コロナ第三波と「性の変化」5〜「しまった」と思った時の性感染症チェックリスト

2020/11/20 免疫力向上

1113性感染症 書影

ビフォーコロナでは、性感染症の梅毒急増が注目され、原因は外国人旅行者の夜の爆買いではないかとささやかれた。しかし、訪日外国人数が激減した現在も感染者数はほぼ横ばいである。生きて活動している限り、人間同士の接触はさけられない。感染症も性感染症と同様で、常に感染リスクがあると心して、予防のために正しい知識を持つことが大事だ。


今回は性感染症の外来で100万人近くの患者を診てきた尾上泰彦医師=顔写真=に、性感染予防の観点で話を聞いた。


1113さし尾上医師

「日本で感染者が最も多いクラミジアをはじめとして、自覚症状がほとんどないのが性感染症の怖いところ。放置してしまうと、女性は子宮頸管炎、卵管狭窄や腹膜炎などを発症し不妊症の原因になり、男性では前立腺や精巣上体に炎症を起こし不妊症になるケースがあります。性感染症は早期発見・早期治療が重要です」

そこで、こんな時に注意すべき男性向け性感染症簡易チェック表を用意した=表上参照。


1113表

もし何らかの症状が気になったら、心当たりの性的接触があったかどうか振り返ってほしい。その時期を特定しやすいよう潜伏期間をざっくりまとめたが、あくまでも目安である=表下参照。

潜伏期間は感染してから症状が出るまでの期間。この時期には病原菌の存在を調べる検査(クラミジア、淋菌、トリコモナスなど)は有効だが、血液中の「抗体」を調べる検査(HIV・梅毒・B型肝炎など)は個人差があり、抗体ができるには感染して1カ月以上かかるので、感染を疑って急いで検査しても偽陰性になってしまう場合もある。

「心当たりがあれば、症状がなくても検査すること。最近は郵送検査を活用している方も多いです。陽性ならすぐに専門医のいる医療機関へ足を運んでください。性感染症は性器だけでなく、咽頭、目、肛門にも感染しているケースが多々あるので要注意です。感染がわかった場合には、患者本人を治療するのは当然ですが、そのパートナーへの検査をいかに促すかが感染拡大防止の鍵。私の外来ではプライバシーに配慮しながらパートナーマネジメントを積極的に行っています」(尾上医師)

自分とパートナーを性感染症から守るために、感染を疑ったらすぐ検査を受け、陽性ならば治療を受ける。治療後は適切な時期に治癒確認検査を受ける。安全・安心なセックスのために性的接触をする際にはコンドームを忘れずに。

(医療ライター・熊本美加)


尾上泰彦(おのえ・やすひこ) 性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。1969年、日本大学医学部卒。日本性感染症学会の功労会員を務め、厚生労働省のHIV研究に協力するなど、わが国における性感染症予防・治療を牽引。(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者を務めた。著書に『アトラスでみる 外陰部疾患 プライベートパーツの診かた』(学研メディカル秀潤社)、『性感染症 プライベートゾーンの怖い医学』(角川新書)=写真。


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