コロナで注目の自然免疫を強化する「牧草牛肉」

2020/11/24 免疫力向上

男の底力上げる20201019/牧草牛肉

これまで、理想的な糖質制限を行うための栄養源として、オメガ3脂肪酸を豊富に含む「牧草牛」の肉を積極的に摂取することの重要性を紹介してきた。実はこの牧草牛、別の面での機能性も持ち合わせているという。日本機能性医学研究所所長の斎藤糧三医師が解説する。



自然免疫と獲得免疫の違い

新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの人が「免疫」に高い関心を抱いたと思います。

ご存じの通り免疫とは、人間が自分の体を「普通の状態」に保つために備えている機構のことです。体内に外敵が侵入してきたり、体の中でがんのような異物が生まれたときに、それを攻撃して排除、無力化するシステムの総称が免疫です。

免疫には大きく「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。

自然免疫は、非特異的免疫ともよばれ、派出所のおまわりさんのように怪しい人に職務質問します。一方、獲得免疫は特異的免疫と呼ばれ、指名手配写真と一致する犯行歴のある犯人のみを捕まえます。


免疫機構の強化に役立つ「牧草牛肉」

実はこうした免疫機構を強化するうえで、牧草牛の肉が役に立ちます。

まず、これは肉に共通でいえることですが、体温が低いと免疫を担当するリンパ球の活性が低くなります。肉などのタンパク質は、食事誘導性熱産生といって、低い体温の人の体温を上げます。

口や鼻から入った異物が気道に付着した時、気道の上皮細胞は毛を持っていて、異物を胃に送り込んで胃酸で殺す、という連携機能を持っています。しかし、この機能がキチンと働くためには、水分が接収できていて、気道が潤っていること、そして上皮細胞が整って並んでいることが必要です。


上皮細胞支えるコラーゲンの役割

石畳の道にたとえると、敷き詰められた石は上皮細胞。石はコンクリートに下支えされていますね。このコンクリートがダメだと、道はガタガタになります。

コンクリート役は結合組織と呼ばれます。結合組織はおなじみのコラーゲンというタンパク質でできていて、コラーゲン特有の弾力性のある構造は、鉄分やビタミンCがないとうまく作れません。重度の貧血がある女性が「食道の違和感」を訴えることがありますが、これは鉄不足で結合組織が不完全で、気道や食道の機能が不十分なことによって生じます。


粘膜守るタンパク質

タンパク質不足は、筋肉量が減少するばかりでなく、免疫の最前線でもいろいろな問題を起こします。「IgA」という免疫を担当するタンパク質は、今回重要な粘膜面の守り役です。粘膜面は広いので、1日およそ6グラム作られるといいます。タンパク質が欠乏すると、分泌が減りやすいことがわかっています。

牧草牛にはタンパク質はもちろん、トランプ米大統領も入院時に摂取したタンパク質代謝に必須な亜鉛、そしてIgAの合成に必要なビタミンAの前駆体となる牧草由来のβカロテンが豊富に含まれています。

(構成・中井広二)

斎藤糧三医師

斎藤糧三医師

1973年生まれ。98年、日本医科大学卒業。アメリカ機能性医学学会認定プログラム修了。2008年、日本機能性医学研究所を設立。サーモセルクリニック理事長、ナグモクリニック東京アンチエイジング機能性医学外来医長などを兼務。日本ファンクショナルダイエット協会ファウンダー。

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