【自毛植毛】傷跡にも違いがあるFUTとFUEとそれぞれの特徴とは
自毛植毛を検討している人の中には、FUTとFUEという施術があることに気づいた人もいるのではないでしょうか?
2つの施術にどのような違いがあるのか気になりますよね。この記事では、自毛植毛におけるFUTとFUEの違いについて解説します。
自毛植毛は大きく分けてFUTとFUEの2つ
自毛植毛は、薄毛箇所に他の部位の毛を移植する方法です。ゼロから髪が復活するわけではないので、頭髪の総数は変わりませんが、薄毛を目立たなくすることができます。薄毛部分に移植する毛は、主に頭の後ろ部分です。
AGAの原因である男性ホルモンの影響を受けにくい部位なので、きちんと生着すれば、生涯毛が生え続けます。
通常、AGAの薬物療法で薄毛改善しない場合に、自毛植毛が選択されます。
自毛植毛は、大きく分けて以下の2つに分けられます。
- FUT:髪の豊富な部分の頭皮をメスで切除して、移植毛を植毛する。
- FUE:専用のパンチで移植毛を根本からくり抜き、移植する。
以降では、それぞれの特徴について詳しくみていきます。
FUTはメスを使って移植毛を採取
FUTは後頭部の頭皮を細長く切除して、移植毛を採取します。
切除範囲は、薄毛の症状によっても異なりますが、縦1~2㎝、横10~20㎝程度です。
メスを使う施術というと、古い治療法のイメージがありますが、FUTは新しい治療法です。
FUTは安定した植毛ができるのがメリット
FUTの最大の特徴は、移植毛が高い割合で生着しやすいことです。
ドナーの採取で重要となるのは、いかに毛根を傷つけないか。たとえば、ドナーの毛根が途中で切れていれば根付かないため、移植の対象にはなりません。
特に、頭髪をはじめとする体毛は、毛根から真っすぐ生えているわけではなく、なだらかなカーブを描くように生えています。FUTでは、頭皮ごと移植毛を採取するので、毛根が傷つきにくく、よい状態の毛を植毛できます。
FUTによる移植毛の採取後は、顕微鏡を使いながら株分けを行います。
頭皮ごと採取した毛は毛根の破損が少なく、一度に大量のドナー株を得ることができるため、FUTなら一度の施術で2000株の自毛植毛が可能です。
頭皮の質にもよりますが、施術を重ねれば、最大6000株の自毛植毛もできるでしょう。
薄毛が進行しており、濃いめに植毛をしたい場合は、FUTがおすすめです。
また、もともと頭髪は、毛穴から1本生えていたり、2~3本生えていたりするのが普通です。FUTでは移植毛の株分けは、1本毛・2本毛・3~4本毛の株に分けられます。
それぞれの株を組み合わせて移植するので、より自然な仕上がりにすることができます。
傷跡が目立つのがFUTのデメリット
FUTで気になるのは傷跡が目立つことです。
FUTでは、頭皮を横長に切り取った後に縫い合わせます。傷跡は時間の経過とともに薄くなりますが、生涯にわたって白いラインが残ります。
長めのヘアスタイルなら、FUTによる傷跡を隠すことができます。短いヘアスタイルだと、傷跡は目立ちやすくなります。また、傷跡は新しい結合組織なので、そこから毛が生えてくるわけではありません。
※クリニックによっては、毛穴のある表皮を重ねて縫い合わせる縫合を行っているところもあります(トリコフィテック縫合)。トリコフィテック縫合をすると、傷跡から髪の毛が生えるので目立ちづらくなります。
FUTは施術後に麻酔が切れると、痛みを感じます。多くのクリニックでは痛み止めの薬を処方しますが、傷口を清潔に保つなどの管理も必要でしょう。
FUTの施術の流れ
FUT法の流れは以下になります。
1.ドナーの採取
後頭部の頭皮を幅1㎝、長さ10~20㎝の帯状に切り取ります。ドナーを最大限に利用するために、拡大鏡を使用して毛包の間をメスで少しずつ進めます。頭皮を切除後は上下に縫い合わせるため、細いラインの傷跡が残りますが、長めのヘアスタイルなら髪で隠すことも可能です。
2.株分け
看護師が専用の顕微鏡を使用し、切除した頭皮をメスで切り分けながら、1本毛・2本毛・3~4本毛の毛包ごとに分けていきます。それぞれの毛包を組み合わせながら移植することで、より自然な仕上がりを目指せます。
3.移植
株分けしたグラフトを薄毛部分に移植していきます。ドナーは鮮度が高いほど、定着率が高くなります。FUTなら効率よくドナーを採取できるので、自毛植毛まで全工程をFUEの半分で移植することが可能です。
FUTがおすすめの人
以下に当てはまる人はFUTによる自毛植毛がおすすめです。
- 頭皮に柔軟性がある人
- 1回の施術で、濃いめに植毛をしたい人
- 植毛による違和感を避けたい人
グラフト別のFUT費用感
多くのクリニックでは、自毛植毛に基本料金に追加して、移植数ごとの料金を設定しています。FUTの費用はFUEよりも安いのが特徴です。
- 500株 45~55万円
- 1000株 90万円
- 1500株 120~135万円
FUEはメスを使わない自毛植毛
