【全文掲載】男性の健康と幸福を語り合う「男塾」第3回《マインドフルネスが目指すもの》#02

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あるがままの現実

例えばですね、夜眠れない時どうなるか、ということなんですが、「ああ全然眠くならねえ、いつになったら眠れるんだろう」「明日忙しいのになあ、こんなんじゃ身が持たないよ、」いつになったら眠れるんだ、ああ、もう3時になっちゃったよ、どうしてこうなんだよ!」と、こんな風にね、だんだんイライラして、ますます目が冴えてくるというのが、我々眠れない時の特徴ですよね。

でもこれをマインドフルネスの心持をもって、この眠れないっていう状態を体験してみる、そうすると、その状況を事実として眺めてみると、眠れないというのはこんな感じなんだなあ、と結構新鮮ですよ。 

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なんか「肩の辺りが張ってるんだなあ」とか、「頭がちょっとカッカしてるような感じするなあ」「でもなんか目がぱちっとあいて、こんな風に眠れないんだな」「ああ普段考えないこともいろいろ出てきて面白いな」「こんなこと考えてたんだ俺、久しぶりに思い出したな」「まあ仕方ないから今夜はこのままちょっと様子見て眠れないというのをちょっと味わってみるかあ」みたいにしてみる。

そして、さすがに眠くなって1−2時間ぐらい寝るとですね、翌日は別に普通に過ごせたりするんですよね。 まあ、さすがにその日の夜は眠くなってくるでしょうけどね。 

つまり「眠れなくてつらい」というのは、どうしてなんだ、どうして眠れないんだと思うから辛くなる、思うから疲れる、思うから翌日疲れが、その疲れで動けなくなるということなんですよね。

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だから眠れないっていう現実を我々はちゃんとつかめてないということがありますよね。現実をつかめたら、そんなに怖いことじゃない、そんなに悪いことでもないという面があるんだということです。

これもあるがままの現実 ~蚊にさされたときは、、、~

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これもあるがままの現実なんですが、これは蚊が血を吸っている絵なんですが、嫌ですね、例えば蚊に刺された時には、もちろんかかずにはいられないですよね、痒いですからね、で、かくとまた痒いのでもっとかきたくなる。そして爪とか立てたくなりますよね。


そうするともうかき崩してしまって、翌日までずっと痒くて、ああやっちゃった、みたいな感じになるわけですが、ほんとにかかずにいられないのか、かかないでおいたらどうなるのか…。

そうすると痒いですよね。 


その痒いところを見つめながら「痒み、痒み、いま痒みが起こっている、痒み痒み痒み」と唱えながらね、観察してみるわけです。 


その痒みがどうなるか、皆さん知ってますかね、大体3、4分くらいすると痒みってピークになるんですね。 2、3分かもしれませんけど。

それでも「痒み痒み」と見ていると、かかないでおくと今度は5分、10分たつと痒いのはあまり気にならなくなってくるんですね。 こう広がっていくんです、かゆいのが。なんなんだろうか。これは蚊が刺す時はですね、刺すことを気取られると困るので、微量の麻酔薬を入れるんです。 


あとは血を抜くわけです。血が固まっちゃ困るので、微量の抗凝固剤を入れるわけです。それがどうも痒いらしいんですね。 だから逆に言うとそんなの皮膚の下に置いとけば広がっちゃいますから、5分10分経てば広がっていって、痒みは感じなくなるんですよね。 


「あれ、おかしいな、かかずにいられない」「かいたら翌日まで痒かったのに、かかずにおいたら、5分10分でなくなっちゃった」。
これが現実なんですね。 

だから我々は現実を知らないということがあまりにも多すぎる。だから頭の中でこれが現実だと思ってもちょっと置いといて、現実を味わってみようというのが、マインドフルネスの心の使い方ということになります。 



目を覚まし、瞬間瞬間の自分に戻ること

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このマインドフルネスは最初に堀江先生が紹介してくださったように、ストレスマネジメントに役に立つんだということで、注目されている面があるんですね。


だからストレスと逆の状態を意味しているんじゃないかという風に思われるかと思いますが、これは医学的に言うと、というか生理学的に言うと、ちょっと違います。 


ストレスの逆の状態はリラクゼーション
という状態なんですね、ストレスというのは、まあ溜まってくるものですよね。 


無理をして我慢をして頑張っていると、だんだん溜まってくる。これは身体に変化が起こってきます。いろんな変化が起こってきます。 


一つの変化、分かりやすい変化は、力が入ってくることですよね、「肩が凝ってくる」「頭が痛くなる」「腰が痛くなる」。まあそうこうしている内に「下痢をしたり胃が痛くなったり」ということも起こってくる。 

