自毛植毛の毛髪培養はいつから実用化?特徴について解説

2022/03/10 自毛植毛

自毛植毛の毛髪培養はいつから実用化?特徴について解説

自毛植毛を検討している人の中には、毛髪培養という治療法について耳にしたことがある人もいるかもしれません。毛髪培養とは、どんな治療法なのでしょうか。その特徴について解説します。

毛髪培養とはどんな治療法

毛髪培養は幹細胞を用いた再生医療による薄毛の治療法です。幹細胞は細胞の元となる細胞のことで、特定の細胞に分化することができます。毛髪培養は毛の単位である毛包の元を培養により大量に作った後、薄毛が気になる部分に移植します。

具体的な方法は、毛髪を形成する幹細胞と、メラニン色素を作る幹細胞をそれぞれ培養して数を増やし、ナイロン糸を使って2つの幹細胞を組み立て(原基といいます)、薄毛部分に移植します。毛包のタネである原基を移植すると、毛の成長とともにナイロン糸は自然に脱落します。

毛髪培養で移植した毛包が定着するまで2~4カ月ほどで、半年もすると他の頭髪と同じくらい太さになります。移植した毛包のタネは、もともとあった部分の毛の性質を受け継ぎます。

自毛植毛よりもおすすめ?毛髪培養のメリットについて

新しい薄毛治療法となりうる毛髪培養には、さまざまなメリットがあります。そのメリットについてみていきます。

傷跡がかなり小さい

毛髪培養で採取するのは頭皮1平方センチほど。自毛植毛のドナー採取は後頭部の皮膚を帯状に切除したり、後頭部全体からくり抜いたりするので、傷跡の範囲が広くなりますが、毛髪培養は採取した毛包を培養して数を増やすので、ドナーの採取範囲は小さくすみます。

培養により十分な植毛が可能

自毛植毛は後頭部の髪の引っ越しをするので、髪全体の総量は変わりません。薄毛が進行していると、フサフサになるには限界があります。

一方、毛髪培養は毛包を培養によって増やすことができるので、満足のいく植毛が受けられます。

毛髪培養のデメリットについて

自毛植毛と比べてメリットの大きい毛髪培養ですが、いくつかのデメリットもあります。

必要な培養数が多い

再生療法を用いた治療法として、いくつかの分野が実用化されています。ただ、いずれも必要な培養数はそれほど多くありません。

しかし、毛髪培養で十分な移植効果を得るには、毛包のタネである原基が2000~2500個は必要になります。毛包の大量培養は技術的な課題であり、原基の大量製造の機械の開発が急がれています。

発毛率が高水準でない

マウスの実験では毛髪培養の発毛頻度は74%といわれています。一般的な自毛植毛の生着率が80~90%ですから、やや劣ります。

また、マウスの実験では、実際の植毛のように密集した移植は行われていません。自毛植毛のように密度を濃くして移植すると、毛髪培養の生着率はさらに低くなる可能性もあります。

長期的な安全性が確認されていない

毛髪培養は毛包そのものを再生するのではなく、髪の元となる2つの細胞を組み立てたものを移植します。自毛植毛は自らの頭髪を移植しますが、毛包培養はそうではありません。毛髪培養で原基を移植した後、周りの細胞ががん化する懸念もあり、安全性はまだ不確かです。

費用が高額になる可能性がある

再生医療を用いた治療はごく一部で実用化されていますが、一般的な治療ではないため、その多くは保険外の診療になります。自毛植毛も自由診療ですが、毛髪培養の治療は技術も手間も必要になるので、費用が高額になる可能性があります。

毛髪培養をしたい!実用化はいつ?

毛髪培養をしたい!実用化はいつ?

毛髪培養の特徴を紹介してきましたが、実験段階の治療法であり、まだ実用化はされていません。しかし、自毛植毛の欠点をカバーできる治療法だけに、いつ実際の施術が受けられるのか気になりますね。

毛髪培養が一般的な治療として受けられる時期については、早くても10年はかかるといわれています。現在、実用化を目指した臨床研究が行われていますので、将来的には薄毛治療の選択肢に加えられる可能性はありそうです。

自毛植毛の後に毛髪培養はできる?

2022年時点で実用化されていない毛髪培養ですが、実現すれば受けてみたい人もいるでしょう。仮定の話ではありますが、自毛植毛によって頭皮に傷をつけると、毛髪培養が受けられない可能性があると指摘する専門家もおり、気になるところです。

ただ、現状でも傷跡のカバーに植毛を行うと、移植毛が定着することが分かっています。自毛植毛を受けた後でも毛髪培養治療を受けられる可能性はありそうです。

とはいえ、まだ実用化の時期がはっきりしていない毛髪培養に夢を託すよりも、自毛植毛など現在できる治療を受けた方がポジティブに過ごせるはずです。

毛髪培養以外の毛髪再生医療について

毛髪培養以外にも、薄毛クリニックでは再生療法を用いた治療(メソセラピー)が行われています。メソセラピーはプラセンタや幹細胞培養上清液など発毛に有効な成分を頭皮に注入する施術です。

幹細胞は細胞の元となるもので、直接頭皮に注入することにより、発毛や育毛を促進したり、頭皮環境を整えたりすることができます。メソセラピーも大いに検討する価値がありそうです。育毛メソセラピーの治療法や効果について詳しく知りたい方は【育毛メソセラピーとは?どんな治療?効果はある?】をご覧ください。

毛髪培養も薄毛クリニックなら安心

次世代の薄毛治療として注目されている毛髪培養ですが、自毛植毛との違いはドナーの原資です。毛髪培養における移植そのものは、自毛植毛の技術と同じものです。薄毛治療に詳しい人ならご存じの通り、自毛植毛の満足度は髪のボリュームだけでなく自然な仕上がりも重要です。

近い将来、毛髪培養が実用化されたときには、再生医療を専門とするクリニックが治療を始めることも考えられます。とはいえ、きちんとした植毛を受けるのであれば、やはりドナーの移植に慣れている薄毛クリニックを選ぶのがおすすめです。

髪のボリュームだけでなく自然な毛の流れになるように、腕のいい医師のいるクリニックで施術を受けましょう。

まとめ

毛髪培養は再生医療を用いて、毛包のタネである原基を大量に培養して移植する治療法です。

自毛植毛と比べてドナーの採取範囲の傷跡が小さく、大量植毛が可能などのメリットがありますが、現時点では実用化されていません。毛髪培養を視野に入れつつ、自毛植毛など今受けられる治療法を検討するのがおすすめです。

  • 参考文献
    ・Science Portal https://scienceportal.jst.go.jp/index.html
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