テストステロンとEDの「深い関係」

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EDは英語でErectile Dysfunctionの略で勃起機能の低下を意味します。症状の定義としては、満足な性交為を行うのに十分な勃起が得られない、または維持できない状態が持続または再発する症状を指します。

勃起は、性的刺激を五感で認知した脳が出した指令を神経経由でペニスが受け取り起こります。このメカニズムが阻害されることでEDが発症するのですが、その原因によってEDは大きく4つに分類されます。

①器質性ED

・糖尿病、高脂血症、高血圧による動脈硬化によってペニスに十分な血液が送り込めず勃起が困難になる

・大腸や前立腺の手術後や糖尿病など脳の指令を伝達する神経に障害がある

②心因性ED

・緊張や精神的なストレスから性的な興奮がうまく脳から体に伝わらない

・過去に性交がうまくいかなかったことによるトラウマや不安

・妊活中のプレッシャーやうつ状態

③混合型ED

・①②の混合型

④薬剤性ED

・神経系や循環器系、消化管に作用する薬剤にはEDの原因となるものがある(同じ薬で誰もがなるわけではない。前立腺がんの薬やAGA=男性型脱毛症=の薬剤は数%の男性にEDを起こすといわれている)

男性ホルモンであるテストステロンは性欲に加えて、動脈硬化を予防し、ペニスを拡張する働きがあるので、男性機能にはテストステロン値が大きく関連していると考えられます。上記の器質性EDの原因である糖尿病や高脂血症、高血圧などの生活習慣病もテストステロンが減少することで進行が早まります。

また、テストステロンが高い状態では、外部のストレスへの抵抗力が増して細かいことは気にならなくなるため、心因性EDは起こりにくくなります。

実際、テストステロンが下がり始める40歳からEDの人は増加傾向で、バイアグラやシアリスなどの勃起補助薬が効かない人も増えています。

アルコールも、適量ならリラックスしてテストステロンが増えますので、心因性EDには効果的です。しかし、大量の飲酒、継続的な飲酒はテストステロンを低下させ、脳の指令を伝達する神経を抑制することがあります。

たばこを1日に10本以上吸う人も、吸わない人と比較して1・15倍EDになりやすいというデータがあります。ニコチンの血管収縮作用で血行障害が生じ、ペニスに血流が流れ込みにくくなることや、喫煙で交感神経刺激が優位になることも勃起しにくくなる原因です。

 睡眠不足や睡眠の質もED発症に影響します。睡眠の不足や質が悪いと夜間のテストステロンの分泌を妨げ、体が休まらず、ストレスもたまりやすくなり、心因性EDにつながる可能性があります。

【一般社団法人1UP学会】  男性医療に関する最新医療技術や情報の啓発・広報活動を行う医療専門団体。テストステロン補充療法による専門外来を東京都千代田区の日比谷国際クリニック(http://www.hibiyakokusai.or.jp)で実施している。


【堀江メソッド】

EDはペニスだけの問題ではなく、狭心症や脳梗塞と同じ血管の病気の一つとしてとらえなくてはなりません。50歳を過ぎて自覚がある人は医師に相談し、食事や運動、睡眠など生活全般を見直すことをお勧めします。

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この記事の監修者

堀江 重郎

堀江 重郎

1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得。国立がんセンター中央病院、杏林大学講師を経て帝京大学医学部主任教授に就任し、日本初の男性更年期外来を開設。2012年に順天堂大学医学部教授に就任。日本抗加齢医学会理事、日本Men's Health医学会 理事長を務める。『ホルモン力が人生を変える』他著書多数。テレビ番組の出演、監修も多数。


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