テストステロン低下で起きる「LOH症候群」治す薬とサプリ
医療機関が中高年男性の男性更年期障害、LOH(ロー)症候群を治療する際には、テストステロンを補充することに加え、いくつかの薬剤やサプリメントも補助的に使います。どのようなものが使われるかを紹介しましょう。
■PDE5阻害薬
PDE5阻害薬と呼ばれるバイアグラやシアリスなどは、もともとはEDに対する勃起補助薬です。これらの薬は臓器への血流を増やす作用があり、テストステロンを上げる作用もあります。前立腺肥大症では膀胱への血流が減っていることが多く、テストステロンが少なくなると前立腺肥大症が顕著になりやすいことが知られています。
■ビタミンB群
ビタミンB群は疲労感を減らし、エネルギーを高める作用があります。ビタミンBにはたくさんの種類があるのでビタミンB群と呼ばれ、このうちB6、B7が不足するとテストステロンが減少することが知られています。
ビタミンB6(ピリドキシン)はニンニクに含まれており、いわゆる「にんにく注射」の主要な成分です。ビタミンB6は食事から摂取したタンパク質をエネルギーに変える働きがあり、ビタミンB6がないと、いくらタンパク質を取っても有効に活用できません。
■ビタミンD
ビタミンDはカルシウムの吸収を促して骨を強くする、免疫力を高めてウイルスの感染に打ち勝つといった重要な働きをしています。1日600〜800IU(国際単位)が必要で、1日4000IUが上限量とされています。
ビタミンDは日光を浴びることで皮膚で産生されますが、十分な日照を受けているハワイ在住の日焼けした健康な若いサーファーでさえ、その半数は望ましいとされる血中濃度に届いていなかったという調査結果もあります。そのため、サプリメントや食事での摂取が勧められています。
次回もメンズヘルス外来で処方しているサプリメントや薬剤を紹介します。
【一般社団法人1UP学会】
男性医療に関する最新医療技術や情報の啓発・広報活動を行う医療専門団体。テストステロン補充療法による専門外来を日比谷国際クリニック(東京都千代田区)で実施している。
【堀江メソッド】
本文にあるように、ハワイのサーファーでさえビタミンDの血中濃度が十分でないという調査結果がります。サプリメントや食事での栄養素の摂取は重要です。サケの切り身を1日1切れ食べれば十分なビタミンDが摂取できますので、お試しください。詳しくは『LOH症候群』(角川新書)をご覧ください。
【協力】 日比谷国際クリニック(東京都千代田区)=http://www.hibiyakokusai.or.jp/
この記事の監修者
堀江 重郎
1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得。国立がんセンター中央病院、杏林大学講師を経て帝京大学医学部主任教授に就任し、日本初の男性更年期外来を開設。2012年に順天堂大学医学部教授に就任。日本抗加齢医学会理事、日本Men's Health医学会 理事長を務める。『ホルモン力が人生を変える』他著書多数。テレビ番組の出演、監修も多数。
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