【生涯現役本】堀江重郎著『ヤル気が出る! 最強の男性医療』(文春文庫)
【生涯現役本】堀江重郎著『ヤル気が出る! 最強の男性医療』(文春文庫)
泌尿器科医であり、メンズヘルス医療の第一人者である著者。
第1章では、男らしさをつかさどる男性ホルモン・テストステロンを多角的に解説している。
医学寄りではなく雑学感覚の記述も多いのだが実に興味深い。
昔は単に男らしさを強めるためのホルモンだと思われていたテストステロン。だが研究により近年はさまざまな効果、側面があることがわかってきているそうだ。
海外の研究では、テストステロンは「社会性のホルモン」であり、その値が高くなることで、ボランティアや恵まれない人への寄付など、弱者を救済する傾向が強くなるという。
血液検査で正確な値は測定するが、薬指の長さ(人さし指との長さを比較)だけでも大まかな量がわかる。
さらに勝負事、競技、他者との競争(選挙などでも)や、それを応援することでもテストステロンは増加するという。
一方、ひいきチームの敗北で極端に“やる気”を無くす人は、このテストステロンが体内で急激に減少しているから、だという。夜更かしや、ストレスなども減少させる原因となるようだ。
では、テストステロンの減少で、男の身体にナニが起こるのか。勃起不全(ED)だけでなく、深刻な症状を引き起こす可能性があるという。
第2章ではテストステロンの減少によって起こる、うつ症状(やる気の喪失)、ED、近年よく話題となる男性更年期障害について。また、その最先端の治療法に触れている。
テストステロンを増やす食事法、行動などは、日々の参考にしたい。
第3章では、泌尿器科医としての立場から、主に前立腺がんについて。
現在、最も日本人男性の間で増加傾向にあるのが前立腺がんだという。
一般的に進行の遅いがんだと思われているが前立腺がんだが、その種類も多様で、それゆえに治療法もそれぞれ。
かつてはテストステロンが前立腺がんの進行を促進するとされていたが、現在では個人により違いがあることもわかっているそうだ。
誰しも加齢により減少するテストステロンを、いかにキープしていくかのヒントがちりばめられている1冊。
メンズ医学の最前線が紹介されており医療雑学本としても一読の価値アリ。
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