抗酸化能力を高める糖質制限に最適な「牛肉」を探す

2020/10/26 免疫力向上

斎藤糧三医師

東日本大震災から来年で10年。この時の原発事故をきっかけに、「日本人の抗酸化能力を高める必要性」を唱え、「機能性医学」という新しい医学領域を開拓してきた医師がいる。日本機能性医学研究所所長の斎藤糧三医師=写真=だ。今回から、男の底力を高めるために知っておきたい「食の心得」を解説してもらう。第1回は、「日本人と抗酸化能力」について。

ホルモン療法の研究に没頭

私は栄養療法を柱とした機能性医学に取り組んでいますが、医師としての原点は産婦人科でした。なぜ産婦人科医が栄養を、と思われるかもしれません。そこで、自己紹介を兼ねて、私が機能性医学という新しい医学に傾倒していったいきさつから述べたいと思います。

婦人科医療の一分野に「ホルモン療法」があります。更年期障害の代表的な治療法で、エストロゲンという女性ホルモンを補充することで、閉経期の女性に起きる諸症状の改善をはかるものです。

ただ、この治療法は乳がんの発症リスクを高めることがあるため、高度な専門知識が必要です。私は臨床のかたわらホルモン療法の研究に没頭しました。



アンチエイジングのためのホルモン補充療法

実は私の父(斎藤信彦医師)も産婦人科医です。父は、更年期の女性の体内では女性ホルモンだけでなく男性ホルモン(テストステロン)も欠乏していることを指摘し、エストロゲンとテストステロンの双方を補う必要性を説いていたのです。

女性ホルモンは女性だけ、男性ホルモンは男性だけに存在すると思われがちですが、そんなことはありません。女性の体内でも男性ホルモンは作られるし、男性でも女性ホルモンは作られています。

こうした治療法は婦人科だけでなく「アンチエイジング」の領域でも行われている、というより、そちらのほうが熱心に取り組んでいます。そこで私はアンチエイジングの世界に軸足を移し、本格的にホルモン補充療法の勉強を始めたのです。


栄養療法に行き着く

すると、アンチエイジングを進めるうえでは「代謝のマネジメント」が最重要課題であることがわかりました。これを知るためには栄養学や腸内細菌の改善についての知識が必要です。ホルモン療法のためにアンチエイジングを、そのために代謝のマネジメントを、さらにそのために栄養療法を、と学ぶべきテーマが深化していったのです。

そんな時に東日本大震災が起きました。福島第一原子力発電所の事故で、日本中が健康被害の恐怖に陥りました。その時、私はあることに思い至ったのです。

それは「抗酸化能力」です。放射線対策として抗酸化能力は非常に重要です。震災によって放射能の恐怖を思い知らされた私たち日本人は、誰よりも抗酸化能力を高める必要があると感じたのです。


効果的な糖質制限で抗酸化能力を高める「牛肉」

当時日本では「糖質制限」が糖尿病患者さんの食事法として注目されていました。糖質制限を行うと、体内にケトン体という抗酸化能力を高める物質が増えることを論文から見出しました。

そこで私は、より効果的な糖質制限法を開発し、啓発することで、日本人の抗酸化能力を高められる、と考えたのです。

私は研究を重ねる中で、抗酸化能力を高める食事法に「牛肉の一種」がふさわしいことを見出しました。そのメカニズムは次回以降詳説しますが、これは画期的な発案です。とはいえ、普通に流通している牛肉は、主に穀物飼料を食べた肉です。糖質制限に適した牛を手に入れることから始めなければなりません。

「日本人を健康にする牛さがし」から私の挑戦は始まりました。

(構成・中井広二)


【斎藤糧三】 1973年生まれ。98年、日本医科大学卒業。アメリカ機能性医学学会認定プログラム修了。2008年、日本機能性医学研究所を設立。サーモセルクリニック理事長、ナグモクリニック東京アンチエイジング機能性医学外来医長などを兼務。日本ファンクショナルダイエット協会ファウンダー。 


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