男性更年期障害に対する「意識の低さ」が浮き彫りに

堀江メソッド筋トレ20220921/男性不調イメージ

2022年3月、厚生労働省は「更年期症状・障害に関する意識調査」を発表しました。調査の目的は更年期における健康課題や疾患の予防・健康づくりを支援するためで、更年期症状の実態やリテラシー、受診状況や日常生活への影響、支援ニーズなどについて調査しました。

その中で、医療機関で「更年期障害と診断された」人の割合は、40代女性3.6%▽40代男性1.5%▽50代女性9.1%▽50代男性1.7%でした。

一方、自分に更年期障害の可能性があると考えている人の割合は、40代女性28.3%▽40代男性8.2%▽50代女性38.3%▽50代男性14.3%でした。

更年期障害の自覚症状はあるものの受診していない人は非常に多く、加えて自分が更年期障害だと自覚していない人もいるはずなので、40代以上の更年期障害の人は相当数いると考えられます。更年期障害について、よりいっそうの情報提供が必要なようです。

更年期障害が見過ごされてしまうのは、更年期障害は特定の場所の疾患ではなく、さまざまな症状が複合的に表れたり、人によって症状の表れ方が異なることが理由です。

40代以上の人が心身に少しでも不調を感じたときは、男女ともに更年期障害の可能性があります。医師に相談することをお勧めします。

女性の場合、閉経の前後5年ほどの間に起きる体の不調を更年期障害と言いますが、男性の更年期障害はLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)と呼ばれ、女性のように時期がある程度決まっているわけではありません。突然、テストステロンが急激に下がってしまうことで起こります。

LOH症候群の理解がないと見過ごされてしまうか、症状の一つである気持ちの落ち込みから精神科や心療内科を受診し、鬱病と診断されてしまうこともあります。

最近、意欲がわかない、女性に興味がなくなった、身だしなみに無頓着になった、朝立ちがなくなった、夜何回もトイレに起きるなどの自覚がある男性は、更年期障害(LOH症候群)を疑ってください。

ちなみ、前記のアンケートで「男性にも更年期にまつわる不調があることを知っているか?」との質問に対しては、40代以降の女性30〜50%が知っていたのに対し、40代以降の男性は10〜20%しか知らないという結果でした。

女性は更年期を自分ごととして捉えていますが、男性にはまだその意識が低いようです。

【一般社団法人1UP学会】 男性医療に関する最新医療技術や情報の啓発・広報活動を行う医療専門団体。テストステロン補充療法による専門外来を東京都千代田区の日比谷国際クリニック(http://www.hibiyakokusai.or.jp)で実施している。

■堀江メソッド

厚労省のアンケートでは、「更年期に入る前にほしい(ほしかった)情報」として、「主な更年期症状の内容や程度」「主な更年期症状に対する対処法」と回答した人が全年代で多くいました。

まだまだ情報発信が必要です。ネット上にもさまざまな情報が掲載されていますが、たまに「?」と思う情報もありますので、情報の取捨選択に迷ったら、気軽にお近くのメンズヘルス外来や泌尿器科を受診してください。


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この記事の監修者

堀江 重郎

堀江 重郎

1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得。国立がんセンター中央病院、杏林大学講師を経て帝京大学医学部主任教授に就任し、日本初の男性更年期外来を開設。2012年に順天堂大学医学部教授に就任。日本抗加齢医学会理事、日本Men's Health医学会 理事長を務める。『ホルモン力が人生を変える』他著書多数。テレビ番組の出演、監修も多数。


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