日本でこれまで男性更年期障害とテストステロン療法が注目されなかった本当のワケ

堀江メソッド2022年3月11日

男性更年期に対する治療は、日本が敗戦に苦しんでいた1940年代から米国では盛んに行われていました。テストステロンの化学構造は35年には明らかになっており、40年には米国で論文も発表されています。それを受け、米国では更年期の男性に対してテストステロンを注射する治療が行われ、戦前の日本でも鬱病患者の治療に使われました。

しかし、その後の日本は世界に比べてテストステロン療法に対し遅れをとっています。その要因としては、具体的には2点挙げられます。

1点目は敗戦による人口の増加です。派兵されていた人たちが海外から帰国し、ベビーブームが起きて国内の人口が急増しました。限られた仕事を分配する必要性に迫られたため、会社の定年制が厳密なものになりました。すなわち、ある年齢で社会から退くルールをつくることで若い世代と入れ替えることが推進されたのです。その結果、定年後は枯れた人間として余生を静かに過ごすことが社会規範となりました。

2点目は医学・医療の細分化です。テストステロン製剤は画期的な治療薬として、狭心症、筋肉低下、鬱病、男性更年期障害に用いられるようになりました。しかし、その後、それぞれの臓器で循環器科、肝臓内科などと専門が分化していくにつれ、個別の疾患に対して創薬が盛んになり、いわば万能薬であったテストステロンへの関心が薄れてきました。

こうして、わが国での男性更年期やテストステロン療法は注目される機会を逃してきたわけです。しかし現在では、医療の細分化により、高齢者が病院で個々の診療科から処方される薬は併せるとすさまじい数となっています。全身的な健康を保つために改めてテストステロンが重要になっています。

【一般社団法人1UP学会】

男性医療に関する最新医療技術や情報の啓発・広報活動を行う医療専門団体。テストステロン補充療法による専門外来を東京都千代田区の日比谷国際クリニック(http://www.hibiyakokusai.or.jp)で実施している。


【堀江メソッド】

人生100年時代と言われる現在、定年制や老後の過ごし方に対する考え方は大きく変化しています。いつまでもハツラツと生きるためにまずはご自身のテストステロンレベルを気軽にチェックしてください。

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この記事の監修者

堀江 重郎

堀江 重郎

1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得。国立がんセンター中央病院、杏林大学講師を経て帝京大学医学部主任教授に就任し、日本初の男性更年期外来を開設。2012年に順天堂大学医学部教授に就任。日本抗加齢医学会理事、日本Men's Health医学会 理事長を務める。『ホルモン力が人生を変える』他著書多数。テレビ番組の出演、監修も多数。


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