コロナ第三波と「性の変化」4〜性感染症の患者が戻ってきた

2020/11/19 免疫力向上

1112表

新型コロナウイルス感染症の国内での死亡率は下がっている。国立国際医療研究センターの調査では50代、60代では、6月5日以前の重症者の死亡割合は10.9%だったのが、6月6日以降は1.4%に。70歳以上では31.2%から20.8%に低下。40代以下では6月6日以降に入院し亡くなった人は、この調査では1人もいなかった。こうした中、若者はつい“安心モード”となり、性感染症も減っていないことが取材で見えてきた。


また、アフターピル(緊急避妊薬)を処方するオンラインクリニックへ「先程、失敗しちゃって…」といった夜間の問い合わせが増加しているという。このことからも、若者の性行動はさほど衰えていないと推測される。

性感染症について知識がない若者が多いと前回とお伝えした。しかし、エイズなら誰もが知っているだろう。

かつては「エイズ=死の病」とイメージがあり、握手で感染するといった誤解が広まり、まさに今の新型コロナウイルスと同様で、間違った情報が氾濫していた。エイズは単剤治療でも適正量がわからなかった時代から、カクテル療法、そして1996年にはHAART療法(多剤併用療法)の効果が確認された。適切な治療を継続的に受けることでエイズは糖尿病、高血圧と同じ「慢性疾患」と考えられるようになっている。

たとえ、HIV感染してもエイズの発症を治療で食い止めることができ、平均寿命は延び続けている。

2017年1月から国立国際医療研究センター内にSH(Sexual Health)外来が開設された。ここは、ゲイ・バイセクシュアル男性を対象に性感染症の検査と治療を行う研究ベースの専門外来である。症状がなくても定期的な検査と必要な治療を続け、Sexual Healthの維持をサポートしている。

コロナの影響はあったのか、エイズ治療・研究開発センター(ACC)長の岡慎一氏=写真=に聞いた。

1112岡慎一医師

「4月、5月の自粛期間中は来院患者数減少。検査数は前年比の23%でした。緊急事態宣言解除により、6月からは患者さんが戻ってきました。SH外来では、来院者の5~25%が何らかの性感染症で要治療になります。HIV感染は検査すれば年間で200人前後の陽性者は出ており、全体の総数は前年と変わっていません」

HIVの場合、急性期の後は無症状期に入るので見過ごしてしまう可能性があり、潜伏期間には感染源としてバラまく危険がある。

「現在では、きちんと服薬すればHIVウイルス量を測定感度以下まで抑え込むことが可能で、HIV感染してもエイズへと至ることはほとんどなくなりました。いかに早く診断し、適切な治療をはじめるかが、個人にとっても社会にとってもHIV感染症の拡大を押さえ込むための最重要ポイントです」(岡氏)

検査は血液をとってHIVに感染しているかどうかを診る。保健所では匿名・無料で検査可能で、最近は自宅でできる郵送検査キットも活用できる。

コロナで一時中止していた保健所の無料検査は再開しているので、無症状でも心当たりがある場合には足を運んでほしい。

(医療ライター・熊本美加)


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