音楽でテストステロン値を高めることはできる?

音楽でテストステロン値を高めることはできる?

筋トレ中や通勤中・休日など、さまざまな場面で生活を彩る音楽。普段何気なく耳にしている音楽も、実はテストステロン分泌に影響を与えるもののひとつです。

本記事では、論文を参照しながら音楽とテストステロン分泌の関係性をご紹介します。

音楽とテストステロンの関係・効果

音楽とテストステロンの関係・効果

音楽とテストステロンについてはさまざまな検証がされ、国内でも複数の論文が発表されてきました。その結果、音楽のジャンルやテンポがテストステロン分泌に影響することがわかっています。

どんな音楽を聴くとよい影響が得られるのか、それぞれ確認していきましょう。

音楽はテストステロン値を下げる?

音楽を聴くことで、テストステロン値が下がる傾向にあることが確認されています。音楽を聴くとどのような影響があるのかを検証した論文「音楽聴取とテストステロン(三)」に記載されています。
(参考文献:音楽聴取とテストステロン(三)

音楽とテストステロン分泌の関係性を確認するにあたり、この論文では以下の条件で検証を行いました。

被験者 18歳~25歳の70人(男性60人・女性10人)
検証方法
音楽を聴く30分+沈黙時間30分を2セット実施
実験開始10分後と音楽を聴いて30分後(合計4回)に、唾液摂取によりテストステロン値を測定
音楽
・好きな音楽…5人
・グレゴリオ聖歌…11人
・モーツァルト…9人
・ジャズ…9人
・ポピュラー音楽…36人

上記の条件で検証を行った結果、「好きな音楽」「モーツァルト」「ジャズ」を聴いた場合にテストステロン値が減少することが確認されました。一方、「グレゴリオ聖歌」「音楽を聴いていない時間」には、有意ではないもののテストステロンが増加しています。

上記の結果により、日常的に触れる音楽(好きな音楽)やクラシック・ジャズによって、テストステロンが減ることが確認されました。このことから、日ごろ音楽を聴く行為には「ジャンルにより異なるものの、テストステロン分泌を減らす効果がある」といえるでしょう。

音楽のテンポとテストステロンの関係

上記の結論を受け、「好きな音楽を聴きながらトレーニングするのは逆効果なのか」とがっかりした人も多いでしょう。しかし、たった1つのポイントを意識するだけで、悪影響を受けることなく音楽を楽しめる可能性があります。

別の論文「安全な運転環境を提供する音楽の研究」を確認してみましょう。
(参考文献:安全な運転環境を提供する音楽の研究

この論文は、運転と音楽の関係性を、テストステロン値とコルチゾール値から紐解いたものです。音楽が人に与える影響を、ホルモン分泌の面から検証しています。

この論文における検証は、以下の条件で行われました。

被験者 平均年齢25.75歳の運転免許保有者16人(男性7人・女性9人)
検証方法
・15分の運転トライアルを8回実施(音楽刺激4種×スピード2種)
・運転スピードは40km、80kmを採用。80km走行トライアルの4回を対象として、8回の唾液採取を行う(トライアル前後に採取)
音楽
被験者が各自指定した「運転中に聞きたい好きな音楽」を、以下の通り調整
1.オリジナルテンポ
2.10%速いテンポ
3.10%遅いテンポ
4.音楽なし

これにより、以下の結果が出ました。

  • 10%アップテンポした音楽を聴くことで、男性はテストステロン値が著しく増加する
  • 10%アップテンポした音楽を聴くことで、女性はテストステロン値が僅かに減少する

音楽のテンポによりテストステロン分泌が影響される、受ける影響は性別によって異なる、といった点がわかります。またこの結果を受け、検証を行った奈良教育大の豊島久美子氏(当時)は以下についても言及をしています。

「音楽のテンポを速くすることで、男性の攻撃性が高まったことを意味している。運転中の速度超過の回数が多いのもこの条件であった。このことから、男性は、音楽のテンポに感化されてスピードをオーバーする可能性が高いことが示された」

テンポの速い音楽を聴くことによりテストステロン分泌が増え、テストステロンの作用である「やる気」「攻撃性」が向上すると推測されています。以上から、男性の場合は、テンポが速く気分を上げるような音楽であれば、テストステロンを増やす効果が期待できるといえそうです。

