コロナ時代を生き抜く免疫力キーワード「セルフ・コンパッション」

2020/07/15 免疫力向上

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新型コロナウイルスはまだ不気味な動きを止めていない。少しずつ日常は戻ってきてはいるが、「新しい生活様式」と「新しい働き方」に戸惑う人も少なくない。男性医療の第一人者である順天堂大学医学部の堀江重郎教授は、ウィズ・コロナの時代を生き抜くキーワードとして「セルフ・コンパッション」を提唱する。



ステイホームではテストステロンは上がらない

堀江重郎

私は6月24日に、夕刊フジの男性向け健康・医療サイト「DANTES(ダンテス)」とタイアップしたオンラインセミナー「男塾」をYouTubeで開始しました。


当日発表された夕刊フジの調査では、まだ40%の人がテレワークを継続中という結果でした。また、自粛が解除されて外出意欲が高まった人はわずか6.8%、コロナ前より出かける意欲が減った人は41%と、かなり多いことがわかりました。経済を回すためには、単に自粛を解除すればよいというわけではないのです。


世界を「家(家族)」と「社会(外)」に単純に分けると、狩猟採集時代に外で獲物をゲットして家に持って帰るのに必要だったのが男性ホルモンである「テストステロン」です。現代であれば、社会で自分を表現したり、自分の意志を通す、目標を達成することに当てはまります。


したがって、外に出られないステイ・ホームではテストステロンは上がりようがありません。男性ホルモンが少ない状態が続くと、不安、イライラ、無力感にさいなまれてしまいます。さらにテレワークは仕事とプライベートの区別がつきにくく、ワーク・ライフ・バランスが乱れてしまう危険性もあります。


注目されるセルフ・コンパッションとは

そこで今、注目されているのが、セルフ・コンパッションです。コンパッションは仏教の言葉で、あらゆる人の幸せを願い、あらゆる人の苦しみがなくなることを願い、あらゆる人の幸せを喜び、偏りのない平静で落ち着いた心を持つことを指します。


ダライ・ラマは「コンパッションを持つには、まず自分自身に優しくなくてはならない」と提唱しました。これが、セルフ・コンパッションです。


セルフ・コンパッションは「自分への優しさ」「共通の人間性の認識」「マインドフルネス」からなります。自分を非難したりせず、また孤独や疎外感を感じず、さらに感情をそのまま判断にするのではなく、心の動きを観察し、気づきを得るマインドフルネスを行うことで、幸福感が高くなり、ストレスにも強くなり、社会との絆を実感できる、と言われています。

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ゆるく、強い生き方にいざなう

セルフ・コンパッションは、競争を第一とし、「〜ねばならない」という切迫感で生きることから離れて、「ゆるい」けれども自分らしい強い生き方にいざなってくれます。


過去の失敗や、目標を達成できなかった記憶は、マイナスの感情をもたらしますが、自分の失敗や誤りに対して批評せずに寛容になり、「人は誰でも失敗する」ということを自ら受け入れることがセルフ・コンパッションなのです。

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米国の教育心理学者、クリスティーン・ネフ博士の『セルフ・コンパッション―あるがままの自分を受け入れる』が入門書として優れています。この考え方をもとに、次回7月15日の「男塾」では「無意識」と「幸福」について考えてみたいと思います。ぜひご参加ください!

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この記事の監修者

堀江 重郎

堀江 重郎

1960年生まれ。東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得。国立がんセンター中央病院、杏林大学講師を経て帝京大学医学部主任教授に就任し、日本初の男性更年期外来を開設。2012年に順天堂大学医学部教授に就任。日本抗加齢医学会 理事長、日本Men's Health医学会 理事長を務める。『ホルモン力が人生を変える』他著書多数。テレビ番組の出演、監修も多数。