「悪口」で憂さ晴らし、ドーパミン放出は危険!

2022/11/09

堀江メソッド筋トレ20221102

テストステロンが作用している脳内の“報酬系”というメカニズムは、何かを達成したとき、特にその過程が困難であればあるほど強く作用し、気持ちの良い“達成感”に包まれます。そして、もっと強い刺激を求めて次の目標にチャレンジするようになります。以前お伝えした、「もっと褒められたい」という欲求もこのメカニズムです。

その一方で、報酬系の働きによる快楽を手軽に得られる方法もあります。ギャンブルやアルコール、過食、買い物などが代表的ですが、実は他人の悪口を言うことでも報酬系ホルモンの「ドーパミン」が放出されます。

独立行政法人放射線医学総合研究所での共同研究では、自分より上級と感じる相手には妬みを感じ、その相手の不幸には報酬系の一部である線条体が反応し喜びを感じるという結果が出ました。『他人の不幸は蜜の味』が脳科学的に立証されたのです。

一方、テストステロンが高いと他人からの評価や細かいことは気にならなくなります。他人の悪口をよく言う人はテストステロンが低いと考えられます。

また、東フィンランド大学は、悪口が多い人は認知症のリスクが3倍高いという研究結果を発表しています。

さらに厄介なことに、悪口依存は周囲に伝染してしまいます。ネガティブな感情や悪口を言う人の近くにいると、その感情が伝染してしまうのです。他人の言う悪口につい乗ってしまった、という経験がある人もいるでしょう。

職場に悪口依存の人が一人いると周りに伝染し、悪口集団を形成してしまいます。この悪口集団に所属してしまうと周りから敬遠され、マイナスの結果を招きます。悪口をよく言う人とは距離を保つほうが賢明です。

お酒を飲みながら上司や同僚の悪口を言ってストレス発散、と考える人もいますが、お酒と悪口でストレスはなくなりません。実は悪口を言っているとき、ドーパミンの放出と同時にストレスを感じると分泌されるコルチゾールも放出されているのです。

悪口を言っているときは「ストレス発散」と錯覚してしまうのですが、悪口を言っても根本的にストレスはなくなりません。また、お酒も一時的な脳の快楽は得られますが、ストレス解消にはつながらず、飲み過ぎてしまうと翌日の体調を崩し、気分の低下も引き起こすなど、逆に心身ともにストレスがたまってしまいます。

過度なストレスは脳の海馬を萎縮させ、免疫の低下や代謝の悪化などの悪影響も及ぼします。ストレスを強く感じたときは、軽い有酸素運動や筋トレをすることをお勧めします。

悪口を言うことは何も良いことにつながりません。テストステロンを高めると自己肯定感や鈍感力が身に付くので、気持ちが前向きになり、悪口を言っている時間がもったいないと感じるようになるでしょう。

【一般社団法人1UP学会】 男性医療に関する最新医療技術や情報の啓発・広報活動を行う医療専門団体。テストステロン補充療法による専門外来を東京都千代田区の日比谷国際クリニック(http://www.hibiyakokusai.or.jp)で実施している。

■堀江メソッド

これからの季節は忘年会が増えてきますが、「今日は悪口なしで」とルールを決めて楽しい会話で盛り上がることを意識してみましょう。

テストステロンをケアするために、料理はタンパク質や亜鉛などを含む食材を積極的に選んで、お酒はほどほどに。締めのラーメンの誘惑も我慢してください。一年を締めくくり、「来年も頑張ろう」となる、とても良い忘年会になるでしょう。



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この記事の監修者

堀江 重郎

堀江 重郎

1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得。国立がんセンター中央病院、杏林大学講師を経て帝京大学医学部主任教授に就任し、日本初の男性更年期外来を開設。2012年に順天堂大学医学部教授に就任。日本抗加齢医学会理事、日本Men's Health医学会 理事長を務める。『ホルモン力が人生を変える』他著書多数。テレビ番組の出演、監修も多数。

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