男性更年期障害に打ち克ち、男を取り戻すための治療法と食生活
男性更年期障害(LOH症候群)と診断されたら、一体どんな治療が必要なのか。その治療法と日常生活で取り入れるべき「男を立てる」食品についても解説する。
- LOH症候群を防ぐテストステロンを増やす療法
- 日常で取り入れられるLOH症候群の対策方法
- 夜更かしはテストステロンに悪影響
- 異性を気にしてテストステロンを高めよ
- スイカと温泉がテストステロンを高める
- テストステロン補充療法だけでなく食生活も重要
LOH症候群を防ぐテストステロンを増やす療法
LOH症候群は、男性ホルモンの代表格であるテストステロンが減少することで起きる諸症状。
ということは、減少したテストステロンを増やせば、症状は改善するということになる。そこで行われるのが、テストステロン補充療法(TRT)だ。
エナント酸テストステロンという注射剤を筋肉注射する治療法で、LOH症候群に対する治療で唯一、健康保険が適用されている。
順天堂大学医学部泌尿器科・堀江重郎教授によると「2〜3週間に一度の割合で、125〜250ミリグラムの注射剤を投与することで、テストステロンの血中濃度が安定します。
テストステロンが高いと前立腺がんのリスクが高まるのではないかと不安に思われる人もいますが、世界的な研究で、そのリスクは排除されています。
もちろん、TRTを行っている間は3カ月ごとの血液検査で前立腺がんのバイオマーカーをチェックするなどのフォローをしますが、効果と安全性において非常に優れた治療法と言えるでしょう」と解説しています。
LOH症候群の治療は、「メンズヘルス外来」や「男性機能外来」などの専門外来のほか、泌尿器科や一部の内科でも相談に乗ってくれる。
受診前にホームページなどで医師の専門を確認してから受診するといいでしょう。
日常で取り入れられるLOH症候群の対策方法
LOH症候群に対する医学的な対策が用意されていることはわかった。
しかし、他の病気がそうであるように、病気になってから治すのではなく、未然に防ぐに越したことはない。
たとえ治療が必要になったとしても、治療効果をアシストする力があるはずだ。日常で取り入れられる対策を堀江教授に聞いた。
夜更かしはテストステロンに悪影響
夜眠っている間、人間の自律神経は副交感神経が優位になるが、この時にテストステロンの産生が高まる。
反対に、緊張状態に陥ると、脳の視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンが出てくる。
これが出ると、同じ脳の下垂体から出る精巣刺激ホルモンが減ってしまい、テストステロンが作られなくなってしまう。
これをわかりやすく言うと、「緊張状態」ではなく「リラックス」をしている時にテストステロンは増えるということ。
人間がストレスを感じる時は、何らかの危険が差し迫っていることを意味する。そんな緊急時に、体はテストステロンを作っている場合ではないと判断するのだ。
しかし、「夜更かし」は緊急事態ではない。本来休む時刻に体を休ませないと、体が「危険」と誤って判断してしまう。
快適な睡眠は、実は男性機能にも深く関係しているのです。
異性を気にしてテストステロンを高めよ
既婚の男性よりも未婚の男性のほうがテストステロン値は高いとされる。
未婚男性は婚活のために社会性を高く維持する必要があることが背景にあるのだが、結婚をあきらめた途端、テストステロンが急降下することもわかっている。
これは結婚に限ったことではなく、男性の体は異性との交際をあきらめることで、「賞味期限切れ」と判断して、テストステロンを作らなくなってしまうのだ。
LOH症候群を予防するには、うまくいく、いかないは別として、異性の存在をつねに意識しておくべきでしょう。
スイカと温泉がテストステロンを高める
LOH症候群の症状の一つにED(勃起不全)がある。男性にとって、実に切ない症状だが、その克服に「スイカ」と「温泉」がある、と聞けば驚かれるだろう。
勃起のメカニズムはこうだ。まず、リラックスした状態で性的な刺激が加わると、神経や血管から一酸化炭素(NO)が作られる。
NOが作られるとペニスの筋肉が緩み、血管が広がって血液が流れ込み、勃起が実現する。
勃起において大きな役割を担っているNOだが、このNOを活性化させる成分に「シトルリン」というアミノ酸の一種があり、これがスイカに含まれているのだ。
といってもスイカの赤い部分ではなく、皮に近い白い部分に多く含まれていて、スイカ半分で勃起補助薬1回分と同程度の効力を持つと考えられる。
これからはスイカを食べる時、なるべく皮を重点的に食べるように心がけてほしい。
同様に温泉、中でも「硫黄」を主成分とする温泉にも、NOを高める作用がある。硫黄に含まれる硫化水素はNOの働きを維持する作用を持っている。
他にも、肉、牡蠣、エビ、ゴマ、大豆、ナッツなどに含まれる「アルギニン」も、NOの原料となるので、積極的に食べると効果的です。
LOH症候群対策として効果的な食材はほかにもある。タマネギに含まれる含硫化合物は、テストステロンを高める働きを持っていて、これを利用したサプリメントも開発が進んでいる。
漢方もテストステロンを高める効果を持っている商品もあるので、興味がある方は「男性更年期障害による体の不調を漢方で解決」をチェックしよう。
食べ物の話に戻りますが、ニンニクをタンパク質と一緒に食べると、テストステロンを強化する作用があるので、カツオのたたきやガーリックステーキなどは、積極的に食べるといいとされます。
「精のつく食材」の代表格である山芋には、テストステロンとは別のDHEAという男性ホルモンを高める働きがあるのでお勧め。
一方、アルコールは注意が必要。中でもビールの原料となるホップには、女性ホルモンと似た作用があるので、飲み過ぎるとテストステロンを産生する作用を妨げる方向に働いてしまう。
同じ飲むなら「レスベラトロール」という抗酸化物質を含む赤ワインのほうが適しているが、これとて飲み過ぎれば逆効果。
適量を超えない範囲で楽しむのが一番です。
テストステロンを維持・向上するのに役立つドリンクについて紹介している【テストステロンの分泌を助ける飲み物はこれだ!】を合わせてご覧ください。
テストステロン補充療法だけでなく食生活も重要
LOH症候群が疑われるなら、迷わず「メンズヘルス外来」や「男性機能外来」、泌尿器科を受診しよう。
テストステロン補充療法を行えば症状は改善する。それに加え、この記事を参考に日々の食生活などにも気を配ってほしい。
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