病気の根本的な解決を目指す新しい医学とは?

2020/12/15 免疫力向上

男の底力上げる20201116/イメージ

牧草で育った牛の肉「牧草牛」を積極的に食べて健康を維持する食生活を提唱する日本機能性医学研究所所長の斎藤糧三医師。その解説の締めくくりとして、同医師が取り組む「機能性医学」について紹介する。



機能性医学とは?

私が研究テーマとする「機能性医学」は1990年、アメリカ人医師のジェフリー・ブランド博士が提唱した「病態の根本的な解決を目指す新しい医学」を出発点とする学問です。アメリカにはこの医学を探求する組織があり、私は2014年、日本人として第1号の同学会認定医になりました。

日本では数年前に「腸内フローラ」がブームになりました。腸の乱れが全身疾患に至ることは今でこそ周知の事実ですが、以前から機能性医学の治療を組み立てる上で重要な分野の一つでした。


腸内フローラとライフスタイル医学

機能性医学を専門とする医師は、この医学を「ライフスタイル医学」と呼びます。例えば、がんになる原因は遺伝的要因が10%、残りの90%はライフスタイルなどの環境因子によることが統計学的にわかっています。つまり、病気になるかならないかは、遺伝よりもライフスタイルで決まるのです。

そもそも腸内フローラとは、腸内に棲む細菌叢のこと。人間の腸内には常在菌として数百兆個の細菌が棲んでいるとされています。これらの菌は▽有害菌を増やさない▽腸の細胞の餌を作る▽生体に必要なビタミンを作る▽食物から機能性成分を合成する▽体内の免疫応答を調整する―といった役割を担っています。


発酵食品はどれだけ効くか

日本は発酵食品が進歩しているため、乳酸菌やビフィズス菌などの「プロバイオティクス」の分野は進んでいて、機能性の高い菌を企業が保有しています。

ところが、そうやって摂取した乳酸菌などのプロバイオティクスは腸には1-2週間しかとどまらず定着はしません。腸内フローラは幼少期に決まり、それ以降、常在菌以外は例え有用菌でも免疫で排除されるためです。


肉だけでなく野菜(食物繊維)も重要

その点、食物繊維やオリゴ糖などは、常在菌のエサになりますので、腸内フローラの改善に役立つのです。野球に例えると、助っ人外国人選手は大切ですが、レギュラー選手の年俸も大切ということです。

これまで牧草牛の優れた点を述べてきましたが、牧草牛には食物繊維が含まれていません。「肉と同じ量の野菜も一緒に取りましょう」と強調したのはそのためです。

 こうした事実を、学術的に根拠を示しながら普及していくのが機能性医学の役割です。私のミッションでもあります。「牧草牛」のPRも、実はそうした機能性医学の普及の一つの手段なのです。

(構成・中井広二)


【齋藤糧三医師】 1973年生まれ。98年、日本医科大学卒業。アメリカ機能性医学学会認定プログラム修了。2008年、日本機能性医学研究所を設立。サーモセルクリニック理事長、ナグモクリニック東京アンチエイジング機能性医学外来医長などを兼務。日本ファンクショナルダイエット協会ファウンダー。

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