【実験結果】テストステロンを簡単に増やす「食事法」が判明
冬太りしていませんか? 体脂肪が増えるとテストステロンが減ってしまうことが知られています。テストステロンが低いと活力や性機能が損なわれ、QOL(生活の質)に大きな影響を与えます。
テストステロンの低下が気になる人は、食事の摂り方に気をつけるとよいかもしれません。早稲田大学の研究によると、食べ物をゆっくり味わって、よく噛んでから食べると、普通に飲み込む場合よりも食後90分間にわたりエネルギー消費量が増加することが明らかになっています。
早食いによって太ってしまう主な理由は、①早食いが食べ過ぎをもたらす②早食いがDIT(食事を摂ったあと体内に吸収された栄養素が分解され熱が産み出されることにより増えるエネルギー消費量)を減らす、の2点です。
前述の研究では3つのグループに分かれて飲料水の飲み方を変える実験を行いました。①30秒ごとに1回飲み込むことを10回②30秒間口に含んだあとに飲み込むことを10回③30秒間口に含んでいる間、1秒に1回噛んでから飲み込むことを10回という3パターンです。そして各グループのDITを比べました。
結果は、すぐに飲み込んだ①のグループは平均3・4kcal、味わう時間を長くした②のグループは平均5・6kcal、さらに咀嚼を加えた③のグループは7・4kcal消費することが分かりました。つまり、味わいながらしっかり噛むことでDITが2倍以上に増加したのです。
この数字の差は一見小さいと思われるかもしれません。しかし、これを365日の毎食続ければ、1年後には相当な差が生まれていることでしょう。
テストステロンを増やすためにはタンパク質や炭水化物、ビタミン、亜鉛などの栄養素をバランスよく食事でとることが大切です。そのうえで、肥満によってテストステロンを減らさないために、食事は腹八分目を心がけて、ゆっくりと噛んで食べるのがいいでしょう。
【一般社団法人1UP学会】
男性医療に関する最新医療技術や情報の啓発・広報活動を行う医療専門団体。テストステロン補充療法による専門外来を東京都千代田区の日比谷国際クリニック(http://www.hibiyakokusai.or.jp)で実施している。
【堀江メソッド】
食事制限を過度に行ってしまうと体脂肪は一時的に減るかもしれませんが、同時に男性ホルモンが減少する可能性があります。特に炭水化物に含まれる糖質の摂取が少ないと、その後運動しても男性ホルモンの分泌効果が減ってしまうことが分かっています。食事制限を行う前に、まずは食事のとり方を意識してみましょう。詳しくは『LOH症候群』(角川新書)をご覧ください。
この記事の監修者
堀江 重郎
1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得。国立がんセンター中央病院、杏林大学講師を経て帝京大学医学部主任教授に就任し、日本初の男性更年期外来を開設。2012年に順天堂大学医学部教授に就任。日本抗加齢医学会理事、日本Men's Health医学会 理事長を務める。『ホルモン力が人生を変える』他著書多数。テレビ番組の出演、監修も多数。
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