日本人におけるテストステロンの日内変動について

日本人におけるテストステロンの日内変動について

テストステロンの分泌にリズムがあることをご存じでしょうか?

男性ホルモンの一種であるテストステロンは、男性の性機能だけでなく、認知機能や筋肉量、内臓脂肪など生活習慣病のリスクにも影響しています。そのため、男性が健康的な生活を送るのに重要なホルモンだといわれています。作用について詳しくは【さまざまな効果があるテストステロン(男性ホルモン)とは】をご覧ください。

テストステロンの分泌リズムを知ることで、分泌が低下している場合の対策が可能なこともあります。今回はテストステロンの日内変動と対策についてご紹介します。

テストステロンは日内変動がある?

テストステロンの分泌には、日内変動があることが知られています。テストステロンの日内変動には個人差があり、体調や季節など多くの理由で変化しますが、一般的には夜明け前から午前中にかけてテストステロンの分泌が多くなる傾向にあります。

血清総テストステロンと遊離テストステロンの両方とも上昇しますが、特に遊離テストステロンの上昇幅が大きいとされています。

しかし、遊離テストステロンは加齢とともに減少するため、45歳以上では日内変動が失われることが多いとされています。

テストステロンに日内変動があるとどうなるの?

テストステロンは夜明け前から午前中にかけて分泌量が増える日内変動があるため、テストステロン値を測定する検査の時間や、テストステロンを補充する医薬品を使用する時間にも影響することがあります。

テストステロンの日内変動に合わせた時間に検査や治療薬の使用をしないと、正確な数値の測定や十分な治療効果を引き出すことができなくなる可能性もあるので、注意が必要です。

時間帯によって検査値に差が出る

テストステロンの分泌は夜明け前から午前中にかけて活発になるため、テストステロンの測定は午前中に行われることが望ましいとされています。

お昼から夕方にかけてはテストステロンの分泌が低下します。もともと分泌が不足している場合と区別がつきにくいため、血中テストステロンの分泌が多いとされる午前中に測定します。

午前中のテストステロン値が基準値より低い場合には、テストステロンの分泌が低下しているといえます。

薬の使用時間によって効果に影響が出る?

テストステロン分泌は明け方からピークを迎えるため、テストステロンを補充する治療薬の多くも日内変動に合わせて使用することが推奨されています。

テストステロンを補充するクリームには、1日1回、朝に塗ることを推奨している大東製薬工業の「グローミン」などがあります。また、夜間からテストステロンの分泌が増えてくるので、夜にもクリームを塗布できます。

しかし、寝る時間が日によって違うとテストステロンの分泌時間が安定しない可能性があります。夜間の塗布は生活リズムが整っている場合に推奨されます。

テストステロンは加齢とともに変動する

テストステロンは加齢とともに変動する

米国で行われた男性更年期障害の有病率についての調査では、血清テストステロン値が325nd/dl以下の割合が60歳代では20%、70歳代では30%、80歳代では50%と加齢とともに有病率も増加していることが報告されています。

日本人男性を対象とした調査では、血清総テストステロン値は加齢の影響が少なかったのに比べて、遊離テストステロン値は20代でピークを迎えて加齢とともに減少することが報告されています。

そのため、テストステロンの検査では遊離テストステロンが測定されます。男女別、年代別のテストステロンの標準値や、その推移など詳しく【テストステロンの男女別・年齢別の基準値とは】にまとめておりますので、合わせてご覧ください。

加齢とともにテストステロンが減少すると性機能が低下するだけでなく、集中力や記憶力などの認知機能の低下、内臓脂肪の増加、骨粗しょう症や糖尿病リスクの増大など、さまざまな健康上のリスクを上昇させるので注意が必要です。

生活習慣が崩れるとテストステロンが減少する?

テストステロンと生活習慣は密接に関係しています。生活習慣が崩れてしまうと、テストステロンの分泌が減少することがありますので注意が必要です。

また、ストレスによってテストステロンの分泌が減少することも知られているので、生活習慣の改善と合わせてストレス対策も行うといいでしょう。

食生活と睡眠時間は大事

テストステロンは食生活と睡眠時間は大事

テストステロンは、コレステロールを原料として体内で生合成されることが知られています。

過度のダイエットや不摂生な食生活を続けていると、テストステロンの材料であるコレステロールが不足する恐れがあります。また、テストステロン値と肥満は関係しているとされ、内臓脂肪の量が多いとテストステロンの分泌が減少すると報告している研究もあります。

睡眠時間とテストステロンの因果関係については、はっきりとはしていませんが、睡眠が不足するとさまざまな悪影響が起こることが知られています。

睡眠が足りないと高カロリーの食品を欲するようになることが報告されており、睡眠不足の人は睡眠が十分に取れている人に比べると体重が増加しやすい傾向にあります。肥満になるとテストステロンの分泌が低下するので、食生活だけでなく適切な睡眠時間の確保も重要です。

運動習慣は重要

テストステロンは、骨格筋に作用して筋肉を増大させる作用がありますが、筋トレなどの運動で骨格筋を動かすことで循環血液中のテストステロンを増やすこともできます。

加齢とともに減少したテストステロンの分泌量と筋機能が関連しているとされているため、特に高齢者は運動習慣によってテストステロンの分泌量を維持するための手助けにもなります。

まとめ

テストステロンの分泌には日内変動があるとされ、夜明け前から午前中にかけてテストステロンの分泌が増えていきます。

テストステロンの分泌に日内変動があることは、医薬品を使用する時間帯にも影響し、テストステロンの測定も午前中が推奨されています。テストステロンの分泌に日内変動があることを理解することで、医薬品の効果的な使用にも役立てることができます。

本記事でも紹介したとおり、テストステロンの分泌は加齢とともに減少します。テストステロンの分泌量を出来るだけ維持するためにも、栄養バランスのとれた食事と適切な睡眠時間、運動習慣が重要です。

テストステロンが低下しないようにするためにも、健康的な生活習慣を心がけましょう。

  • 参考文献
    ・順天堂大学医学部泌尿器科 https://juntendo-urology.jp/
    ・大東製薬工業 https://www.daito-p.co.jp/
    ・健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/koreisha-hinyokishikkan/LOHshokogun.html
    ・運動による新たな性ホルモン合成経路 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/57/1/57_1_38/_pdf/-char/ja
    ・血中遊離テストステロン値の減少 https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/150759-1-17.pdf
    ・国立大学法人 筑波大学 https://wpi-iiis.tsukuba.ac.jp/uploads/sites/2/2018/01/20170110_LazPR.pdf
    ・男子血清テストステロンの生理的変動に関する研究 https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/33806/06157_要旨.pdf
    ・男性におけるHDL−コレステロール代謝調節と性ホルモン https://www.researchgate.net/profile/Shuzo-Kumagai/publication/31898277_nanxingniokeruHDL-koresuterorudaixiediaojietoxinghorumon_sonojichutoyundongjibishentitoreningunoyingxiang/links/02e7e525bf51708dfb000000/nanxingniokeruHDL-koresuterorudaixiediaojietoxinghorumon-sonojichutoyundongjibishentitoreningunoyingxiang.pdf
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