免疫力高める中高年男性におすすめのコンビニ食と料理
コロナウイルスの影響で、今なお外食を控えている人も多いだろう。しかし健康のために日々の食事は欠かせない。
そこで、夕刊フジで毎週水曜日「きょうから実践 外食・コンビニ健康法」を連載している管理栄養士の浅野まみこ氏が、近所のコンビニで手軽に購入できて、自宅でリモートワーク中のサラリーマンでも簡単に作れる栄養満点メニューを解説します。
- からだを整える基本は食事・健康・睡眠
- カラダを整える基本は、「食事・睡眠・運動」
- 体内で熱&代謝アップする「DIT」
- 野菜がカラフルに入っている食材を
- トマトジュースで作るカップスープ
- やっぱりサバ缶は強い味方
- 低脂肪で高タンパクのサラダチキンが大活躍
- 豆腐&納豆で腸内環境を整えよう
からだを整える基本は食事・健康・睡眠
様々な経済へのダメージを与えたコロナウィルス。緊急事態宣言が解除された今、新しい仕事や部署異動など生活パターンが変わってきた方も多いことでしょうか。
張り切ってどんどん活動しようと思っていても、今なお外回りや出張が控えられていたり、リモートワークが主流の企業も多くなかなかもどかしいものです。
サラリーマンのみならずこの時期に意識したいのは、心もカラダも元気な状態になるように免疫力を整えることです。
「免疫力」というと、どんなことを思い浮かべますか?
免疫とはカラダの自己防衛システムを指し、体内に侵入した細菌やウイルスなどを異物(自分以外のもの)として攻撃することで自分のカラダを正常に保つための働きを指します。
ただ防衛システムが強すぎると問題が出てしまいます。例えば、花粉に対して免疫機能が過剰に働いてしまうために起こるのが「花粉症」です。
免疫力を高めても特定のウイルスや感染症、物質に対して効くとは限りませんが、「免疫を下げればいいのか?」といえば、こちらもそうではありません。
免疫力の低下は、さまざまな疾病につながる原因になります。
つまり、免疫を整えることでカラダの調子を整え、元気に過ごすことが大切なのです。
カラダを整える基本は、「食事・睡眠・運動」
睡眠が不足していると、免疫力が下がるだけでなく、思考力も低下し、気持ちもふさぎがちになるので、仕事効率も低下していきます。
質の良い睡眠をとるためには、「快適な寝間着を着て、清潔な寝具と適度な温度、部屋の採光を落とした状態で眠る」ことが理想です。
運動は「積極的休養」といわれ、多少疲れているときでも、息が弾む程度の強度で心拍数を上げる運動をすることで、疲労を回復できます。
そして、重要なことが食事です。ただ食事は1日3回もタイミングがあるため、全てを完璧にすることも、自炊することも大変です。
そこで、夕刊フジの連載では、忙しい毎日の中でカラダを整えるための外食やコンビニを使った簡単食事術をお伝えしています。
食事で免疫力を上げるためには、
(1)免疫細胞が集まっている腸の環境を整える
(2)体温を上げる食事をする
(3)ビタミンDなど免疫を高める栄養素を摂取する
腸内環境を整えるためには、腸内の善玉菌を増やすための乳酸菌やビフィズス菌を摂取することや、さらに善玉菌の環境を整えるための食物繊維を摂取することが大切です。
食事からは発酵食品を意識したいものです。例えば、ヨーグルトや納豆が有名ですが、キムチやチーズ、ぬか漬けなども発酵食品です。
合わせて、食物繊維が多く含まれる野菜、果物、海藻類を選ぶとより効果的です。
体内で熱&代謝アップする「DIT」
また、体温を上げる努力も大切です。外側から温めることも良いですが、体内で熱を生み出すような食事を意識しましょう。
温かい汁物や食事は、直接的にカラダを温める働きがありますが、持続的に温めるのは、食べた後、安静にしていても熱を生み出し、代謝量も上がっていく「食事誘導性熱産生(DIT)」を増加させることです。
DITが一番高くなるのはタンパク質を摂取したときです。食事の中に肉や魚、卵、大豆製品などを意識的に入れると良いでしょう。
栄養素で注目されているのは「ビタミンD」です。ビタミンDは、骨や筋肉を作る働きのサポートをするほか、免疫力を高めることが分かっています。
ビタミンDは、紫外線を浴びることで体内でも作られますが、食事からの摂取を加えた方が有効的とされています。ビタミンDが含まれる食品は限られていて、魚または舞茸やキクラゲなどのきのこ類です。
野菜がカラフルに入っている食材を
免疫力のための食事のポイントを書いていくと、到底できそうにないですが、実はコンビニにもこれらを整えてくれる食材がたくさんあります。
上手に使うとコンビニ食でも簡単に免疫力を高めることができるのです。
そうは言っても「何から選ぶの?」と考える人にまず実行してほしいことは、固定されたメニューや食材などを毎回食べるよりも、いろいろなメニューを選ぶこと。
そうすることで、自然とさまざまな栄養素がバランスよく入ってくることになります。
次に、野菜がカラフルに入っているものを選ぶこと。緑黄色野菜といわれる色の濃い野菜は、βカロテン、ビタミンE、ビタミンCなど抗酸化作用の働きを持つ栄養素を多く含みます。
