テストステロンを増やすために瞑想も取り入れよう
みなさんは、毎日の生活の中で、何も考えずに心を落ち着ける時間をとっていますか?
近年の研究では、瞑想を日常生活に取り入れることで身体的にも精神的にもさまざまなメリットがあることが報告されています。また、瞑想をすることでテストステロンの分泌を改善する可能性もあるとされています。
今回は、瞑想とテストステロンの関係について考えてみます。
瞑想とは
瞑想は、呼吸や物体、特別に選んだ言葉などの一つのことを価値判断することなく集中することで雑念を払う方法で、古くから行われている心身療法の一つです。
瞑想は仏教の精神修行の一種として多くの僧侶が行っていますが、現在では心身の健康にもさまざまなメリットがあることが報告されています。
瞑想をすることで不安感や抑うつ感が減少し、不眠の改善効果が示唆された研究結果もあります。2017年の米国国民健康調査では瞑想を活用している米国人は14.2%もいるとされています。
瞑想とテストステロンの関係
瞑想をすることでテストステロンの分泌に良い影響を与える可能性があります。
瞑想にはストレス軽減効果がある
いくつかの研究では、瞑想には睡眠障害や抑うつ、不安障害などの精神疾患を改善する効果があると報告されています。
抑うつや不安障害などの精神疾患の原因は主にストレスです。ストレスの原因はさまざまですが、そのひとつに「ネガティブな感情」があります。
怒りや悲しみなどのネガティブな感情は、「反芻」すると増大することが知られています。反芻により、過去に感じたネガティブな感情が増幅し、実際にはストレスになるような出来事が起きていなくても怒りや悲しみを再現します。
瞑想をすることでストレスの原因となる感情に気づき、その感情と距離を置くことで反芻を軽減できます。ネガティブな感情の反芻を防げれば、ストレスは軽減します。
テストステロンはストレスが大敵
テストステロンの分泌を低下させる要因としては、加齢や喫煙、飲酒、慢性疾患や肥満などがありますが、ストレスも大きな要因です。
ストレスは、さまざまな疾患の原因となることも知られています。また、高血圧や肥満など生活習慣病との関連性も示唆されています。
一方、テストステロンが低下している男性は内臓脂肪が増える傾向があり、生活習慣病にもなりやすいとされています。
ストレスとテストステロン、生活習慣病は密接に関係しているわけです。いずれにしても、健康的な生活のためにはストレス対策が重要です。
瞑想をすることで得られるメリットは?
さまざまな疾患において、瞑想による改善効果が報告されています。瞑想をすることでストレスが軽減し、心身ともに良い影響が得られているようです。
慢性疼痛
2016年に米国国立補完統合衛生センターが関わった研究では、20〜70歳の慢性腰痛を患っている人に対して瞑想、認知行動療法、通常治療が行われました。
その結果、瞑想と認知行動療法では同程度の効果が得られ、通常治療を受けたグループよりも痛みの改善効果が大きかったそうです。
別の研究では、瞑想と鎮痛薬を組み合わせることで、鎮痛効果がより高まることが示されています。
高血圧
高血圧の状態が続くと血管へのダメージが蓄積され、心臓の肥大、腎不全、大動脈瘤、脳卒中などのさまざまな疾患のリスクを高めてしまいます。
高血圧の原因は遺伝的なものと環境的なものに分けられますが、環境的な要因には塩分やアルコール、肥満、運動不足、ストレスがあります。
瞑想をするとストレスの軽減につながるため、高血圧の改善にも効果が期待できます。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は、大腸に炎症や腫瘍などの明らかな病変が起きていないのにお腹の痛みや下痢、便秘などが数カ月以上続く消化器疾患です。
はっきりした原因は不明ですが、ストレスや食事、薬、胃腸炎などで悪化することがあります。
米国で2011年に行われた、75人の過敏性腸症候群の女性を対象とした研究では、8週間の瞑想によって症状が緩和されました。
(参考文献:Mindfulness training reduces the severity of irritable bowel syndrome in women: results of a randomized controlled trial)
潰瘍性大腸炎
日本では、難病指定されている疾患です。潰瘍性大腸炎を発症すると大腸の粘膜にびらんや潰瘍があらわれ、下血や下痢、腹痛などの症状を引き起こします。
これも原因は解明されていませんが、自己免疫反応の異常や食生活の問題が指摘されています。
2014年に行われた研究では、潰瘍性大腸炎の患者が瞑想を行うことでストレスによる再発の発生率を軽減する可能性があると結論づけられました。
(参考文献:A randomized controlled trial of mindfulness-based stress reduction to prevent flare-up in patients with inactive ulcerative colitis)
不安症、うつ、不眠症
不安症やうつ、不眠症などの精神疾患は、ストレスによって悪化することが知られています。
不安症は、極度の不安に加え、息切れやめまい、発汗、動悸などの身体的な症状もあらわれ、日常生活に問題が生じます。うつや不眠症についても放置すると治療が長期化するので、早めの治療が必要です。
不安症やうつ、不眠症などの精神疾患に対する瞑想の効果については、多くの研究がされています。3515人分、47の研究をまとめた文献レビューでは、不安感や抑うつ感の改善効果があるとされています。
(参考文献:Meditation programs for psychological stress and well-being: a systematic review and meta-analysis)
その他にも、瞑想をもとにした治療プログラムによって不眠の重症度を大幅に改善したと報告されている研究もあります。
瞑想を生活に取り入れてみる
瞑想は副作用もなく、身体的にも精神的にも多くのメリットがあるため、日常生活に瞑想を取り入れてみるのもいいでしょう。
瞑想にはさまざまな種類がありますが、共通しているのは以下の4つの要素を意識しながら行うことです。
- 雑念を可能な範囲で払って静かにする
- 心地の良い姿勢で行う
- 一点に集中する
- 開いた姿勢(頭に浮かんだことに対して判断しない)
自然体な姿勢で、雑念に囚われることなく呼吸や感覚に集中してください。
頭の中に雑念が現れたとしても、あるがまま受け入れるように意識します。最初は簡単に短く、何もしない時間を取り入れることから始めてもいいでしょう。
まとめ
瞑想は、古くから仏教において精神的修練として行われていました。
近年では、瞑想による身体的、精神的なメリットが科学的に研究されるようになり、瞑想を日常生活に取り入れている人が増えてきました。
瞑想によるメリットとしてストレスの軽減があり、さまざまな疾患の改善が報告されています。テストステロンは、ストレスによって分泌が低下することが知られているため、瞑想によってテストステロン減少をうまく回避できるように生活していきましょう。
日ごろストレスを感じている人は、この機会に日常生活に瞑想を取り入れてみてはいかがでしょうか。
- 参考文献
・日経Gooday 30+ https://style.nikkei.com/healthup/DF140920160927
・マインドフルネス瞑想の怒り低減効果に関する実験的検討 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/84/2/84_93/_pdf
・みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/index.html
・MSDマニュアル家庭版 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
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