定年で「卒業」した人が本当の自分にたどり着く方法とは
「あと何度、自分自身卒業すれば、本当の自分にたどり着けるだろう」と故・尾崎豊は歌った。存命なら、まさに役職定年に差しかかる世代だ。この『卒業』の歌詞のように私たちは学校を卒業し、キャリアも何度か卒業し、人生の階段を昇ってきた。そしていま、「役職定年」「定年退職」という「卒業」を迎えようとしている。実は、この2つの卒業式こそが「本当の自分にたどりつく最後の卒業式」ではないだろうか。
■自分で競技をつくる
これまでは組織から与えられた「華々しい競技」に身を投じてきた。しかし、これからは自分で競技を選び、あるいは自分で競技をつくり、「本当の自分」を歩いていかねならない。誇らしげに自分の道を歩く人もいれば、迷いながらトボトボと歩く人もいるだろう。それもこれも自分次第だ。
■「何がしたいかわからない」という異常事態
役職定年後、生きがいや熱くなれるものを選べるのは素晴らしいことだ。しかし、「その生きがいがわからない」という人がいる。私はこれを「empty症候群」と呼んでいる。なぜ、組織から与えられた役職がなくなっただけで自分も空っぽになるのか? なぜ、自分の世界観や軸を持たずに何十年も生きてきたのか? まずは、この異常事態に気づかなければならない。
■私たちはもともと独立した人間だ
「空っぽのままでも生きられた」のが今までの日本の会社員だ。「空っぽ」だから他人の昇進や年収、学歴が気になる。そんなものに一喜一憂しているうちに、自分の軸や世界観がますますなくなってしまうのだ。
だからこそ、私たちはもともと独立した存在であるということを改めて思い出さなければならない。
■当事者意識を持って生きる
人生を変えるのは簡単なことだ。やりたいことと出合い、それを表現する。仕事にしたり社会活動にしたり、趣味であってもいい。それが「自分人生に当事者意識を持って生きる」ということだ。
しかし、多くの人は「できない理由」ばかり考えている。それでは、いつまでも「根無し人生」を送ることになる。当事者意識をもっと強く持たなければ人生はつまらないまま終わる。
■人生は自分次第、誰のせいにもしない
ところで、尾崎豊が『卒業』のなかで語った「仕組まれた自由」とは何だったのか? 10代の当時から気になる言葉だった。それは「生活の維持と、生命の安全を守る仕組み」であり、先人が命がけで作り出した“ありがたい仕組み”ではないか。
私たちはこの仕組みに感謝しつつ、自分らしく生きる時間を捻出するべきだ。本当の自分にたどり着くために、しっかり当事者意識を持って、人生を創り上げていかなければ、人生100年が暇で暇で仕方なくなる。
この記事のライター
潮凪 洋介
エッセイスト・作家。著書累計70冊、168万部。「男の色気のつくり方」「もういい人になるのはやめなさい」「バカになれる男の魅力」「アナザーパラダイスの見つけ方」「自分の壁の壊し方」など。大人の海辺の社交場「芝浦ハーバーラウンジ」をプロデュース、累計7800人が参加。ライフワーククリエイト協会を設立、「会社でも家でもない”サードプレイス“で好きなことでライフワーク起業しよう」をテーマに講座を実施。
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