東洋医学では、中高年男性に元気がなくなる現象を「腎虚」と呼んでいます。この腎虚に東洋医学がどのように対応しているのか紹介しましょう。

風邪やインフルエンザなどで数日寝込んで体力が衰えているときに、「力をつけよう！」と、いきなりステーキなどを食べる人はあまりいないでしょう。

病気で体力が落ちているピークのときは、おかゆと梅干のようなシンプルな食事のほうがいつもよりおいしいと感じられます。ゆっくりと疲れた身体が癒やされる気持ちにもなるでしょう。

男性ホルモンも、量が少なくなった状態で疲れが蓄積すると、仕事はもちろん、周りの人と向き合っていくのもしんどい状態になります。これは体力、気力が低下した「虚証」の状態と考えられるので、メンズクリニックなどでは補剤と呼ばれる「漢方薬」を処方します。

私たち１ＵＰ学会が提携している日比谷国際クリニックでは、男性更年期症状を訴える人に、「補中益気湯（ほちゅうえっきとう）」をまず処方しています。その成分には滋養強壮作用のある人参（ニンジン）、黄耆（オウギ）、水分代謝をよくする蒼朮（ソウジュツ）、血行をよくする当帰（トウキ）、炎症を抑える柴胡（サイコ）、気を巡らせ胃腸の働きをよくする陳皮（チンピ）、解熱解毒作用のある升麻（ショウマ）、そのほかに生姜（ショウキョウ）、大棗（タイソウ）、甘草（カンゾウ）が含まれています。

これらの作用は、男性更年期障害やＬＯＨ（ロー）症候群（＝加齢性腺機能低下症）の対処にも適しています。補中益気湯は薬局で購入できますので、身体の不調を感じたときには試してもらいたい漢方薬です。

【一般社団法人1UP学会】

　男性医療に関する最新医療技術や情報の啓発・広報活動を行う医療専門団体。テストステロン補充療法による専門外来を日比谷国際クリニック(東京都千代田区)で実施している。

【堀江メソッド】

われわれの研究では、補中益気湯の服用でフリーテストステロンが上がり、ストレスホルモンであるコルチゾールや交感神経による緊張度を表す副腎皮質刺激ホルモン(ＡＣＴＨ)が下がることが明らかになっています。

　男性ホルモン値が極端に下がっていなければ、まず生活習慣のカウンセリングと漢方薬の処方を行うことで対応できると考えられます。

【協力】日比谷国際クリニック（東京都千代田区）＝http://www.hibiyakokusai.or.jp/