テストステロンとフェロモンはどう関係しているのか?

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今回は「フェロモン」について説明しましょう。フェロモンは動物や微生物の体内で生成され、体外に分泌することで同種の他の個体の一定の行動などに変化を促す物質のことです。

ファーブルの『昆虫記』には蛾のメスがオスを誘因する様子が記されています。当時からフェロモンの存在は推測されており、当初は「エクトホルモン」と呼ばれていました。1959年にカールソンとブテナントという学者がラテン語の「pherein(運ぶ)」と「hormao(刺激する)」を合わせた「pheromone(刺激を運ぶもの)」という語を作り出しました。

フェロモンは異性同士の性的な行動を誘発する物質というイメージが強いですが、これは異性に交尾が可能であることを伝える「性フェロモン」に分類されるフェロモンの一種です。そのほかにも生物は、さまざまなフェロモンを用いて生きています。

例えば、仲間に餌の在処を教えるためのフェロモンは「道標フェロモン」と呼ばれます。その他にも越冬などのために仲間を集合させる「集合フェロモン」や、外的の存在を仲間に知らせる「警報フェロモン」の存在が明らかになっています。

また、シカゴ大学のマクリントック教授は、長い時間一緒に過ごす女性同士が同じタイミングで月経になる傾向(ドミトリー効果)が女性同士で影響するある種のフェロモンの働きであるという研究結果を発表しました。このフェロモンは「性周期同調フェロモン」と呼びます。

性フェロモンに関しては、性ホルモン(男性はテストステロン、女性はエストロゲン)を上げることで分泌量が上がります。性フェロモンが届いた異性は、その相手に異性としての魅力を感じます。

男性の性フェロモンはα−アンドロスタンジオールという物質で、テストステロンの影響で生成される化合物であり、男性が嗅ぐと悪臭に感じます。また、ワキガの原因であるアポクリン腺は本来は性フェロモンの分泌器官で、ワキガの匂いはシチュエーションによっては異性を性的に興奮させることが分かっていますが、性フェロモンは雑菌によって悪臭に変化することがあるので、体を清潔に保つことも大切です。

フェロモンは第二の鼻とも呼ばれる鼻の中にある「じょ鼻器(ヤコブソン器官)」によって知覚されます。これは通常の匂いを感じ取る嗅球とは別の感覚器です。ただし、人間は大脳新皮質が発達していて理性を持つため、性フェロモンを知覚しても反射的に行動に結び付くことはほとんどありません。むしろ、容姿やファッション、清潔感、所作や言葉遣いといった要素が、その人の性的な魅力に大きく関わります。そうした自分磨きに力を注げる男性はテストステロンが高くフェロモンの分泌量も高いと考えられますので、魅力的でモテるというわけです。

【一般社団法人1UP学会】 男性医療に関する最新医療技術や情報の啓発・広報活動を行う医療専門団体。テストステロン補充療法による専門外来を東京都千代田区の日比谷国際クリニック(http://www.hibiyakokusai.or.jp)で実施している。

■堀江メソッド

フェロモン香水なるものが売られているのを目にしますが、効果はあまり期待しないでください。男性の性フェロモンはテストステロンを高めることによって分泌量も上がります。日頃からテストステロンを上げるために、トレーニングや食生活の改善、睡眠の質を上げることをおすすめします。


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この記事の監修者

堀江 重郎

堀江 重郎

1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得。国立がんセンター中央病院、杏林大学講師を経て帝京大学医学部主任教授に就任し、日本初の男性更年期外来を開設。2012年に順天堂大学医学部教授に就任。日本抗加齢医学会理事、日本Men's Health医学会 理事長を務める。『ホルモン力が人生を変える』他著書多数。テレビ番組の出演、監修も多数。


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