【医師監修】自毛植毛術後の後頭部はどうなる?どれぐらいで生えてくる?

2021/10/25 自毛植毛

自毛植毛術後の後頭部はどうなる?どれぐらいで生えてくる?

どうしても気になる薄毛。フサフサな後頭部から自毛植毛をしようと決意しても、「もし髪を抜いた後頭部に、次の髪が生えてこなかったら?」「後頭部が、スカスカになってしまったら?」と思うと不安になってしまいますよね。

結論から言うと、安心して施術を受けてもらって大丈夫です。よほど大規模な施術でなければ、後頭部がスカスカになって他人にバレることはありません。

痛みもひどいものではないので、安心して自毛植毛への一歩を踏み出してみましょう。

この記事では「自毛植毛をすると後頭部がどうなるのか?」について、「成増駅前かわい皮膚科」の河合徹 院長が注意点なども合わせて解説します。

院長「河合 徹」

自毛植毛とは

自毛植毛は薄毛治療のひとつで、髪の毛がフサフサの部分からドナーを採取して、薄毛の部分へ髪を移植することをいいます。

自毛植毛は、ゼロから髪を増やすものではありません。施術では毛根ごと髪の引っ越しを行うので、頭髪の総数は変わりませんが、薄毛を目立たなくさせる効果があります。

特に、AGAによって薄毛がみられている場合、男性ホルモンの影響を受けにくい後頭部の髪の毛を採取します。移植部位にドナーがしっかり定着すれば、年齢に応じた髪の毛が生えてくるでしょう。自毛植毛について詳しくは【薄毛で悩んでいる人におすすめ!自毛植毛を徹底解説】をご覧ください。

後頭部ドナーの採取方法による自毛植毛の種類

薄毛クリニックで行われている自毛植毛ですが、ドナーの採取法により大きく分けて以下の2つの方法があります。

FUT法
  • 後頭部を帯状に切除して、毛根ごとドナーを採取する方法。傷跡が目立ちやすいが、ドナーの定着率が高い特徴がある。
FUE法
  • 医療用パンチで、後頭部全体からドナーを採取する方法。傷跡が目立ちにくいが、ドナーの毛根が断裂することもあり、FUT法よりも定着率が低いことがある。

FUT法とFUE法にはそれぞれ特徴があるので、植毛数や頭皮の状態をみながら、自分に合った方法を選びましょう。


植毛術後の後頭部はどうなる?

自毛植毛をするにあたって、まず不安に思うのは「毛根を採取した後頭部はどうなるのか」という点かもしれません。それぞれの施術を行った場合、後頭部はどのような状態になるのか、見ていきましょう。

FUT法の場合

メスを使ったFUT法の施術でよくみられる疑問が「皮膚を切開した箇所は目立たないか?」「包帯はするのか?」という点です。ドナーの採取部位が後頭部になれば、自分で確認しづらいため、不安も大きいでしょう。

メスを使うFUT法の施術後は傷口を保護するため、数日間は包帯を使用する必要があります。ただ、施術前の後頭部の刈り上げが不要なので、包帯が取れれば、周囲にバレにくいでしょう。

FUT法で皮膚を切開した部分は縫い合わせるので、後頭部に一直線の傷跡ができます。この傷跡は赤い色をしていますが、半年から1年くらいかけて白くなるため、次第に目立たなくなっていきます。 【自毛植毛でついた傷跡やかさぶたはいつ治る?】に自毛植毛でついた傷跡やかさぶたはいつ治るのか詳しく説明しているので、合わせてご確認下さい。

通常、手術で切開した皮膚の縫合部分からは体毛が生えてきませんが、クリニックによっては縫い合わせを工夫することで、FUT法の傷跡から頭髪が生えてくることも可能です。

なお、FUT法は一度に大量のドナーを採取できるので、施術費用はFUE法よりも安くなります。クリニックによっても費用の目安は異なりますが、1000株で80万円、1500株で120万円程度です 。

FUE法の場合

FUE法は、後頭部全体から均等に毛根を採取するため、広範囲の施術でなければ、髪がスカスカになる心配はありません。1000株以下の少ない施術であれば、後頭部の髪の密度に大きな影響は出ないでしょう。

FUE法は専用パンチでドナーをくり抜くため、米粒のような小さい傷跡が後頭部全体にできます。広い範囲に傷跡が残りますが、坊主頭や短いヘアでなければ、傷跡はそれほど目立ちません。

またFUT法と違い、FUE法は採取した部分への包帯は不要です。

ただし、多くのクリニックではFUE法の前に後頭部の髪の毛を刈り上げるので、施術後は部分ウィッグを必要になります。最近では刈り上げが不要のFUE法を行っているクリニックもあり、周囲の人に自毛植毛がバレるのが心配な人も安心して施術を受けられます。

なお、FUE法は1本1本ドナーを採取するため、メスを使ったFUT法よりも費用が高くなる傾向があります。クリニックによって施術料金は異なりますが、1000株なら120万円、1500株なら170万円くらいが目安になります。

メガセッションをした場合

毛根を採取した部分の密度低下に注意が必要なのは、メガセッションをした場合です。

メガセッションとは、2500グラフト以上の植毛を行う大規模な施術のことを言います。

メガセッションを行うと、一気に採取する毛根が多いために後頭部の密度低下が起こり「後頭部の髪がスカスカになってしまった」といったトラブルにつながります。

これはFUE法でも同様で、「縫合の痕でバレたくないからFUE法にしたのに、メガセッションにしたために植毛がバレてしまった」という事態にもなりかねません。

大規模に植毛したいけれど、バレずに施術を終わらせたい。そんな場合には、複数回に分けて施術を行うなどの工夫が必要です。

自毛植毛したら、後頭部に痛みはある? どれくらい痛い?