FUEは皮膚を切らずに、直径1㎜ほどの医療用パンチで、毛根をくり抜いて採取します。
自毛植毛の歴史で長く行われており、メスでの採取はしません。
メスを使わないのがFUEのメリット
FUEのメリットは、傷跡が目立ちにくいことです。毛穴ごと移植毛を採取するので、傷跡そのものは残ります。しかし、傷跡はまばらになるので全体的には目立ちません。
FUEを受けると、米粒のような傷跡ができます。時間の経過とともに、傷跡が白い粒状になるためです。
近くで見れば傷跡が分かることもありますが、ヘアスタイルを整えれば、短めのヘアスタイルでも傷跡が目立つことはないでしょう。
また、移植毛の採取時は髪の毛を刈り込むのがふつうです。クリニックによっては、FUEなら刈り込みをせずに採取できるところもあります。
自毛植毛を人知れず行いたい人にもおすすめです。
FUEのデメリットは無駄になる移植毛があること
FUEで気を付けたいのは、無駄になる移植毛が多いことです。薄毛の人にとっては、1本たりとも大切な毛を無駄にしたくないと考える人もいるでしょう。
FUEでは、目視で移植毛を採取します。毛はカーブを描くように生えているので、頭皮の下の状態まで直接確認することができず、採取時に毛根を切断してしまうことがあります。
FUEでの移植毛のロス率は、施術者の技術により幅があり、20~50%というデータがあります。
クリニックによっては、移植毛を吸引して採取するなど、独自のFUE施術により、毛を傷つけずに採取しているところもあります。
FUEで自毛植毛をするのなら、実績の豊富なクリニックや医師を選ぶようにしましょう。
また、近年、医療用ロボットを使って移植毛を採取しているクリニックもあります。頭皮の下の毛の向きや深さを推定できるので、FUEによる自毛のロスを抑えたい人にはおすすめです。
ただし、FUEは1本ずつ移植毛を採取するので、一度の施術で大量の植毛はできません。FUEは薄毛の状態が軽い場合や、移植面積が狭い場合に向いているといえます。
大量の植毛をしたい人は、FUTなど他の方法と組み合わせて行うのがよいでしょう。
FUEの施術の流れ
FUE法の流れは以下になります。
1.ドナーの採取
後頭部の頭皮を幅1㎝、長さ10~20㎝の帯状に切り取ります。ドナーを最大限に利用するために、拡大鏡を使用して毛包の間をメスで少しずつ進めます。頭皮を切除後は上下に縫い合わせるため、細いラインの傷跡が残りますが、長めのヘアスタイルなら髪で隠すことも可能です。
2.株分け
看護師が専用の顕微鏡を使用し、切除した頭皮をメスで切り分けながら、1本毛・2本毛・3~4本毛の毛包ごとに分けていきます。それぞれの毛包を組み合わせながら移植することで、より自然な仕上がりを目指せます。
3.ドナーの採取
株分けしたグラフトを薄毛部分に移植していきます。ドナーは鮮度が高いほど、定着率が高くなります。FUTなら効率よくドナーを採取できるので、自毛植毛まで全工程をFUEの半分で移植することが可能です。
FUEは約2000~3000株が限界
傷跡が目立ちにくいとされるFUE法ですが、実際にはパンチでくり抜いた箇所に米粒のような傷跡が残ります。一度に大量のドナー採取ができるFUTに対して、FUEは後頭部からまんべんなくドナー採取するので、大量のドナーを採取することができません。
頭髪のボリュームや医師の技量によっても異なりますが、1回目のFUEで採取できるのは2000~2500株ほど。最大でも3000株が限界です。2回目にFUEをするとしても、2000株が限界ですが、ドナー採取部がスカスカになる可能性があります。
また、FUEはドナー採取時に毛根を切断してしまう確率が高く、医師によっても移植できるドナー数がぐんと減ることもあります。自毛植毛を最大限に受けたいのなら、最初の2回はFUT、その後にFUEを追加で行うのがおすすめです。
FUEがおすすめの人
FUEによる自毛植毛は、以下のような人がおすすめです。
- 薄毛部位が狭く、移植を少しだけしたい人
- 短かい髪型が好みで、傷跡を目立たせたくない人
- 頭皮が硬めの人
- メスを使った施術が苦手な人
グラフト別のFUE費用感
クリニックによっても異なりますが、FUEはFUTよりも手術時間が長くなるため、費用も高くなる傾向があります。FUEの費用の目安は以下になります。
- 500株 40~70万円
- 1000株 80~120万円
- 1500株 120~170万円
まとめ
自毛植毛には、大きく分けてFUTとFUEの2つの移植毛の採取方法があります。
それぞれの方法に特徴があり、メリットやデメリットがあります。記事内で紹介した内容を参考にして、自分に合った施術を選びましょう。
- 参考文献
・ヨコ美クリニック https://www.yokobikai.or.jp/
・紀尾井町クリニック https://www.nhtjapan.com/
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