過激な糖質制限は男性のエネルギー源・テストステロンを下げる

堀江メソッド筋トレ20211222/白米イメージ

いまや世界中で肥満は健康上の大きな問題となっています。日本でも40〜74歳の人に行われる「特定健診」でウエストのサイズを測ります。肥満は脳卒中や心筋梗塞のリスクを高める糖尿病や高血圧などの生活習慣病を合併しやすく、医療資源を消費する度合いが高いとされているからです。

友達に肥満者がいると自分も太りやすい、すなわち肥満は「伝染する」こと、また貧困層や社会的弱者にむしろ肥満者が多いことも指摘されています。

日本においては特に男性の肥満が目立ちます。実はこの30年で女性はどの年代でも肥満度が低下しているのに対し、男性はどの年代でも肥満者が増えています。

肥満の治療で即効性のあるものに、糖質制限があります。「炭水化物を制限する代わりに、ほかの食べ物(特に肉、魚、卵などの高タンパク、高脂肪食品)はいくら食べてもかまわない」という方法で、ダイエット方法としても大流行しました。

しかし、糖質制限によって心血管疾患のリスクが高まり、これを長期間続けると死亡率が上がることが複数の研究から分かっています。実際、糖質制限をしている人を体組成計で追跡していくと、最初の1カ月間はたしかに体脂肪が減りますが、その後は筋肉量がどんどん減っていきます。CTで見ると筋肉の中に脂のサシが入ったようになり、老年医学でいうサルコペニア(筋肉減少症)に近い状態になります。

この一つの原因としてテストステロンの減少が上げられます。テストステロンが低いと体内に炎症が起こり、筋肉量が減り、心血管障害が起きやすくなります。肥満者はそもそもテストステロンが下がっているLOH症候群が多いので、そこで糖質制限をするとさらにテストステロンが下がり、体調が悪化してしまうことになります。

痩せることは健康の一丁目一番地ですが、過度なダイエットや行き過ぎた食事制限は思わぬところに悪影響が出ます。

【一般社団法人1UP学会】

男性医療に関する最新医療技術や情報の啓発・広報活動を行う医療専門団体。テストステロン補充療法による専門外来を日比谷国際クリニック(東京都千代田区)で実施している。


【堀江メソッド】

昔は「腹が減っては戦ができぬ」と、大きなイベントの前にはおにぎりなどを食べていました。これは血糖値が上がることでテストステロンが上がることを感覚的に分かっていたのでしょう。筋トレや食事制限の努力をしている人も多いでしょうが、せっかくの努力が悪い方向に働く前に一度専門家の意見を聞いてみてください。


【協力】 日比谷国際クリニック(東京都千代田区)=http://www.hibiyakokusai.or.jp/

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この記事の監修者

堀江 重郎

堀江 重郎

1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得。国立がんセンター中央病院、杏林大学講師を経て帝京大学医学部主任教授に就任し、日本初の男性更年期外来を開設。2012年に順天堂大学医学部教授に就任。日本抗加齢医学会理事、日本Men's Health医学会 理事長を務める。『ホルモン力が人生を変える』他著書多数。テレビ番組の出演、監修も多数。


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