自毛植毛をした後の痛み

バレることの次に心配なのは、自毛植毛をした後の痛みですよね。後頭部だと自分には傷口が見えないので、余計に不安を掻き立てられてしまうことでしょう。

痛みが出るケースは、ある!

自毛植毛の施術は手術なので、術後に痛みが出ることはあります。

FUT法では切開をしますし、縫合も行います。そのため、縫合した箇所に引きつれるような痛みが起こる場合があるのです。

さらに、後頭部から植毛を行った場合には

  • 寝がえりをした時に、頭の重さがかかる、こすれる
  • 入浴の際にうっかりこすってしまう

ということも考えられます。

また、FUT 法は施術からだいたい2週間以内に抜糸も必要なので、ひどくないとはいえ少しの痛みとは付き合うことになるでしょう。

当然ながら、切開するFUT 法よりも切開しないFUE 法の方が痛みは軽いと言われています。痛みをできるだけ抑えたいのであれば、FUE 法を選ぶようにしましょう。

痛みが出たときの対処法

自毛植毛にあたっては、耐えられないようなひどい痛みが出ることは少ないです。

そうは言っても

  • 痛みで仕事に集中できない
  • チクチクした痛みが嫌だ

という場合もあります。

その場合には、クリニックから処方される痛み止めを使用しましょう。軽度の痛みであれば、痛み止めで対処ができます。

しかし、痛み止めを使用してもまだ痛みが気になる場合には、我慢せず早めにクリニックに相談しましょう。

術後に出がちな症状とは?

後頭部からの植毛の際に出がちな症状は、他の部位からの時と同様です。

前頭部や側頭部からの植毛と基本的に変わりはなく、上記のような痛み・引きつれ感をはじめとした症状が出る可能性があります。

術後に後頭部の髪がスカスカに……どれくらいで生える?

自毛植毛したら後頭部の髪がスカスカに

「いざ自毛植毛をしてみたら、思ったよりも後頭部がスカスカになってしまった!」。そんなときは、とても焦ってしまいますよね。


どれくらいの時間が経てば髪が生えてくるのか、どうしても生えなかった場合にはどうしたらいいのかを解説していきます。

髪の毛が生える目安

後頭部の髪が生える目安は、前頭部や側頭部などの他の箇所と同様です。

「すぐに髪が生えてこない!」とびっくりしてしまうかもしれませんが、焦らずゆっくり、生えてくるのを待ちましょう。

一般的に術後3~5ヵ月後に少しずつ新しい髪の毛が生えてくることに気づく時期と言われています。【人気の自毛植毛!効果はどれくらいで実感できる?】の記事にて実感できるまでの期間について詳しく解説しているので、ご覧ください。

自毛植毛後に髪が生えるプロセス

自毛植毛後に髪が生えるプロセスに関しても、上記の生えてくる目安と同じく、他の箇所と同様です。

どうしても生えなかった場合の対処法

「しばらく様子を見てみても、抜いた部分に髪が生えてこない!」。そんなときは、医療タトゥー(ヘアタトゥー)や、植毛の追加といった対応ができます。

医療タトゥーは日本ではまだ一般的ではないものの、複数のクリニックで施術が受けられます。どうしても生えなかった場合の他にも、縫合によってできた傷痕を隠すためなどに活用できます。

自毛植毛を行っているクリニックでは、以下の名称でヘアタトゥーを行っています。

  • SPJ東京クリニック……MHT
  • ヨコ美クリニック……SMP
  • 湘南美容クリニック……アートメイク

その他にも、AGAスキンクリニックなどでも施術が受けられます。

植毛の追加は、側頭部や前頭部などから後頭部へと施すものです。医療タトゥーにするか、植毛を追加するかはクリニックに相談をしてみましょう。


まとめ

後頭部からの植毛は、前頭部や側頭部からの植毛と基本的には変わりはありません。

比較的、採取部分が広範囲になりやすいですが、術後の包帯が不要な上にバレにくいです。メガセッションをする場合のみ、髪の密度低下に注意が必要です。

もし術後に「髪が生えてこない」などのトラブルがあった場合には、追加の植毛やヘアタトゥーなどで対応をすることもできます。

きちんとクリニックで相談し、無理のない範囲で植毛へ臨むようにしましょう。


  • 参考文献
    ・ヨコ美クリニック https://www.yokobikai.or.jp/
    ・親和クリニック https://shinwa-clinic.jp/
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この記事の監修者

河合 徹

河合 徹

1984年台湾生まれ。台湾大学医学部卒業。2010年に台湾医師免許を取得。2012年には日本国医師国家試験に合格し、日本国医師免許を取得。日本国内での研修を経て国際医療福祉大学三田病院皮膚科の常勤医師として勤務。その後、東京大学医学部附属病院 皮膚科の助教に就任。東大病院を中心に、大手企業内診療所から総合病院、往診クリニックと幅広く診療をおこない経験を積む。2020年に東京都板橋区の「成増駅前かわい皮膚科」を開業。


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