これがストレスが溜まった時の状態ですよね。あと心理的にはもちろん非常に不安緊張が高まってきたり。緊張は、さっきの身体のこわばりと非常に近いですけどね。 


あとは落ち込んできたりということも起こりますけれども、これの逆の状態はとにかく力が抜けている状態なんですね。 


体の力が抜けている状態、肩の力が抜けている状態、背筋がスーッと伸びて体の力が抜けている状態、こういう力みが取れるとリラックスすると言うんですか、リラックスすると、ストレスは緩和するんですね
。 


ぬるめの温泉にゆっくり浸かってると体の力抜けてきますよね。
 


岩盤浴で寝てる、温まってくると体の力が抜けてきます、これがストレスがない状態です。 


そしてストレスが溜まるのと同じように、このリラックスというのも長期効果の方が大事。貯まってくるんですね。 


リラックスする経験時間を増やしていくとだんだんリラックスが貯まってきて、ちょっとやそっとストレスを感じるようなことがあっても、それが残らないというようなことも、実現できていきます。 


だから、ストレスというのは借金、リラクセーションは貯金。リラックス貯金を貯めていくというのが、ストレスマネジメントでは非常に大事なんです。 


マインドフルネスというのは、さっきからお話しているように、ありのままの現実を感じ取るという心の使い方ですから、ストレスが貯まっている時には、「ああ今ストレスが貯まってるんだなあ」という風に感じているわけです。 


リラックスしている時には、ああ今リラックスできて楽だなあという風に感じるわけです。だから直接関係はないんですね。 どちらの状態であってもそのまま、ありのままとらえられるようにしていくことが、マインドフルネスの状態です。 


そうするとマインドフルネスというのは横の軸ではなくて縦の軸なんです。目が覚めて現実がきちんと捉えられてる状態をマインドフルネスというんだという風に、理解していただくといいと思います。 


そうすると、この目覚めの状態と逆の状態というのはどういう状態なのかというと、心ここにあらずの状態という風に言えばいいわけですよね。 


心ここにあらずの状態とはどんな状態かというと、いま皆さん、私の話を聞いていてなんだか入り組んだ話になってきたなあとか、あるいは眠れないなんて「俺、毎日ちゃんとぐっすり寝てるからいいよ。ストレスの話はもういいかなあ」なんて、何か自分の頭の中で考え始めますよね。 


まだ夕食食べてなかったから今日は何を食べようかな、みたいなことを考え始めると、あっという間にそっちの世界に連れていかれてしまって、頭の中の世界で行動しているという状態になります。 


これはもう心ここにあらずになっちゃってるということですよね。考え事をすると、そっちに連れていかれるわけですね。 あるいは、ちょっとストレスが溜まってるのはわかってるから、「その話聞きたくないんだ俺は」というようなことを思うと、今度は心を閉じて、もう聞かない。そういうことはもう耳にしたくない、目にしたくないという風に、心を閉じるという状態になるんですね。 


で、この心を閉じるか、自分が考えたことに飲み込まれるかということは、我々は常に、本当に我々生活の中は大部分がそれだと言っていいくらい、そうなっちゃっているわけです。 

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それが心ここにあらずの状態を作り出しちゃってるわけですね。で、この心ここにあらずの状態では困るのか? 困りますよね。

自分が今何か非常に大事な仕事をやろうとしている。これ、ちょっと時間もあんまりないから、集中してやらなくてはと思って始めますよね。 


でも5分もたつとね、あれ、菅内閣の大臣どうなったかなとか思ってね、ネットのニュースを見始めるとかね。あるいは、ちょっとお腹すいてきたなと思って、立ち上がってなんか食べに行っちゃったりとかね。 


そういうようなことを我々はすぐやっちゃうんです。そうするとどうなるかというと、やりたかったこと、やらなくちゃいけないことができなくなっちゃうわけです。「今」がお留守になっちゃうわけですから、まずいですよね。 


あと、うつ病とか不安症なんかで悩んでる方っていうのは、うつ病の方は過去のことばかり考えて後悔ばかりする、不安症の方は未来のことばかり、取り越し苦労ばっかりする。 


そしてどんどんどんどん落ち込んだり、どんどんどんどん不安になったりしますので、やっぱりまずいんですよ。 


やっぱり心ここにあらずの状態というのは、いろいろまずいことが多い。 

では心ここにあらずの状態にならないようにするためにはどうしたらいいかというと、さっきの反対なんですが「心を閉じない」「飲み込まれないで目の前の現実にきちんと気付く」ようにしていくということが重要なんだ、必要になるんだ、ということになるわけです。 


VOL.3に続く
 

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