テストステロンを減らさない!音楽との付き合い方

テストステロンを減らさない!音楽との付き合い方

ご紹介した各種論文で確認できたことをまとめると、以下の通りとなります。

  • 音楽を聴くと、(ジャンルによるものの)テストステロン値が減少する
  • アップテンポの音楽を聴くとテストステロン分泌が増える

上記をふまえ、ここからは「結論として音楽とどう付き合っていくべきか」「テストステロンを増やすために音楽をどう活用すればよいか」を考えてみます。

日常的な音楽の活用方法

通勤中や運転中・ショッピング中など日常的に音楽を聴く際は、リラックスできる音楽を避けるのが安心です。クラシックやジャズではなく、気持ちがはずむようなアップテンポの音楽を聴くようにしましょう。

しかし、クラシックやジャズだけでなく、好みの音楽を聴く場合でもテストステロン量が減少することはご紹介した通りです。

そのため好きなアーティストの音楽を聴く場合は、1.1倍以上の早さに設定し、テンポを上げることでテストステロンの減少を防げるかもしれません。

お持ちの音楽再生機器が速度調節に対応していない場合は、YouTubeなどの速度調節ができる動画配信サービスを利用し、「テストステロンが増える音楽」に変えて楽しんでみてはいかがでしょうか。

筋トレ中の音楽はなにを聴くべき?

ジムで長時間のトレーニングをする際に、好きな音楽を聴いて楽しむ人は多いと思います。中には「トレーニングが苦手だが、理想の体づくりのため我慢してやっている」「好きな音楽で、キツいのをごまかしている」という人もいるかもしれません。どちらの場合も、無音でトレーニングするとなると耳が寂しく感じそうです。

その場合は、音楽を聴くのをやめるのではなく、アップテンポの音楽を聴いてみましょう。

実はすでにご紹介した「安全な運転環境を提供する音楽の研究」では、「男性では、80km/h走行時に音楽のテンポを10%速くするとC値(=コルチゾール値)が減少した」との記載があります。

別名、「ストレスホルモン」とも呼ばれるコルチゾールは、心身のストレスを感じたときに分泌されます。テストステロンとコルチゾールは、一方が増えればもう一方は減る相関関係にあるため、コルチゾールを減らすことでテストステロンの分泌量を上げる効果が期待できます。

つまり、「苦手な運動をしている人」「トレーニングにストレスを感じている人」は、アップテンポの音楽を聴きながら取り組むことで、テストステロン量を上げる効果が期待できると考えられるのです。

テストステロンとコルチゾールについて詳しく知りたい人は、併せて「テストステロン量はストレスに影響されるって本当?」もチェックしてみてください。

音楽家・作曲家とテストステロン

音楽家・作曲家とテストステロン

テストステロンと音楽の関係性について述べてきましたが、「では、毎日のように音楽を聴いている音楽家や作曲家のテストステロン値は低いのだろうか?」と疑問に思う人もいるでしょう。

そこで最後に、音楽家や作曲家のテストステロン値についてご紹介します。

海外の研究論文「Creative musical behavior and sex hormones: Musical talent and spatial ability in the two sexes」には、以下の内容が記載されています。

「唾液中のテストステロン値に関して、創造的な音楽行動・音楽的知性・空間能力を調査した。 成人117人を対象とした横断研究と、青年120人を対象とした8年間の縦断研究を実施。(中略)結果は、創造的な音楽的表現に適するテストステロン値の範囲が存在する可能性があることを示した。音楽行動に優れるテストステロン値の範囲は、通常の男性のテストステロン値の下限と、通常の女性のテストステロン値の上限にあたる可能性がある」

つまり、音楽を生業にしている人々のうち、男性はテストステロン値が低く、女性はテストステロン値が高めであることが確認されました。よって、男性音楽家や作曲家(=よく音楽を聴く男性)はテストステロン値が低い傾向にあることがわかります。

一方、女性音楽家や作曲家は、テストステロン値が比較的高い傾向にあるとされます。しかし冒頭に紹介した「音楽聴取とテストステロン(三)」の検証では、女性のテストステロン値が上昇することには触れられていません。女性における音楽とテストステロン分泌の関係については、いまだ謎の多い部分といえるでしょう。

まとめ

テストステロンと音楽には、「通常音楽を聴く場合は、男性はテストステロン値が下がる傾向にある」「ただし、1.1倍速などアップテンポの音楽であれば、テストステロン値が上昇する場合がある」といった関係性が確認できました。

テストステロン分泌を増やしたいと考えている人は、普段聴いている音楽のスピードを速めて、テストステロン量を減らさないよう工夫してみましょう。

  • 参考文献
    ・音楽聴取とテストステロン(三) https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=13&block_id=8&item_id=56468&item_no=1
    ・安全な運転環境を提供する音楽の研究 https://www.nissan-zaidan.or.jp/wp-content/uploads/108325.pdf
    ・Creative musical behavior and sex hormones: Musical talent and spatial ability in the two sexes https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/030645309290076J
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