テストステロンは閉経後の女性にも重要なホルモンだった

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テストステロンは男性ホルモンの一種ですが、女性の体内でも必要なホルモンとして分泌されています。今回は女性とテストステロンの関係について説明しましょう。

女性も男性と同様、テストステロンが筋肉や骨格の維持、意欲や決断力、集中力を高めるための働きをしており、女性が社会で活躍するためには必須のホルモンといえます。実際、ビジネスの現場で活躍している女性はテストステロンが高い傾向にあります。

テストステロンが高い女性は、人差し指より薬指の方が長いという傾向があります。男性はほとんどの人が薬指の方が長いのですが、女性は意外と少ないのです。

女性の性欲にもテストステロンは影響しています。女性の性欲障害の研究で、性交の前にテストステロンを投与した女性の性的感覚や性欲が上昇したという報告があります。

実は女性の性欲には2種類あるようです。「肉食女子」的に積極的に男性を求めるタイプの性欲にはテストステロンが影響しており、男性からの誘いを寛容に受け入れるタイプの性欲は女性ホルモンのエストロゲンが影響しています。

テストステロンは不妊治療にも有効であることが分かってきています。聖マリアンナ医科大学産婦人科、石塚文平特任教授の発表によると、早発卵巣不全による不妊治療にテストステロン投与を用いた結果、88症例中23例で卵を獲得、19例中16例で受精、7例が妊娠に至ったとのことです。

テストステロンは女性では主に卵巣で作られていますが、その多くはすぐにエストロゲンに変換されるため、女性のテストステロン値は男性の5〜10%と言われています。

そうした事実から考えると、女性ホルモンが不足して起こる生理不順や無月経、肌荒れ、情緒不安定、性機能障害や更年期障害の諸症状などには、テストステロン投与が効く場合があります。ただし、長期的な高容量の投与では体毛が濃くなったり、声が低くなるなど男性化する傾向がありますので、医師の判断が不可欠です。

閉経後の女性はエストロゲンが激減しますが、テストステロンの減少は緩やかなため、テストステロンが優位になります。中高年の女性がバイタリティ豊かに習い事や旅行などの趣味に活躍している光景をよく目にしますが、これはテストステロンが優位であることの影響と考えられます。閉経後の女性には特にテストステロンが大切になるのです。

【一般社団法人1UP学会】 男性医療に関する最新医療技術や情報の啓発・広報活動を行う医療専門団体。テストステロン補充療法による専門外来を東京都千代田区の日比谷国際クリニック(http://www.hibiyakokusai.or.jp)で実施している。

【堀江メソッド】

仕事を引退した後、夫婦で旅をしたり共通の趣味を楽しむなど、余生の計画をしている方々は多いと思います。そのためには、夫婦とも元気でいなくてはいけません。男性だけではなく、女性もテストステロンを意識して生活することが大切です。テストステロンの存在と働きをご夫婦がともに知ることで、男性更年期障害(LOH症候群)にも早期に気づいて対処できることでしょう。


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この記事の監修者

堀江 重郎

堀江 重郎

1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得。国立がんセンター中央病院、杏林大学講師を経て帝京大学医学部主任教授に就任し、日本初の男性更年期外来を開設。2012年に順天堂大学医学部教授に就任。日本抗加齢医学会理事、日本Men's Health医学会 理事長を務める。『ホルモン力が人生を変える』他著書多数。テレビ番組の出演、監修も多数。


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