3世代「親活」で次世代にバトンをつなぐ

2023/06/02

俺活入門20230421

ある程度のものは手に入れたはずなのに、心の片隅に居座る一抹の枯渇感と後悔のかけら…。これは、どこからくるものなのか? ここ数年、何をしていても違和感が払拭できなかった。しかし今回、あることでそれが払拭された。年老いた親や叔母ら3世代が集まる会を東京から700キロ離れた四国・丸亀で開催したのだ。その会合で“心の異物感”は払拭され、深い安堵感に包まれることができた。これもまた、50代からの俺活であり、ウェルビーイングを得る機会であったと思う。

■前に進むだけの日々に小休止

家族を養うため、人生の目標を達成するために「前に進む」。それが男の使命である、と全力で没頭してきた。

一方で、「最近、親や親類に会っていないなあ」「血縁者の次世代の交流の場をつくれていない」という焦燥感もあった。ようやく今回、3代の親戚会を催して、「人生の別解」を得た。「自分がどこから来て、どこにいくのか」を実感し、先祖が命がけでつないだ先端に自分がいることを再確認できたのだ。

そして、前に進むだけの日々を小休止し、受け取ったバトンを次世代に渡すために、もっと時間と労力と心を尽くすべきだと悟った。

■何十年も思ってくれる人の存在

遠く離れた場所から、損得抜きで50年も60年も気にしていてくれる存在。それが親や親類たちだ。そんな存在は、地球上のどこを探しても見つからない。会社の上司や同僚、部下、取引先とはそんな関係にはなれない。DNAを同じにする存在とは、そういうものだ。

■「時の流れが止まればいいな」と思ったら

親戚会の帰路、同行した娘が「時の流れが止まればいいね」と私につぶやいた。高齢の親や叔父、叔母らと会うと、「もしや、これが今生の別れかも…」という不安がよぎる。

住む場所が遠く離れていると、そう頻繁には会えない。しかし、「また会うために元気でいようね」と約束をすれば、新たな希望が生まれる。私は、散歩や山登りを母に勧めた。再会を誓うことで、時の流れは止められるかもしれない。

■関係が良好でなくても

親や親類との関係は必ずしも良好とはかぎらない。私自身、かつては親とそりが合わず、けんかも絶えなかった。また、親類の集まりで叔父や叔母と口げんかになった過去もあり、一族の問題児として居心地がよくないこともあった。

しかし、自分が年をとれば、周りの目に気づかない振りをするぐらいの芸当はできる。つながりのバトンを次世代に渡す、という大義名分の前では自分に対する周りのイメージなど、ただのノイズにすぎないと思えるはずだ。

     ◇

今回は、瞳の奥が熱くなるような後味を噛みしめながら筆をとった。「3世代合同親活」を押し付けるつもりはない。しかし、遠くで感謝の気持ちを送るだけでもいいから、「親世代からのバトン」について思いをはせていただければありがたい。






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この記事のライター

潮凪 洋介

潮凪 洋介

エッセイスト・作家。著書累計70冊、168万部。「男の色気のつくり方」「もういい人になるのはやめなさい」「バカになれる男の魅力」「アナザーパラダイスの見つけ方」「自分の壁の壊し方」など。大人の海辺の社交場「芝浦ハーバーラウンジ」をプロデュース、累計7800人が参加。ライフワーククリエイト協会を設立、「会社でも家でもない”サードプレイス“で好きなことでライフワーク起業しよう」をテーマに講座を実施。


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