涙・泣くことはテストステロンアップに有効か?

堀江メソッド筋トレ20230222/泣くイメージ

今回は涙とテストステロンの関係について説明しましょう。

涙の分泌には「基礎分泌」「反射性分泌」「情動性分泌」の3種類があります。基礎分泌は目が乾かないように常に少しずつ涙を分泌することで、反射性分泌は目にゴミが入ったりした際に異物を目から取り除く際に分泌されることを指します。

一般に「涙」と言われるのは「情動性分泌」。喜怒哀楽からくるもので、いわゆる「泣く」です。

泣いて心がスッキリした経験はありませんか? 泣くことは心身の健康にとても良いことが分かっており、テストステロンアップにも効果的です。そのメリットをいくつか紹介します。


①ストレスの緩和

ストレスはテストステロン生成の大敵ですが、泣くことでストレスホルモンであるコルチゾールが涙とともに体外に排出されます。コルチゾールが過剰に分泌されると筋肉を分解してしまうことも分かっています。


②リラックス効果

泣くことで副交感神経が優位になり、心身がリラックスします。泣くことは寝ることと同等に副交感神経を優位にする作用があると言われています。副交感神経が優位になると血流が良くなり、ED(勃起不全)の改善にも効果的です。


③安眠効果

泣くことでセロトニンというホルモンが分泌されます。セロトニンは気分を安定させ、ストレス耐性を向上する働きがあります。また、メラトニンという覚醒と睡眠のリズムを作るホルモンの分泌にも欠かせません。良い睡眠はテストステロンアップにとても有効です。


④体の苦痛の緩和

泣くことで“脳内麻薬”と呼ばれるエンドルフィンというホルモンが分泌されます。実際、エンドルフィンはモルヒネよりも鎮痛作用があると言われています。強い痛みを感じた時に涙が出るのはそのためです。エンドルフィンが分泌されることで気分の高揚や幸福感も得られます。

このように、泣くことはとても心身の健康に良いのですが、急に涙もろくなったという人は注意が必要です。脳は前頭葉で感情の変化をコントロールしていますが、急に涙もろくなった人は何らかの理由で前頭葉がうまく機能していない可能性があります。

前頭葉は考えることや判断することも司ります。この部分が衰えると、思考の柔軟性や創造力、意欲、不足の事態への対処力が失われます。

前頭葉は30代をピークに萎縮する傾向にあり、60~70代で本格的に萎縮が進行します。前頭葉の萎縮を遅らせるには、生活の中にいつものルーティンとは違う行動を意識的に組み込むことが有効的です。

【一般社団法人1UP学会】 男性医療に関する最新医療技術や情報の啓発・広報活動を行う医療専門団体。テストステロン補充療法による専門外来を東京都千代田区の日比谷国際クリニック(http://www.hibiyakokusai.or.jp)で実施している。


【堀江メソッド】

「涙活(るいかつ)」という言葉があります。意図的に泣くことで心と体のリフレッシュを図る活動で、涙活のイベントも開かれているようです。

何度観ても泣ける映画や、何度思い出しても泣けるエピソードがある人は、それらに積極的に触れて泣くことで、心身の健康維持とテストステロンアップが期待できます。一方で、これまでとは違うジャンルの映画や小説で感動を得ることで、前頭葉の活性化が期待できます。



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この記事の監修者

堀江 重郎

堀江 重郎

1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得。国立がんセンター中央病院、杏林大学講師を経て帝京大学医学部主任教授に就任し、日本初の男性更年期外来を開設。2012年に順天堂大学医学部教授に就任。日本抗加齢医学会理事、日本Men's Health医学会 理事長を務める。『ホルモン力が人生を変える』他著書多数。テレビ番組の出演、監修も多数。


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