いま注目の「ジュニアアスリート」とテストステロンの関係

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男子は発育の過程でテストステロンが多く分泌される時期が2回訪れます。

産まれる前の赤ちゃんが、母親のお腹の中で性別ごとに身体を形成していくタイミングを「第一次性徴」と呼びます。男子の場合はこのときテストステロンが働きます。

次に訪れる「第二次性徴」は一般に思春期と呼ばれる11~14歳頃。心身にはっきりとした男女差が生まれる時期です。男子はこの時期もテストステロンが多く分泌されます。

第二次性徴の時期は、スポーツ界では“ジュニア世代”や“育成年代”と呼ばれ、フィジカルやテクニック、メンタル面において、その後のアスリート人生を左右する重要な時期とされています。テストステロンの働きを知っておくことは、この年代の男子にはとても重要です。具体的に説明しましょう。


■フィジカル面

テストステロンが高まり筋肉や骨格の発達が著しいこの時期は、その基礎となる栄養素をしっかり取る食事がとても重要です。特に、成長と運動の両方でカロリーと栄養素を消費するジュニアアスリートは1日3食をしっかり取ることが大切です。

中学生男子は2500〜3000カロリー、高校生男子は2900〜3200カロリーが必要と言われています。また、5大栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル)をバランス良く摂取することも大事です。エネルギー源となる主食(炭水化物)は特に多めに取ることをお勧めします。

食事量が少なかったり、栄養素のバランスが偏ると、テストステロンの分泌が下がり、トレーニングの意欲も低下する可能性があります。


■メンタル面

第二次性徴期の男子は競争心や自尊心、忍耐力、判断力などメンタル面も育まれます。この時期にある程度のキャラクターが形成されるので、特に運動選手の場合は今後のアスリート人生に大きく影響する大切な時期です。

皆さんもご経験の通り、思春期は心が子供から大人になっていく、とても不安定な時期です。アスリートの指導方法にも最大限の配慮が必要です。

アスリートはテストステロンが高い職業の代表格ですが、ジュニアアスリートの時期にテストステロンを下げるような“押し付ける指導”や過度なトレーニングをしてしまうと、メンタルの成長を妨げてしまう可能性があります。

【一般社団法人1UP学会】 男性医療に関する最新医療技術や情報の啓発・広報活動を行う医療専門団体。テストステロン補充療法による専門外来を東京都千代田区の日比谷国際クリニック(http://www.hibiyakokusai.or.jp)で実施している。

【堀江メソッド】

アスリートには必ず引退が訪れます。アスリート時代の経験を生かしてセカンドキャリアを切り開くことが人生の本番と言えるかもしれません。その際にもとても大切なのが、「狩猟」「冒険」「社会性」のホルモンであるテストステロンです。

引退で目標を見失い、テストステロンが急激に低下してしまうと、燃え尽き症候群のような喪失感と鬱症状を引き起こし、ひどい場合は社会的な適応ができなくなる恐れがあります。けがなどにより、引退はいつ訪れるかわかりません。親御さんや指導者は、選手がジュニア世代のときから「もう一つの将来の夢」について会話しておくことがとても大切です。



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この記事の監修者

堀江 重郎

堀江 重郎

1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得。国立がんセンター中央病院、杏林大学講師を経て帝京大学医学部主任教授に就任し、日本初の男性更年期外来を開設。2012年に順天堂大学医学部教授に就任。日本抗加齢医学会理事、日本Men's Health医学会 理事長を務める。『ホルモン力が人生を変える』他著書多数。テレビ番組の出演、監修も多数。


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