血液検査が用いられます。血液検査は医療機関で行われますが、自宅で唾液をサンプリングし、郵送することでテストステロンの濃度を測定する検査キットも販売されています。

検査キットは手軽に調べられる点がメリットですが、医師に症状などを相談したい場合は、医療機関での血液検査をおすすめします。

まとめ

テストステロンの分泌量は、年齢や性別によって異なります。女性は男性よりも分泌が少なく、また、20代をピークとして基準値・標準値が減少していきます。

テストステロンは心身の健康に関わる大切なホルモンです。血液検査で数値を測定できるので、確認できる検査を行った際には自分の分泌量が多いのか少ないのか、ぜひチェックしてみてください。

  • 参考文献
    ・日本泌尿器科学会雑誌 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjurol1989/95/6/95_6_751/_article/-char/ja/
    ・MBC INFORMATION https://www.medience.co.jp/information/pdf/04-23.pdf
    ・株式会社LSIメディエンス https://www.medience.co.jp/information/pdf/16-06.pdf
    ・大東製薬株式会社 https://www.daito-p.co.jp/reference/testosterone_aging.html
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この記事の監修者

藤井 崇博

藤井 崇博

医学博士、循環器内科専門医であ医療法人三橋医院理事長の藤井崇博と申します。 専門領域は循環器内科で心臓領域を専門としており、研修医から2021年まで約10年間大学病院、関連病院で臨床、研究、教育に従事させて頂き、循環器内科専門医、循環器内科領域での医学博士号を取得しております。現在も循環器疾患を含め外来での診療は継続させて頂いております。 循環器内科医として様々な患者さんの診察に日々従事する中で、何よりも大事なのは未病、医学的には一次予防と呼ばれる未然に病気になるのを予防しようとする意識が大事だと常々思います。最近では対面でお話出来ないことも多いので、SNSやその他コラムなどで健康に有益な情報の発信に力を入れております。


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