こうした野菜を選ぶだけでも、カラダを修復する働きがあるのです。
そのほか、基本食材としてサラダチキン、豆腐、納豆、缶詰は、手軽にタンパク質を取れる食材なので、常備すると便利です。
ではここから、コンビニで免疫力を上げるための、簡単なアレンジメニューを4つご紹介します。
トマトジュースで作るカップスープ
温かい汁物は、カラダを内側から温める働きがありますが、さらにプラスすると良いのは唐辛子のカプサイシンや、ショウガの辛味ショウガオールなどの温め作用。
カプサイシンは、抹消血管を広げ、血流を改善する働きがあります。カップスープなどを選ぶ際は、唐辛子やショウガ系を意識しましょう。
さらにスープはお湯で作るのではなく、抗酸化作用のあるリコピンやβカロテンを豊富に含むトマトジュースで作ります。
βカロテンは、粘膜を保護し、ウイルスの侵入を防御する働きも期待できます。トマトのリコピンは、加熱や油脂との摂取が効率的とされています。
そのほか、コンビニの緑黄色野菜は、冷凍野菜のブロッコリーやほうれん草、オクラ。カット野菜もお手軽です。
トマトジュースで作る麻辣系中華スープ
- トマトジュース…1パック(無塩、200ml)
- カップスープ…1個(唐辛子やショウガ系)
①トマトジュースを耐熱容器に入れ、温める
②カップスープに注ぎ入れ、よく混ぜる
やっぱりサバ缶は強い味方
免疫力を高める働きのあるビタミンDは、魚、きのこなど特定の食材にしか含まれないビタミンのため、摂取しづらい栄養素ですが、コンビニで簡単に食べられるのが「サバ缶」「イワシ缶」など、魚を使った缶詰。
みそ味やしょうゆ味もいいですが、アレンジがしやすいのが水煮缶です。
ビタミンDだけでなく、脳の働きを活性化するDHAや血流改善のEPAなどが含まれるため、働き盛りの方には必須の栄養素といえます。
お手軽な冷凍野菜のブロッコリーとサバ缶の和え物はオススメです。
ブロッコリーとサバ缶和え
- 冷凍ブロッコリー…1袋
- サバ缶…1缶
- ごま油…適量
- お好みでポン酢
①耐熱皿にブロッコリーとサバ缶をのせ、ごま油を回しかける
②ブロッコリーが温まるまで加熱する。お好みでポン酢をかけて
低脂肪で高タンパクのサラダチキンが大活躍
タンパク質には消化の際に体内で熱を作り出す「食事誘導性熱産生」という働きがあります。
食事では必ずタンパク質を加えましょう。とはいっても、から揚げばかりでは、油脂が気になります。
豆腐や卵などもお手軽です。さらに味がしっかりしていて、低脂肪サラダチキンはアレンジがしやすい便利食材です。濃い味付けを生かせば調味料としても使えます。
ニンジンなど緑黄色野菜がたっぷりのカット野菜とサラダチキンで、簡単だけどボリューム満点の免疫力アップサラダに。
チキンとニンジンのサラダ
- ほぐし(または普通の)サラダチキン
- ニンジンミックスサラダ
- すし酢…大さじ1
- お好みで粗挽きコショウ
①ボウルなどにほぐしたサラダチキン、ミックスサラダを加え、すし酢、粗挽きコショウをふってあえる
豆腐&納豆で腸内環境を整えよう
発酵食品は、腸内環境を整え、善玉菌を増やす働きを持っています。加熱するより、常温や生で食べることが大切です。
コンビニでは、納豆、ヨーグルト、キムチなどが手軽に買える発酵食品です。腸内の菌は常に入れ替わっているため、定期的に発酵食品を食べることも大切です。
また、善玉菌の餌となる食物繊維は雑穀米からも効率的に取れるので、もち麦入りや雑穀入りのおにぎりをプラスするのもいいでしょう。
温めた豆腐に、納豆をかけた豆腐納豆がオススメです。チーズなどもお好みでどうぞ。
実はコンビニは栄養バランスを整える食材の宝庫。「免疫力を整える食べ方」と言われるとハードルを高く感じますが、ちょっと意識するだけで普段のコンビニ食が何倍もカラダに効果のある食事に変わります。
毎日の食事を意識すれば、免疫力だけでなく、カラダの調子、仕事効率などがどんどん上がっていきます。新生活を元気に過ごしましょう。
納豆豆腐
- 納豆…1パック
- 豆腐…1パック
- ネギ…適量
- 焼肉のタレ…小さじ2
①豆腐のパックを少し開け水を切り、耐熱皿にのせてレンジで温める
②納豆に、ネギ、焼肉のタレを加えてよく混ぜ①にのせる
今回はからだを整える基本の「食事」、「健康」、「睡眠」についてご紹介しました。
今なお、自宅でリモートワーク中のサラリーマンや仕事が貯まりにたまって満足に食事がとれない事も多いでしょう。
免疫力が低下して動けなくなったら元も子もありません。是非、簡単に作れる栄養満点メニューも参考にからだを整えていきましょう。
この記事の監修者
浅野まみこ
1975年生まれ。管理栄養士。食と健康のコンサルティング会社「エビータ」代表取締役。1万8000件以上の栄養相談の経験を元に「『コンビニ食・外食』で健康になる方法」(草思社)を著し、企業のコンサルティング、テレビ出演、講演活動を行う。夕刊フジで毎週水曜日「きょうから実践 外食・コンビニ健康法」を連載中。
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